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開発者におすすめ! プログラマブルな最新のネットワークが学べる「Cisco DevNet」の歩き方

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2020/08/07 12:00

 ネットワークのテクノロジーはSDNやSD-WAN、Infrastructure as Codeの流れがあり、ソフトウェアに近づいてきている。APIでアクセスすることで操作の自由度を高めたり、通信情報をセキュリティに役立てたりしている。コーディングに慣れたアプリケーション開発者にとってネットワークは遠い世界ではなく、これまでのスキルを活かせる場になるかもしれない。その足がかりとなりそうなのがCisco DevNetだ。

プログラマブルに操作できる、今ネットワークに注目が集まるワケ

 シスコといえば、スイッチやルーターなどネットワーク機器のイメージがある。アプリケーション開発者から見たら、こうしたネットワークの領域は「自分とは遠い世界」と思いがちではないだろうか。

 しかし、そうしたイメージは払拭したほうがいいだろう。かつてネットワーク機器の操作はコマンドラインだったが、今の管理画面はGUI操作も多い。それにハードウェアだけではなく、ソフトウェア的な要素も増えている。なにせ、SD-WANやSD-AccessのSDは「Software Defined」だ。「Infrastructure as Code」も然り。シスコシステムズ合同会社 テクニカルソリューションズアーキテクト 生田和正氏は「今まではネットワークはCLIやGUIからの操作が中心でしたが、最近はAPIを活用するケースも増えてきています」と話す。

シスコシステムズ合同会社 テクニカルソリューションズアーキテクト 生田和正氏
シスコシステムズ合同会社 テクニカルソリューションズアーキテクト 生田和正氏

 今、企業ネットワークはプライベートクラウドとパブリッククラウド、あるいは複数のパブリッククラウドを使い分けるマルチクラウドへと進んでいる。社員や顧客が使うアプリケーションはこうしたマルチクラウド環境を通じて稼働するため、アプリケーションの安定性や快適さを維持するには最新のネットワークのノウハウは欠かせない。

 昨今の背景なら、テレワークも忘れてはならない。感染拡大防止で接触の機会を減らしつつ、業務を継続させるにはテレワークは不可避だ。テレワークを可能とするために、外部から社内ネットワークに接続できるポートを開放したり、VPNのキャパシティを広げたりする必要があった。コロナ禍のテレワークを乗り切るには、ネットワークエンジニアの存在は不可欠だった。

 一段落ついた今は企業ネットワーク構成を再考するチャンスでもある。これまでは社員がオフィスにいるのが前提だったが、この前提を覆す必要がある。ポストコロナ時代のネットワーク環境では業務アプリケーションで使う各種クラウドサービス(SaaS)へのアクセス最適化を図る必要があり、その先にインターネットブレイクアウト(社外から直接または必要最小限のルートでパブリッククラウドへアクセスする)またはマルチクラウドに対応できるSD-WAN構成を検討していくのは自然な流れとなるだろう。

 こうしたポストコロナの背景も考えると、最新のネットワーク環境を扱えるスキルを身につけたネットワークエンジニアに期待が高まるのは必至だ。そしてこうしたネットワークエンジニアが扱う領域は、アプリケーション開発者から見たらそう遠い世界ではない。

セキュリティやアプリケーションにも広がるシスコのテクノロジー

 ネットワークの最新動向を知り、スキルを高めたいなら、世界有数のコンピュータネットワーク機器開発ベンダーであるシスコを通じて学ぶのがいい。シスコはネットワーク機器の製品ラインナップが充実している。それだけではない。いまシスコが抱えるテクノロジーはネットワークにとどまらない。ネットワークに根ざしつつも、広く派生しているのだ。

 例えばセキュリティならファイアウォールなどネットワークの境界防御だけではなく、クラウドセキュリティからポリシー制御、多要素認証、エンドポイントプロテクションなど幅広くカバーしている。コラボレーションなら古くからIP電話やテレプレゼンスなどのビデオ会議システムがある。顔認識・音声コマンド入力などを備えたビデオ端末も登場している。最近では、ウェブ会議やウェビナーでWebexを使った人も多いだろう。同社 桂田祥吾氏は、上記に加えAPM(アプリケーションパフォーマンス監視および管理)のAppDynamicsやクラウドネットワーク管理ソリューションのMerakiなどの統合を挙げる。近年シスコは急速にテクノロジーの幅を広げているのだ。

