UIデザイナーとしての心得と誤解
UIデザイナーというと感覚的な部分が多い仕事と思われがちですが、そうではありません。「なぜこのデザインがそこにあるべきなのか」を繰り返し思考して、その時の最適解を出します。この最適解はユーザーによって異なるため、あらゆるユーザーの利用シーンの解像度を上げる必要があります。
またデザイナーと名乗ると「かっこいいものを作れる人がすごい」といった評価をされがちですが、これも当社では異なります。
ベルフェイスのUIデザインで「良い」とされるものは、ユーザーに「無意識に使えちゃう」と思ってもらえることです(連載第1回参照)。
無意識につかえちゃうUIとは何かというと、ユーザーの意識を阻害しないUIであることです。ユーザーが違和感なく操作できるデザインであることを重視しています。
UIはあくまで手段なので「どれだけユーザーのやりたいことを阻害せずに達成できるか」を私たちはとても大切にしています。
プロトタイプ中心で進めるコミュニケーション
ベルフェイスのUIデザイナーは全員フルリモートで開発しているのもあって、オンラインコミュニケーションが中心です。
テキストベースの情報だけで一人で考えて作り込んでしまうと、視野が狭くなったり、方向性にズレが生じたりする危険があるため、UIは作り込まずプロトタイプを徐々に作り込んでコミュニケーションをとりながら合意形成していく方法で進めています。
課題の大きさや提案数などでプロトタイプの作り方は異なるのですが、デザイナーから上げる仮説が合意されるにつれてブラウザーで確認できるように作り込んでいきます。
これは時間のかかるやり方ではあるのですが、「職種横断して議論ができる」「懸念点やアイデアが早期に見つかりやすい」「同じゴールを見て進めやすい」といったメリットもあります。
例えば、1月7日にリリースしたオンラインでの名刺撮影機能に関するUIを考えていた際、実際にブラウザーで動くものを作ってる時に「縦名刺」の存在が仕様から抜けていたことを早期に発見できました。
また、これは気づいた当時ぞっとしたのですが、実はこのオンライン名刺撮影のシャッターは商談先の方が自分で押すUIで作り込んでいました。
しかし実際にbellFaceを使いながら撮影してみると、片手には電話、反対には名刺。シャッターを押す手が足りないことが発覚して、プロジェクト中盤で大きな変更をしました。
この変更により追加の工数が発生しましたが、プロジェクトメンバーは「今のタイミングで気がつけて良かった」という気持ちが強く、ネガティブな雰囲気にはなりませんでした。
時間をかけて作ったものなので、ここから作り直すというのは多少ショックはありましたが、「実際に使いにくい」ことがプロトタイプを通してプロダクトマネージャーやエンジニアも納得できるものだったので、意識を切り替えてすぐに前進できました。
また、プロトタイプとは言え、コードを破棄・修正しやすいように作っているので、全部のUIやコードを破棄することもなく小さな軌道修正でリリースをすることができました。
プロトタイプのようなアバウトなアウトプットが苦手なデザイナーも世の中には多くいると思います。しかし私の関わるチームでは、「雑なアウトプットでデザイナーとしての私を否定しない」という信頼関係があるので、自信を持ってその時の議論に必要なデザインを提案して進めることができています。
良いことばかり言っていますが、プロトタイプを作り込んでリリースをしたらそれで機能開発は終わりなんてことはありません。仮説が間違っていたなど、違う課題が見つかることもあります。しかし失敗を認め、次の一手に頭を切り替えて継続的に開発できるのが、今のベルフェイスの開発体制の強さだと自負しています。
UIの考え方は言葉に似ていて伝え方に正解はありませんが、相手のことを考えて一番しっくり伝わる表現を模索していきます。UIはデザイナー一人で作るものではありません。また一人で悩むものでもなく、チームで悩んだ結果、良いサービスが生まれます。
プロトタイプを作るには時間がかかりますし、一定のスキルも必要になるかもしれませんが、プロダクトマネージャーやエンジニアとのコミュニケーションの精度は格段にあがります。開発のコミュニケーションを円滑にするための、一つ新しい手段として覚えていただけると幸いです。
