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クリエイターとマーケターはいかにDXを捉えるべきか 変化の本質と今後求められる視点を考える

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 日常生活であらゆるもののデジタル化が加速している。ビジネスシーンではDXが求められ、急ビッチでその対応を進めている企業も多い。だが、ただデジタルを取り入れればよいかというとそういうわけではない。今回焦点をあてるのは、クリエイターとマーケター。そもそもデジタル化がもたらす変化のポイントはなにか。両者はその変化をどう捉え、そのためにどのような視点やスキルを持つべきなのか。クリエイティブとマーケティングの連携を進めるアドビの阿部成行さんに話を聞いた。

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データの洪水におぼれないために 今こそクリエイターとマーケターが連携すべき理由

――まずはこのコロナ禍によって、クリエイターやマーケターを取り巻く環境の変化について教えてください。

まず前提として、多くの方々の働きかたがリモートへとシフトしたというのは、とても大きい環境の変化だと思います。クリエイターやマーケターをはじめとしたビジネスパーソンだけでなく、とくにクリエイティブを行ううえで非常に重要な対象である“消費者”の働く環境が変わってきたことも、非常に大きなインパクトがあったのではないでしょうか。

消費者行動でいうと、いままでデジタルで提供されてきた領域とフィジカルで提供されてきた領域があります。たとえばジムに通っていた私は、オンラインで予約をし、実際ジムに行ってトレーニングをしていましたが、コロナ禍でジムが閉鎖になりました。以前からオンラインのトレーニング動画もありましたが、ジムのようなフィジカルがメインで利用されていたものが、ある意味で強制的にデジタルにシフトされてしまった。つまり、顧客体験の中心がデジタルに変わったということです。

それをうけ、さまざまな企業とお話をするなかで顕著に感じるのは、データ活用の高度化がどんどん進んできているということ。やはりデジタルというのは、お客さまのアクセス経路などの行動データが非常に取りやすくなっているので、それを何とか企業活動やマーケティングにつなげていきたいという要望はより強くなったと感じています。

――そもそもなぜ今こそ、クリエイターとマーケターが連携しなければいけないのでしょうか。

最近、デザイン思考やデザイン経営という言葉を耳にする機会が増えましたが、そのキモは何かというと、お客さまをきちんと中心に据え、共感のうえでプランを立てていくということ。そのために、企業活動そのものを企画して推進していくのがマーケターだと考えています。一方、クリエイターは実行部隊。そう考えると、顧客を中心に企業活動をどのように“プラン”し、“実行”していくか。この両輪を担っているのがマーケターとクリエイターだからこそ、その連携はとても重要だと思います。

また、デジタル化が進むことでデータはいくらでも取得できるものになってきましたが、その分、扱いに困ってしまう企業も非常に多い。いわば、データの洪水に流されてしまっている状態です。それはなぜ起こるのかと言うと、顧客がどうあるべきかというゴールを最初に設定していないことが一因だと感じています。

たとえば顧客理解のためにデータを活用するならば、顧客にどういう体験をしてもらいたいのか、どういった感情になってほしいからこのデータをとりたいというプランを先に考えてから、そのデータを取得するためのコンテンツを検討するはずです。ただ現在は、やみくもにデータを取ることができてしまうため、データの洪水に流されてしまう企業が増えている印象です。

それを是正するという意味でも、やはりクリエイターとマーケターの密な連携が不可欠だと考えています。

――両者が組織面から連携し、より密にコミュニケーションをとっていくためのポイントはありますか?

ここがもっとも悩ましい部分なので、まだ明快な答えはないと感じています。クリエイター側としてもちろんできることもありますが、とくに企業側に考えかたの変化が求められる領域ではないでしょうか。

やはりいちばんの理想は、デザインやクリエイティブの組織が企業内にあることです。データの洪水になる前に、きちんとプランニングをし、取得されたデータを常にみながら施策を打ち、最適化していく。そしてそのループをどんどん回していくためには、社内にそういったデザイン組織があるのがもっとも良いでしょう。一時期アメリカでも銀行がクリエイティブエージェンシーやデザインファームを買収するといった動きが、まさに同様の目的だったのだと思います。

そうでなくても、たとえばデザインコンサル企業があるひとつのブランドと長期で契約をする形であれば、企業とクリエイターとの距離感は非常に近くなりますし、そうすればデータへのアクセスも非常にしやすくなるので、これも良い体制と言えるでしょう。

ただやはり日本でまだ多いのが、案件ベースで受注するやりかた。キャンペーンのためにランディングページを作り、それを納品したら基本的に受注関係は終了という形です。たとえば「このキャンペーンはまた半年後に行うので、またそのときにお願いします」となってしまえば、キャンペーンの数値的な変化や顧客の動きは把握しづらく、データを時系列で捉え、ともに施策を打っていく関係にはなりづらい。そういった進めかたは、今後デジタルを中心に体験を届ける体制を構築するために変えていくべきもののひとつではないでしょうか。

アドビ株式会社 GTM・市場開発部 ビジネスデベロップメントマネージャー 阿部成行さん
アドビ株式会社 GTM・市場開発部 ビジネスデベロップメントマネージャー 阿部成行さん

そのためにクリエイターがすべきことは、とても抽象的な話にはなりますが、自分たちの役割やアウトプットを再定義したうえで、スキルやカバレッジを広げていくことだと思っています。

ランディングページの受注でたとえると、クリエイターがただサイトやビジュアルを制作する人となってしまえば、クリエイターをとりまくステークホルダーとの関係性はそのままですよね。ですが、長期的にコミュニケーションをとることで、ビジネスやデジタルマーケティング全般のスキル、職種を超えた理解を得るためにいかに周りにプレゼンをするかなど、今後はクリエイティブ以外の幅広いスキルを積み重ねていく必要があるのではないかと感じています。

この記事の続きは、「CreatorZine」に掲載しています。 こちらよりご覧ください。

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https://codezine.jp/article/detail/15123 2021/11/01 08:00

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