シスコシステムズ合同会社 アップダイナミクス事業 事業開発部 桂田祥吾氏
シスコシステムズ合同会社 アップダイナミクス事業 事業開発部 桂田祥吾氏

 マルチクラウドへの取り組みも積極的だ。マルチクラウドを実現するためのテクノロジーやソリューションだけではなく、主要パブリッククラウドベンダーとの戦略的提携も進めている。

 アプリケーション開発者がシスコのテクノロジーを学ぶなら、ぜひとも「Cisco DevNet(以下、DevNet)」は知っておきたい。ネットワークを中心としたテクノロジーを学ぶためのコンテンツを発信するサイトであり、エンジニアをサポートするプログラムだ。特に、APIやプログラマビリティに特化しているところが特徴である。

 DevNetはそれまでのデベロッパーサポートプログラムを継承し、2014年にスタートした。その少し前からSDN(Software Defined Networking)でネットワークのブログラマビリティが認識されるようになっていたころだ。当初から開発者を対象にしており、ここにこだわりがある。

 一般的に開発者(デベロッパー)というと、アプリケーション開発者を指すことが多い。しかしシスコは「ネットワークはソフトウェアシステムとしての側面も強くなっている。機能を完全に活用するパワーユーザーは開発者であるともいえる」ととらえている。だからDevNetはネットワークからアプリケーションまで幅広い開発者を対象としている。今では世界で50万人を超えるユーザーが参加するコミュニティとなっている。

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シスコの開発者向けプログラム「DevNet」を見てみよう

 DevNetがどんなところか見ていこう。生田氏は「デベロッパーのための学習プラットフォームであり、コミュニティプラットフォームであり、イノベーションプラットフォームです」と特徴を挙げる。まずは日本語向けトップページからアクセスしよう。日本語で提供されているコンテンツへのリンクもある。

 続いてメインのサイトを開いてみよう。画面中央にメインメニューが並んでいる。

DevNetのトップページ
DevNetのトップページ

 DevNetの主なコンテンツを以下に紹介しよう。

 まずはここから。総合案内所のようにDevNetのコンテンツが概観できて、FAQもある。

 テクノロジーの分野別にどのように学ぶかのガイドが示されている。

 ネットワークのプログラマビリティの基礎から学ぶための動画が並ぶ。

 仮想的にシスコ製品を試すことができる。

 シスコの専門家によるレビュー済みのサンプルプログラムがある。

 シスコと組み合わせて展開されているソリューションを検索できる。

 「Learning Tracks」や「Video Course」はeラーニングのコンテンツ。これらが無料で視聴できるのだからぜひ活用しよう。基礎的なところから解説しているので、ネットワークをこれから学ぶにはいい。プログラミングの基礎や開発環境のセットアップなども含まれている。興味あるものを見つけて閲覧または視聴してみよう。

 「Sandbox」は仮想的に製品を試すことができる場だ。ここはベンダーのシスコならではの機能提供となる。実際にネットワーク製品やサーバーを試したいと思っても、そうそう簡単に準備できるものではない。しかし「Sandbox」にアクセスすればいつどこからでも、実際の製品を使って試すことができるのは大変便利。テクノロジーの習得には手を動かして覚えるのが早道だ。「ちょっとAPIを試したい」や「ちょっと触ってみたい」がすぐできる。予約が必要なものと、いつでも利用できるものがある。

 「Code Exchange」では実用的なサンプルコードを検索する窓口として提供されている。ここでは誰もがサンプルコードの閲覧と投稿ができるようになっているGitHubをソースとしてCode Exchangeで共有されているものが多く、シスコの専門チームがREADMEをきちんとレビューした上で公開される。キーワードやサービス名など、質の高い検索ができるため目的のサンプルコードにいち早くたどり着くことができる。

