シスコの開発者向けプログラム「DevNet」を見てみよう
DevNetがどんなところか見ていこう。生田氏は「デベロッパーのための学習プラットフォームであり、コミュニティプラットフォームであり、イノベーションプラットフォームです」と特徴を挙げる。まずは日本語向けトップページからアクセスしよう。日本語で提供されているコンテンツへのリンクもある。
続いてメインのサイトを開いてみよう。画面中央にメインメニューが並んでいる。
DevNetの主なコンテンツを以下に紹介しよう。
まずはここから。総合案内所のようにDevNetのコンテンツが概観できて、FAQもある。
テクノロジーの分野別にどのように学ぶかのガイドが示されている。
ネットワークのプログラマビリティの基礎から学ぶための動画が並ぶ。
仮想的にシスコ製品を試すことができる。
シスコの専門家によるレビュー済みのサンプルプログラムがある。
シスコと組み合わせて展開されているソリューションを検索できる。
「Learning Tracks」や「Video Course」はeラーニングのコンテンツ。これらが無料で視聴できるのだからぜひ活用しよう。基礎的なところから解説しているので、ネットワークをこれから学ぶにはいい。プログラミングの基礎や開発環境のセットアップなども含まれている。興味あるものを見つけて閲覧または視聴してみよう。
「Sandbox」は仮想的に製品を試すことができる場だ。ここはベンダーのシスコならではの機能提供となる。実際にネットワーク製品やサーバーを試したいと思っても、そうそう簡単に準備できるものではない。しかし「Sandbox」にアクセスすればいつどこからでも、実際の製品を使って試すことができるのは大変便利。テクノロジーの習得には手を動かして覚えるのが早道だ。「ちょっとAPIを試したい」や「ちょっと触ってみたい」がすぐできる。予約が必要なものと、いつでも利用できるものがある。
「Code Exchange」では実用的なサンプルコードを検索する窓口として提供されている。ここでは誰もがサンプルコードの閲覧と投稿ができるようになっているGitHubをソースとしてCode Exchangeで共有されているものが多く、シスコの専門チームがREADMEをきちんとレビューした上で公開される。キーワードやサービス名など、質の高い検索ができるため目的のサンプルコードにいち早くたどり着くことができる。
桂田氏は、アプリケーション開発者が、ネットワークプログラマビリティでできることをイメージするのに良い例として、ELK StackへのWirelessの状態情報を集めるサンプル、ServiceNowとの連携デモ、Googleスプレッドシートからネットワーク変更するサンプル、WebexデバイスのAPI活用サンプル集などを挙げた。こうしたサンプルから学べることも多そうだ。
また、日本語化のチュートリアルとして「DevNet Express for Cisco DNA v3」が公開されている。これは、プログラマブルなネットワーク設計についてステップバイステップで学べるというもの。PythonやREST APIの基礎から解説されているので、アプリケーション開発者はもちろん、インフラエンジニアやプログラミング初学者にもおすすめだ。
このようなDevNetのプログラムやシスコのソリューションを利用していくなかで生じた疑問点は、コミュニティに相談しよう。シスコでは、気軽に質問が投稿できる「DevNet & プログラマビリティ」のコミュニティも用意している
イベントアーカイブ、新しい資格制度も要チェック
DevNetはオンラインの情報提供が中心だが、集合型のイベントも開催している。2020年は新型コロナウイルス感染症の影響もあり、グローバルカンファレンスの「DevNet Day 2020」はバーチャルイベントとして開催した。6月に開催したばかりで、専用サイトからアーカイブを見ることができる。ここは最新情報の宝庫だ。
インフラとアプリケーションの開発をつなげるイベントとして「DevNet Create」も開催している。例えば、開発者がARアプリケーションを作成し、カメラでWi-Fiアクセスポイントを映し出すと、APIを通じてWi-Fiネットワークの状態がARの世界で可視化できるデモなど、ネットワーク環境と新しいアプリケーションの両方が理解できるようなセミナーやデモが発表された。2019年に開催されたイベントのアーカイブ動画を見ることができる。
関連情報として資格制度についても触れておこう。シスコの資格制度といえばCCNA(Cisco Certified Network Associate)が有名だ。このシスコ技術者認定が2020年2月から大きく改訂され、ネットワークエンジニア向け(インフラストラクチャ)とソフトウェア開発者向け(ソフトウェア)の2系統に変わった。前者が従来のCCNA、CCNP、CCIEの流れを踏襲し、試験範囲は従来ものにAPIなどソフトウェア要素が少し加わった。後者が新しく追加されたDevNetで、試験範囲はCCNAと対照的に、ソフトウェアが中心で一部ネットワークが混じる。
ネットワークはもともと標準や規格が定められており、技術的にはオープンだ。近年ではネットワークをAPIで操作するなどソフトウェア的な側面が強くなり、サンプルコードが開示されるなど、これまでとは違った意味のオープンさが進んでいる。
ネットワークをプログラムとして扱うことで、ネットワーク環境の活用や運用は可能性が広がる。例えばユニソフトでは、アプリケーションレイヤの開発ベンダーならではの視点で、「ネットワーク機器をサービスとして扱う」新たな取り組みを推進している。LAN/WAN/データセンターネットワークのAPIを用いた管理自動化やチャットボットによる対話インターフェースを開発し、運用管理の自動化、効率化に貢献している。
- 参考:ユニソフトでの事例
生田氏は「ネットワークをソフトウェアで活用するケースは日常的に増えてきています。フリーアドレスの会社ではどのエリアのWi-Fiが混んでいるか表示したり、流れているデータからセキュリティ監視したり。ネットワークで流れている情報は宝の山なので、ビジネス的な活用価値も多いです」と話す。
これまではインフラとアプリケーションは対極的な世界だったかもしれないが、これからは近づき、垣根がなくなりつつありそうだ。考えてみてほしい。通信することないアプリケーションは考えられず、インフラ管理でコーディングする機会は増えてくるのだから。
ネットワークもアプリケーションも両方学ぶきっかけとして、エンジニア同士のコミュニティとして、DevNetは大いに活用できそうだ。エンジニアとしてのキャリアを発展させていくにもいい足がかりとなるだろう。
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