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Developers Summit 2025 セッションレポート

「AIに代替されない」エンジニアになる3つの能力──“日報”で鍛える問題解決力

【14-A-7】目の前の仕事と向き合うことで成長できる - 仕事とスキルを広げる

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 ChatGPTの台頭以降、ITエンジニアの役割は日々変わりつつある。将来的AI時代を生き抜くエンジニアの成長法とは──‟日報‟の活用で「本質的な価値」を向上なAGI(汎用人工知能)とASI(人工超知能)の発現も予想される中、自分自身のポジションを確保し、キャリアを築く方法に悩むエンジニアは少なくない。プライベートを犠牲にして新言語の習得や新技術の勉強を行うエンジニアも存在するなか、「休みの時間に猛勉強するようなことをしなくても、日々の仕事をちゃんとやっていくことで十分な成長が得られる」と語るのが、合同会社HaveFunTechで代表社員を務め、株式会社リンケージではCTO兼COOの職責を担う曽根壮大氏だ。日々の業務を通してエンジニアとしての能力を伸ばし、AI時代を生き残るために必要な行動や考え方について、曽根氏が講演を行った。

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「知恵」×「スキル」=AIに奪われない「価値」

 登壇の冒頭、曽根氏は「労力は代替できるが、能力は代替できない」という和田卓人氏の言葉を引用した。たとえAIが台頭しても、それが担うのはあくまで“労力”であり、人間の“能力”は依然として不可欠だ──これが曽根氏の持論である。

合同会社HaveFunTech 代表社員/株式会社リンケージ CTO・COO 曽根 壮大氏
合同会社HaveFunTech 代表社員/株式会社リンケージ CTO・COO 曽根 壮大氏

 曽根氏はこの“能力”を、実行力や達成力といった「Ability」と、体力などの“容量”を示す「Capacity」の2つに分類できると説明する。中でも「Ability」には3つの要素があるという。ひとつは芸術など特殊な分野で発揮されるTalent(才能)、もうひとつは高度な技術を意味するSkill(技能)、そして最後に、日常的な事象を繰り返し再現する力としてのProficiency(熟練)である。

 エンジニアに求められるのは、このうち「誰もが身につけられる技能」としてのSkillだ。Skillは経験や学習によって獲得され、知識を拡充することでさらに向上する、と曽根氏は説く。

才能や環境がなくてもSkillは伸ばせる
才能や環境がなくてもSkillは伸ばせる

 「知識の中に経験を詰めることは、引き出しの中に物を入れることと同じ」だと曽根氏は言う。引き出しの中が空っぽでは、説明通りにやってもうまくいかない。新しい物事を身につけるには、知識と経験の両方を積み重ね、それらをSkillとともに発揮される「知恵(Knowledge)」へと昇華させることが重要になる。

 ここで曽根氏は、スキルを身につけるまでのプロセスを段階的に示す。最初のステップは「無知の知」の自覚から始まり、次に「知る(知識の壁)」、そして「やる(行動の壁)」へと移行していく。

 ここで、移行において鍵となるのは、知識を経験と結びつけることだ。たとえば多くの人はリンゴの色を「赤」と認識するが、青リンゴしか見たことがない人は「青」、切る前のリンゴしか見たことがない人は「白」と答える。こうした違いは、知識が経験に依存していることを端的に示している。

 これと同じことが、技術選択においても起こると曽根氏は話す。たとえばPostgreSQLとPHP、NginxとApacheのどちらを選ぶかという場面では、「両方に触れた経験がある人は比較検討できるが、一方しか知らない人はその技術を選びがち」になる。仕事の中でのトラブル経験が記憶に強く残るのも、知識と結びついた実体験の一種だ。

スキル定着には段階的なステップアップが欠かせない
スキル定着には段階的なステップアップが欠かせない

 経験と知識の積み重ねにより、スキルは「わかる(理解の壁)」の段階に進む。ここからさらに「できる(技術の壁)」へと至ると、いよいよSkillとして発揮されるようになる。そして最終的には「している(習慣の壁)」の段階に至ると、車の運転のように意識せずとも自然にできる「習慣化」の状態に至る。

 これらのステップを飛ばしてしまうと、挫折の原因になりかねない。だからこそ、できることを一つずつ着実に増やし、知識と経験の双方を積み上げていくことが、能力を伸ばすための王道なのである。

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“自己責任時代”を生き抜く3つの基礎能力

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この記事の著者

中島 佑馬(ナカシマ ユウマ)

 立命館大学卒業後、日刊工業新聞社にて経済記者として勤務。その後テクニカルライターを経て、2021年にフリーランスライターとして独立。Webメディアを中心に活動しており、広くビジネス領域での取材記事やニュース記事、SEO記事の作成などを行う。

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

CodeZine編集部(コードジンヘンシュウブ)

CodeZineは、株式会社翔泳社が運営するソフトウェア開発者向けのWebメディアです。「デベロッパーの成長と課題解決に貢献するメディア」をコンセプトに、現場で役立つ最新情報を日々お届けします。

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篠部 雅貴(シノベ マサタカ)

 フリーカメラマン 1975年生まれ。 学生時代、大学を休学しオーストラリアをバイクで放浪。旅の途中で撮影の面白さに惹かれ写真の道へ。 卒業後、都内の商業スタジオにカメラマンとして14年間勤務。2014年に独立し、シノベ写真事務所を設立。雑誌・広告・WEBなど、ポートレートをメインに、料理や商品まで幅広く撮影。旅を愛する出張カメラマンとして奮闘中。 Corporate website Portfolio website

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