 桂田氏は、アプリケーション開発者が、ネットワークプログラマビリティでできることをイメージするのに良い例として、ELK StackへのWirelessの状態情報を集めるサンプルServiceNowとの連携デモGoogleスプレッドシートからネットワーク変更するサンプルWebexデバイスのAPI活用サンプル集などを挙げた。こうしたサンプルから学べることも多そうだ。

 また、日本語化のチュートリアルとして「DevNet Express for Cisco DNA v3」が公開されている。これは、プログラマブルなネットワーク設計についてステップバイステップで学べるというもの。PythonやREST APIの基礎から解説されているので、アプリケーション開発者はもちろん、インフラエンジニアやプログラミング初学者にもおすすめだ。

 このようなDevNetのプログラムやシスコのソリューションを利用していくなかで生じた疑問点は、コミュニティに相談しよう。シスコでは、気軽に質問が投稿できる「DevNet & プログラマビリティ」のコミュニティも用意している

イベントアーカイブ、新しい資格制度も要チェック

 DevNetはオンラインの情報提供が中心だが、集合型のイベントも開催している。2020年は新型コロナウイルス感染症の影響もあり、グローバルカンファレンスの「DevNet Day 2020」はバーチャルイベントとして開催した。6月に開催したばかりで、専用サイトからアーカイブを見ることができる。ここは最新情報の宝庫だ。

 インフラとアプリケーションの開発をつなげるイベントとして「DevNet Create」も開催している。例えば、開発者がARアプリケーションを作成し、カメラでWi-Fiアクセスポイントを映し出すと、APIを通じてWi-Fiネットワークの状態がARの世界で可視化できるデモなど、ネットワーク環境と新しいアプリケーションの両方が理解できるようなセミナーやデモが発表された。2019年に開催されたイベントのアーカイブ動画を見ることができる。

 関連情報として資格制度についても触れておこう。シスコの資格制度といえばCCNA(Cisco Certified Network Associate)が有名だ。このシスコ技術者認定が2020年2月から大きく改訂され、ネットワークエンジニア向け(インフラストラクチャ)とソフトウェア開発者向け(ソフトウェア)の2系統に変わった。前者が従来のCCNA、CCNP、CCIEの流れを踏襲し、試験範囲は従来ものにAPIなどソフトウェア要素が少し加わった。後者が新しく追加されたDevNetで、試験範囲はCCNAと対照的に、ソフトウェアが中心で一部ネットワークが混じる。

 ネットワークはもともと標準や規格が定められており、技術的にはオープンだ。近年ではネットワークをAPIで操作するなどソフトウェア的な側面が強くなり、サンプルコードが開示されるなど、これまでとは違った意味のオープンさが進んでいる。

 ネットワークをプログラムとして扱うことで、ネットワーク環境の活用や運用は可能性が広がる。例えばユニソフトでは、アプリケーションレイヤの開発ベンダーならではの視点で、「ネットワーク機器をサービスとして扱う」新たな取り組みを推進している。LAN/WAN/データセンターネットワークのAPIを用いた管理自動化やチャットボットによる対話インターフェースを開発し、運用管理の自動化、効率化に貢献している。

 生田氏は「ネットワークをソフトウェアで活用するケースは日常的に増えてきています。フリーアドレスの会社ではどのエリアのWi-Fiが混んでいるか表示したり、流れているデータからセキュリティ監視したり。ネットワークで流れている情報は宝の山なので、ビジネス的な活用価値も多いです」と話す。

 これまではインフラとアプリケーションは対極的な世界だったかもしれないが、これからは近づき、垣根がなくなりつつありそうだ。考えてみてほしい。通信することないアプリケーションは考えられず、インフラ管理でコーディングする機会は増えてくるのだから。

 ネットワークもアプリケーションも両方学ぶきっかけとして、エンジニア同士のコミュニティとして、DevNetは大いに活用できそうだ。エンジニアとしてのキャリアを発展させていくにもいい足がかりとなるだろう。

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著者プロフィール

  • 加山 恵美(カヤマ エミ)

    フリーランスライター。茨城大学理学部卒。金融機関のシステム子会社でシステムエンジニアを経験した後にIT系のライターとして独立。エンジニア視点で記事を提供していきたい。EnterpriseZine/DB Onlineの取材・記事や、EnterpriseZine/Security Onlineキュレータ...

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