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なぜDXには開発者体験が重要なのか? 日本CTO協会のレポートが示すその理由

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2021/06/30 11:00

 最近よく耳にする「DX」という単語。「企業のデジタル化」といった意味でよく使われているが、その実情や実現のための方策など、具体的な部分については不明な点が多い。日本CTO協会では、こうした状況を改善するために「レポートワーキンググループ」を作り、客観的な情報を集め会員限定で公開している。4月に開催された「Developer eXperience Day 2021」では、日本CTO協会理事 松本勇気氏が今年作成されたレポートの内容を振り返りながら、日本のDXの現状について語った。

目次

2つのDXとは?

 昨今、DXといえば「デジタルトランスフォーメーション」を想起する人が多いだろう。松本氏が理事を務める日本CTO協会では、これに「デベロッパーエクスペリエンス(Developer eXperience:開発者体験)」を加えて、2つのDXとして掲げている。デジタルトランスフォーメーションの実現のためにはデベロッパーエクスペリエンスも同様に重視し、両輪として回し続けることが求められるという考えだ。これは、開発者にとっても共感できる部分が多いだろう。

 一方で、その実情はどうだろうか。この2つのDXを重視する理由は分かる。しかし、実際になにをどうすれば推進できるのか語られることは少ない。そこで日本CTO協会が発足させたのが「レポートワーキンググループ」である。

 「さまざまな知見を収集しながらレポートという形でまとめて公開し、そこから現状を知って、自分にとっての2つのDXをどうすれば推進できるのか明らかにすることが、このレポートワーキンググループの目的になります」(松本氏)

 レポートワーキンググループでは「DX Criteria レポート」「翻訳レポート」「DX動向調査」と、大きく3つに分けて取り組んでいる。また、これらに加え、特定の出来事や事件を取り上げ、エンジニア組織としてどう対応するかという特集レポートの作成も行っている。

DXを進めるうえで、私たちが見るべきもの

 松本氏はまず、DX Criteriaレポートについて紹介した。「DX Criteria」とは日本CTO協会が監修・編纂している、エンジニア組織が「超高速な事業仮説検証能力を得る」ための基準である。5つのカテゴリーでソフトウェアを活用した組織がどうあるべきかをレベル分けしている。

DX Criteriaは5つのポイントでレベル分けされている。
DX Criteriaは5つのカテゴリーでレベル分けされている。

 例えば、「組織文化と見えない投資」というカテゴリーでは、組織文化や人事制度など、一見わかりにくいソフトな領域に対してベストプラクティスをまとめた基準を用意している。また「メリハリあるIT戦略」では、プロダクトの中で力を入れるべきところに投資を行い、内製と外注のメリハリがつけられているか、コストパフォーマンスの観点で、組織のソフトウェア活用を評価している。

 これらのカテゴリーについて合計320項目の質問を用意し、回答に対するスコアをまとめたものがDX Criteriaレポートだ。自組織のスコアを類似企業のスコアと比較し、相対的な弱みや強みを可視化することで改善に活用していくことがこのレポートの目的だ。

 続いて「翻訳レポート」について。これはアメリカや中国を中心としたさまざまな団体が発行しているレポートを日本語に翻訳し、その知見を国内で使えるようにする取組みとなっている。

 今年翻訳したレポートのうち、特に開発者が注目したいものとして紹介されたのが、ThoughtWorksの「Technology Raddar」からリモートワークに関連するものを抽出したものだ。「リモートネイティブ」という考え方をキーワードにリモート環境でのペアプログラミングやオンラインホワイトボードの活用ノウハウが紹介されている。

 「それぞれの現地の言葉で読めばいいじゃないかと思う人もいるかもしれないが、翻訳することでより多くの方に手軽にレポートを活用してほしい」と松本氏はこの取り組みの意図を語る。


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