不確実性が高い時代、開発には何が求められているのか
今回登壇した阿部信介氏は、クラスメソッドの内製化支援チームでマネージャーを務め、事業推進をメインに担当している。今回は3月23日にリリースした内製化支援サービス誕生の舞台裏とその想いが語られた。
この内製化支援サービスのコンセプトを考えるきっかけとなったのは、2020年10月長野県の某会議室にて開催された、あるミーティングだという。プロジェクトの全体像を示したホワイトボードを囲み、部門マネージャーが受託開発事業について、これからも競争優位性を維持できるのかをテーマに議論していた。当時、一部領域で価格競争が始まっていたからである。
より価値を提供するためにどうすればいいのか、クライアントが期待していることは何か──顧客の課題を解決し、ビジネスの成果を上げたい。そのためには専門家と共創し、なるべく早く動かねばならない。それらをこのホワイトボード上に整理していたのである。
議論の中で行きついたのは、単にクライアントのビジネスを開発するだけでは成り立たないということ。それまで阿部氏らは、要件定義や開発業務に注力していたが、クライアントはその前後も含めてすべて把握してほしいと考えているのではないか。
そこで、クライアントがどのような環境でビジネスをしているのかを考えてみた。不確実性が高く、既存の価値観やビジネスモデルが通用しないVUCAの時代。そこに適応するために、早く柔軟に市場投入を続けていく必要がある。
「我々のお客さまである事業会社が戦っているビジネス環境においては、本当は内製できる方がいいが、その難易度は高い。そして改めて振り返ってみると、『私たちはクライアントの期待に応えることができている』というのが各マネージャー共通の認識でした。つまり、まるでクライアントの内製チームのような関係性を築けていたのです」
さらに、価格競争に陥っていなかった、クライアントとの関係性がある案件を担当するメンバーにも聞いてみた。すると、みな目的意識を持っており、チームのモチベーションも高い。クライアントに信頼されて仕事をしていることが伝わってきたという。これはきっと楽しい開発に違いないと考え、この案件を「再現」する取り組みを行うことが決まった。
「思いつきで終わらせないためには、誰かがここで手を挙げなきゃいけないんだろうなと。この直感を大事にして手を挙げました。サービス立ち上げ前夜プロローグの話です」