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企画に大切な「分析力」と「発想力」とは? 実際の相談を振り返りながら考える

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実例で解説 サービス利用を促すために考えた企画のお話

 ここまで分析と発想のコツについてお話してきました。ここからは、実際にあった相談を例におさらいしていきましょう。

相談の概要

  • クライアント:ファストフードチェーン店
  • 与件:毎年年末に実施している、ネット予約サービスのプロモーション
  • 理由:毎年恒例であるものの、前年以上に利用者を増やしたい。

 利用者を増やしたいという目的から、どういう人に対して、なにを、どのように伝えるのがよいのか企画を立てていきます。

 まずターゲットとなる「どういう人」の部分について。このサービスを使うと決めている人よりも、どうしようか迷っている人に、焦点を当てる方が、前年よりも利用人数が増えやすいため、今回は「ライトユーザー(ネット予約を使用したことはないが、利用する可能性のある人)」に届けようと決めました。

 「なにを」については、迷っているユーザーが本サービスを利用してもらうためのきっかけになるものはなにか、を探します。SNSの投稿や周囲へのヒアリングから、大きくふたつのポイントがありました。

  1. ファーストフードは競合が多く、気分ひとつで心移りが起きやすい(メリットが感じられないものには見向きもしない)
  2. どうしようか迷うときは、自分自身で検索し、良し悪しを見極めようとする(メリットが感じられなければ候補から外れる)

 サービスを使うか悩んでいるライトユーザーたちが、自分にとってのメリットを感じること(自分ごと化)ができれば、利用につながるのではないかという仮説から、「予約サービスの利用を自分ごと化してもらう」ための方法を考えることにしました。

 そして「どのように」の部分。クライアントの例年のプロモーション結果を見ると「CMなどで予約サービスが話題にあがったことでブランドサイトなどへの流入はあるものの、予約ページまで辿り着く人が少ない」という課題が見えました。前述の「迷っている人は検索する」という点からも、ブランド名やサービス名で検索をした人が予約ページへいき、予約したくなる内容にするのが良いのではないかという考えに至ります。

 どのファーストフード店を利用しようか迷っている人へ、本予約サービスを使うことのメリットを自分ごと化してもらえるよう、予約ページのハブとなる企画を考える。このようにクライアント目線、ユーザー目線、過去から現在と、さまざまな視点でサービスのことなどを、深く広く客観的に分析すると、企画の方向性が見え始めるのです。

 最後に、肝となるアイディアの部分「どうしたらこの企画に参加してもらえるか」について考えます。まずはブレストからはじめるのですが、その際に活用するのが先ほど挙げた「引き出し」です。

 自分の中の引き出しをもとに、予約サービス利用を「自分ごと化」してもらうためにはどういう特徴をこの企画に持たせるのがよいのか。「自分ごと化×○○」という構図で考えてみます。「自分ごと化×マンガ」なども考えましたが、こちらも一過性の打ち上げ花火で終わってしまい、長期の利用にはつながらないだろうと考えます。

 予約サービスの内容を丁寧に説明しつつも、かたすぎず、読み進めてもらうためのおもしろさを求め、引き出しの中からさまざまな組み合わせを試してみます。

 最終的にたどりついたのは、「予約サービスを利用するかしないかで結末の変わるクリスマスの物語」という「自分ごと化×読み物×あるなしで結末の変わるストーリー」を掛け合わせた特設ページです。共感してもらえるように、物語の登場人物をターゲットと合わせるだけでなく、最後まで楽しんでもらうために、スマホのスクロールやスワイプに合わせて、サイトが変化する仕掛けを取り入れ、ただの読み物にならないようメリハリをつけました。その結果、前年よりも利用者数は増え、クライアントにも満足していただくことができたと思います。

 企画を考えるときは無数の視点から分析し、引き出しをもとに発想を重ねる。私はこのふたつの掛け合わせで考えています。

 今回は「企画」についてお届けしましたがいかがでしたでしょうか。次回もお楽しみに。

この記事の続きは、「CreatorZine」に掲載しています。 こちらよりご覧ください。

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https://codezine.jp/article/detail/14210 2021/05/21 08:00

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