nanapiではCCOに 初めてのマネジメントで上手くいったこと、苦労したこと
――初めて事業会社を選ばれたのですね。スタディプラスにはどういった経緯で入社されたのですか?
転職活動をしている際にエージェントに紹介してもらったのですが、それまではクライアントワークに携わっていたので、自社のプロダクトをデザインする仕事があると知ったときは新鮮でした。業界的にもスタートアップという言葉自体、当時はあまり認知されていない時代でしたが「どうやら今までとは違う経験ができそうだ」と感じたことが、入社のきっかけです。当時のメンバーは、社長とエンジニアと僕といったかなりミニマムな体制でした。
いままで僕が経験した制作会社では納品したら終わりであることが多かったのですが、自社製品であれば当然リリース後も改善しなければいけない。「UX」という言葉が広まり始めたタイミングだったこともありユーザーリサーチも自身で行うなど、仕事に対するスタンスが大きく変わりました。スタディプラスには約1年間在籍し、その後はnanapiへと転職しました。
それまでの転職は一種の“ノリ”というか、勢い任せの部分も正直ありました。ですがちょうど自分のなかで俯瞰的に世の中の動きが見え始めたころだったので、ほかの会社も経験してみたいと思ったんです。当時のnanapiは良い意味で未完成な部分が多いように感じ、そこに惹かれました。
最初はデザイナーとして入社し、事業の立ち上げやプロダクトの改善業務が中心でした。数ヵ月経ったころからビジネスの骨格づくりや組織づくりなどの話を社長とする機会が増え、マネジメントをやってみないかと声をかけてもらい、CCO(チーフクリエイティブオフィサー)に。32歳のときでした。僕がマネジメント経験はまだ浅いと知ったうえで任せてもらったことで、良いチャレンジをさせていただきました。
――マネジメントを経験するなかで、上手くいったことと苦戦したことをそれぞれ教えてください。
比較的上手くいったのではないかと感じているのは、制度や採用などを含めた組織づくりです。当時nanapiでは社長が表に出る機会が多く、社外には「彼の会社」というイメージが大きかった。ですがそれだと彼が影響力のある範囲以外にはリーチしづらいので、僕やほかのメンバーもメディアでお話しをさせてもらったり、セミナーを開いたり、積極的に露出する機会を増やすようにしていました。その甲斐もあってか、デザイナーの採用はスムーズにできるようになったと思います。
ですが総じて振り返ってみれば、大変だったことの方が断然多かった。なかでも苦戦したのは、採用したあとのピープルマネジメントです。チームのメンバーをケアするためのアプローチや成長してもらう工夫というのはとても難しい。当然ながらさまざまな人がいるので、ひとつのパターンに落としこむことが難しいんですよね。いまとなってはとても良い経験でしたが、経験が少なかったゆえに過剰に自身の時間を使ってしまうこともありました。
マネジメントについて業務内やセミナーでお話をさせてもらうこともありますが、そのほとんどは自分が失敗してきたことの裏返しです(笑)。
nanapiには2年ほど在籍し、そのあとはSupershipでM&Aの合併プロセスやPMIの統合プロセスに関わったり、メルカリで1年ほど新規事業の立ち上げなどに携わったのち、2017年に起業しました。