課題解決型の思考から未来型へ
多くのサービスは課題にフォーカスして作られることが多いのではないかと感じています。中心にある課題と向き合って、それを解決していく方法です。
一方、わたしたちが行っているのは、適切な未来(ゴール)を定め、現在の場所からつなげていくようにサービスを作るということです。明確な目的があれば、そこに向かうために余計な機能は必要ありません。
たとえば旅行をするときに、目的地に合わせて荷物の内容や時間の使いかたを変えるように、ゴールにたどり着くためになにが最適なのかを考えます。目的地に着くために最低限必要なものだけを残して、それ以外のものはすべて手放す――。そうすることで、シンプルかつ無駄のない、本質を捉えたサービスが出来あがります。
この削ぎ落とす作業(デザイン)がとても難しい部分でもありますが、勇気を持って削っていきます。
課題を中心に考えると、たくさんの解決方法やアイディアが出てくると思います。たとえば海に出かけるとします。課題中心に考えると、パラソルも浮き輪もいるし、ビーチボールも必要だし、飲み物を冷やすためのクーラーボックスがいるかもしれない。そんな風に、どんどん付け加えられていってしまうでしょう。
しかしゴールを中心に考えてみましょう。たとえば「海で綺麗な写真を撮る」、「海でバーベキューをする」という目的を定めれば、必要なものは自ずと見えてきます。課題解決型の思考ではなく、その先のゴールに、サービスの価値があるのではないでしょうか。
まとめ
クライアントワークを行っている企業やデザイナーの方は、課題解決型の思考で引き受けた経験があるかもしれません。
クライアント自身がどうすればいいかわからず、方向も見えていない状況は多々あります。しかし何かしらストレスや課題が見えているなら、その課題の先に小さくても光があるはず。その未来(ゴール)の状態を捉えて、そこに向けてサービスを作り出します。
より良いサービスをつくり、課題を解決するための手法として「デザイン思考」や「UXデザイン」などの言葉が注目されていますが、小手先の方法が先行してしまう事例も多くあります。手法ではなくその目的や課題の先にある適切なゴールを捉えて、進めていくことが「サービスの価値」を生み出すのではないでしょうか。
UXデザインとは課題の先にあるゴールを見つけ出して「サービスの価値」をつくること。それにつきるのではないかと思います。
本記事のポイント
- UXデザインとは「サービスの価値」課題の先にあるゴールを捉えたどり着くこと。
- ゴール(未来)からデザインすることでシンプルで無駄のないサービスを作り出す。
いかがでしたでしょうか。今回はプログラミングアプリを通して、「UXデザイン」にフォーカスしてお話ししました。
前回記事で、この2021年秋に正式リリース予定のGoogleのデザインフレームワーク「Material You」について紹介しましたが、現在はGoogleの「Flutter」が「Material You」に正式対応するとのアナウンス待ち状態です。
「Flutter」はクロスプラットフォームに対応しており、ワンソースで複数のプラットフォームに対応したアプリを開発することができます。「Material You」による統一感のあるUIデザインの利用が複数のプラットフォームで実現できるようになることで、デザインの潮流がまた少し動きそうな予感です。
次回以降の記事では、UXに内包されるUIデザインについて考察していきたいと思います。