副業にもピッタリ――Shopifyパートナーの魅力
Shopifyパートナーの魅力は3つある。1つ目は効率よく稼げること。例えば、海外では2012年に友人4人でShopifyアプリの開発を始め、そのうちの1つが当たったことで、今では250人の従業員を抱える企業になった事例がある。「特に日本のShopifyアプリの市場は始まったばかり。まだ発掘されていないアプリのアイデアはたくさんあるはず。それを捉えることができれば、効率よく稼げるはずです」(梅田さん)
一般的にエンジニアのキャリアでよく話題になるのが、自社サービスの会社で働くか、受託開発の会社で働くか。前者の場合、機能設計や顧客開拓を全部自分たちで行う必要があり、売れるまで覚悟と時間が必要になる。後者の場合、機能要件を顧客ごとに合わせて作るのでスケールもしにくく仕事が固定化しがちになる。
だが、Shopifyのパートナーならプラットフォームの基本機能や既存顧客を使って、自社サービスや受託開発を提供できる。自分たちの提供できるコアバリューに注力することはもちろん、「副業的に始めやすいので、新しい挑戦もしやすい」と梅田さんは話す。
2つ目の魅力は多様な働き方ができること。梅田さんは社員だが、完全リモートワークで働いている。「家族との時間も確保でき、柔軟に働くことができている。これはパートナーという働き方でも同様だと思います」(梅田さん)
3つ目の魅力はShopifyの世界が楽しいこと。Shopifyのプラットフォーム上では数百万を超える事業者のECサイトが動いている。その中には自分の好きなブランドがあったり、自分の関わったストアで買い物をしたりすることもあるだろう。「そういった一つひとつが楽しく、仕事へのモチベーションに繋がる」と梅田さんは話す。
Shopifyというプロダクト自体が良いことはもちろんだが、進化のスピードが速いことも、楽しさにつながる。例えば昨日、お客さまにできないと伝えたことが、翌週にはできるようになることもあるそうだ。
eコマースがさらなる発展をするために梅田さんは「女性の力が必要だ」と強調する。第一の理由は、ユーザーや消費者の50%は女性が占めていることだ。その一方で、開発を担当するITベンダーは圧倒的に男性が多い。つまり、男性によってほとんどのモノやサービスが生み出されているわけだ。
例えばかつてシートベルトは、男性より女性の方が重症化する率が47%高い結果が報告された。従来のシートベルトは、成人男性の体型を基本に開発されていたからだ。また、iPhone Xがリリースされたときは、その大きさから、海外では「女性のことを無視したデザインなのでは」とニュースになったこともある。つまりeコマースの領域でも開発者が男性ばかりだと、「デザインの品質に偏りが出ることにつながる」と梅田さんは話す。
第二の理由は、考え方の多様性を担保するためである。さまざまな企業の調査で、ジェンダーバランスの良い会社のほうが、成長率が高いことが証明されている。「私自身、前職でいろいろな考え方を持っている人が集まっているほうが、チームとしてのパフォーマンスが高くなることを経験した」と梅田さんも言う。
第三の理由はロールモデルが求められていること。梅田さんはこれまで女性エンジニアやIT女子と言われることに「男性と同じパフォーマンスを発揮しているのに、なぜ女性と冠が付くのか」と違和感を持っていたそうだ。だが、あることをきっかけに考えが変わったという。梅田さんの前職はIBMのERPコンサルタント。そのときのCEOはバージニア・ロメッティ氏。ロメッティ氏は退任するとき、次のようなメールが送られてきた。
私は女性初と言われるのが嫌だった。自分の仕事を純粋に評価して欲しくて、レッテルを貼って欲しくなかったからです。徐々に考え方が変わり、今では女性のロールモデルになるというのは、私に取っての義務だと感じています。なぜなら、見えないモノにはなれないから。
このメールを見て、梅田さんも「なるほど」と思ったそうだ。事実、高校生のなりたい職業ランキングを見ると、システムエンジニア・プログラマーは男子のランキングには上位に入っているのに、女子だと圏外になっている。「見えないと選択肢に入ってきません。女性エンジニアとしてビジブルに活躍することが、今後のITの道を目指す女性を増やしていくことになると思うのです」(梅田さん)
Shopifyに関わって働く道は大きく2つ。1つは社員になること。そしてもう1つがパートナーになることだ。パートナープログラムには次のURLにアクセスし、登録するだけで参加できる。Shopify開発に求められるのは、「フロントエンドとバックエンドのバランスの良い知識」と梅田さんは言う。具体的には、フロントエンドなら、JavaScript、HTML、CSS、Liquid。バックエンドならGraphQL、React、REST、データベース周りの知識である。これらのスキルの全てに自信があるわけではなくても、「一歩踏み出して欲しい」と梅田さんはエールを送る。
ShopifyではShopifyブログやチュートリアルなど、パートナーをサポートする環境も整備されている。またオンラインコミュニティも活発で、パートナー同士、助け合う土壌もできているからだ。
Shopifyでは働く仲間も募集している。求められる知識に不安を感じる人もいるかもしれないが、梅田さんもShopifyに応募する際、GraphQLの知識は乏しく、eコマースの経験も無く、また英語力にも自信がなかったという。だが、「夫が『なんとかなるよ』と背中を押してくれました。興味のある人は、ぜひLinkedInで検索してみてください。私たちの仲間となって、みなさんにとってよりよい世界を作っていきましょう」
最後にこう参加者に呼びかけ、梅田さんはセッションを締めた。