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エンジニアキャリア図鑑

アーキテクトは「価値」と「勝ち」を設計する──アーキテクト 米久保剛さんが語る、技術とビジネスをつなぐ思考

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 成長過程にあるエンジニアにとって、数年後の将来像を想像することは難しい。本連載「エンジニアキャリア図鑑」は、カケハシの小田中育生氏が、さまざまなエンジニアのキャリアのリアルに迫る企画だ。今回のテーマは「アーキテクト」。株式会社電通総研でプロダクト開発をリードするアーキテクトとして活躍し、『アーキテクトの教科書』の著者でもある米久保剛氏に話を聞いた。レガシーシステムとの格闘からとらえたアーキテクト志向、先達たちから学んだビジネス思考、そしてAI時代に求められる「経験」の重要性まで。20年以上のキャリアを通じて見えてきたものとは──。

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レガシーシステムとの格闘から生まれたアーキテクト志向

小田中育生(以下、小田中):米久保さんといえば、最近公開されたスライド「ユニットテスト基礎講座」が広く読まれていますね。そして『アーキテクトの教科書』の著者でもあります。自分も読ませてもらい、マネージャーの視点でも非常に学ぶことが多くありました。特に負荷テストの重要性など、エンジニアリングマネージャーとしておさえておきたいポイントへの理解が深まる部分を網羅的に学べる素晴らしい本だと感じました。そんな米久保さんとこうしてお話しできて、すごく嬉しいです。

 まず、米久保さん自身のこれまでの経歴と、今どんな仕事をされているかをお聞かせください。

米久保剛(以下、米久保):2000年に新卒でIT業界に入り、情報システム子会社で3、4年勤めた後、技術コンサルタントを経て、2008年に電通総研に中途入社し、現職となりました。

 電通総研では複数の大規模SI案件にアーキテクトとして参画した後、2017年頃から自社プロダクト開発に移り、現在はその開発をリードしています。最近ではアーキテクト以外にもいろんなことをやっていて、何の職種なのかよくわからない状態です。専門性は分化するけれども、また統合されていく、特にAI時代になって、その傾向が強まっていると感じます。

株式会社電通総研 米久保剛氏
株式会社電通総研 米久保剛氏

小田中:AI時代になって、エンジニアはコードを書くことからAIをマネジメントすることにシフトしています。何をAIに渡すかという点で、アーキテクチャの重要性が改めて浮き彫りになっていますね。

 さて、2008年から現職ということですが、入社時からアーキテクトとして活躍していたのでしょうか?

米久保:現職では入社時からアーキテクトの仕事をしています。キャリアの源泉をたどると、最初の会社では既存システムの保守・運用を担当していました。大企業によくあるレガシーシステムで、どこに何があるかわからない複雑怪奇なシステムでした。ドキュメントも古くなっているし、バグも多くてオンコールで対応する日々。私だけでなく現場のみんなが疲弊していて、ユーザーもストレスを抱えていました。

 こんな大変な環境が当たり前なんだろうか……と考えることもありましたが、しだいに「そんなはずはない」と思うようになりました。2000年代前半はITアーキテクトという言葉が流行りだした時期で、ITスキル標準(ITSS)の第1版が出たのが2002年頃。もしかしたら自分の進むべき道はこちらかもしれないと思ったのです。

 ちょうどその頃、外部からアーキテクトの方を呼んで、その方と私と2人でチームを作って師事する形で経験を積ませてもらう中で、「これだな」と思いました。アーキテクトとして、技術力を使って現場をもっと楽にしたい、楽しくしたいという志向が当時からありました。

小田中:働き始めて1〜2年の段階でアーキテクトを志向し、実際にそのアーキテクトの方が現場を変えるのを目の当たりにして道が拓けたと……いいですね。

株式会社カケハシ SCM Domain Head of Engineering 小田中育生氏
株式会社カケハシ SCM Domain Head of Engineering 小田中育生氏

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「それってどうやってお金にするの?」技術とビジネスをつなぐ思考

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この記事の著者

小田中 育生(オダナカ イクオ)

株式会社ナビタイムジャパンでVP of Engineeringを務め、2023年10月にエンジニアリングマネージャーとして株式会社カケハシにジョイン。2025年3月よりHead of Engineeringを務めている。薬局DXを支えるVertical SaaS「Musubi」をコアプロダクトに位置づけ、「しなやかな医療体験」を実現するべく新規事業のプロダクト開発にコミットしている。著書:『いちばんやさしいアジャイル開発の教本』(市谷聡啓、新井剛と共著)『ア...

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森 英信(モリ ヒデノブ)

就職情報誌やMac雑誌の編集業務、モバイルコンテンツ制作会社勤務を経て、2005年に編集プロダクション業務やWebシステム開発事業を展開する会社・アンジーを創業。編集プロダクション業務においては、IT・HR関連の事例取材に加え、英語での海外スタートアップ取材などを手がける。独自開発のAI文字起こし・...

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フットワークが窒素よりも軽いフリーランスフォトグラファー。ポートレート、取材、イベントなど主に人物撮影をしています。英語・中国語対応可能。趣味は電子工作・3Dプリント・ポールダンス。 Webサイト

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近藤 佑子(編集部)(コンドウ ユウコ)

株式会社翔泳社 CodeZine編集部 編集長、Developers Summit オーガナイザー。1986年岡山県生まれ。京都大学工学部建築学科、東京大学工学系研究科建築学専攻修士課程修了。フリーランスを経て2014年株式会社翔泳社に入社。ソフトウェア開発者向けWebメディア「CodeZine」の編集・企画・運営に携わる。2018年、副編集長に就任。2017年より、ソフトウェア開発者向けカンファレンス「Developers...

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