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[最終回]「誰もがアーティストであり表現者」 アートとビジネスの可能性や未来を考える

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アートとビジネスの境界線がなくなる

 アーティスト、クリエイター、ビジネスパーソン、そのどの役割であったとしても、新しい価値を創造する本質は変わらない。ビジネス書に掲載されているような成功事例は、コンセプトや顧客ターゲットなど緻密に計算された美しい結果と思われがちであるが、実際は汗水を流しながら試行錯誤を繰り返した結果であることが多い。

 それこそ、アーティストの破壊と創造のようにプロダクトをピボットさせながら、新しいマーケットを創造しているのである。そのた、新しい事業を創業する起業家には、どこかアーティストのような雰囲気を感じることも多い。

 もしかしたらビジネスの成功事例を学ぶプロセスは、名画を読み解く思考と親和性があるかもしれない。時代背景、構図、配色、コンセプトなどアート特有の考えかたを学ぶことで、ビジネスにとって新しいヒントがあるかもしれない。

 構図の黄金比を会社組織に活かせないか。明暗のコントラストから、チームマネジメントの活性化を発想できないか――。

 こういった一見関係がなさそうに見えることを結び付けて新しい領域を考えてみる。結果のために使える知識や物事を総動員して考えるということは、アーティストよりもビジネスパーソンの方が得意なのかもしれない。そう考えると、ビジネスパーソンもアーティストのように新しい価値を創造することは特段難しいことではない。アートとビジネスの境界も近い将来なくなるのだろうか。

Andy Warhol作品  Art Basel Hong Kong 2019(筆者撮影)
Andy Warhol作品 Art Basel Hong Kong 2019(筆者撮影)

発想を変えると新しい未来が出現する

 AIなどのテクノロジーは日々進化している。大量の計算を処理する、物事を認識するなどは、人間よりも機械の方が優れている。つまり、テクノロジーによって人間は単純作業から解放されるとも言えるだろう。

 最近は作曲やデッサンなど創造性が求められる分野でもAIが活用されているが、あくまでこれまでの傾向を機械学習で分析した結果であり、現状では、新しいことを創造する力は人間の方が優れているように思う。

 そのため前述したとおり、遠くの異なるモノをつなげるアーティストのような思考や発想の転換が今後ますます重要になり、自己否定を含めた破壊と創造により固定観念を日々アップデートすることがクリエイター・ビジネスパーソンには求められる。SDGsをはじめとした新しい価値観に適応することは、ここ数年とくに大切になるだろう。

LGBTの聖地といわれるパリ・マレ地区の風景(筆者撮影)
LGBTの聖地といわれるパリ・マレ地区の風景(筆者撮影)

 それにともないアートのかたちも変わっていくだろう。人と人をつなげるコミュニケーションツールになるかもしれないし、インターネットの世界ではアバターが自己表現の象徴として存在しているかもしれない。

 このような新しい未来は、1人ひとりの発想の積み重ねの先にある。スティーブ・ジョブズやビルゲイツのようなひとりの天才によって世の中は便利になるかもしれないが、心の豊かさは個人の感性でしか満たされない。アートはクリエイターやビジネスパーソンの創造性を促し、仕事や生きかたを豊かにする力をもっている。

 「Workを仕事から自分らしい作品へ変える」

 私自身、このミッションを掲げてから、日々の仕事への取り組みかたが変わり、働くことがとても楽しくなっている。困難な状況に直面しても、アーティストのように考え、それも作品の一部だと捉えることで、ポジティブに課題に取り組むことができている。

 アートは鑑賞して楽しむもの――。私もアートが好きなのでその捉えかたには同意だ。だが加えて、アートにはそれ以上にビジネスを豊かにする可能性をも秘めている。本連載を通して、アートとビジネスの接点を少しでも作ることができていれば幸いである。

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https://codezine.jp/article/detail/14153 2021/05/14 08:00

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