面倒なことほど、自動化へのモチベーションとなる
「エンジニアの大半は面倒くさがりだと思います」と松原氏は語る。面倒なことほど自動化させて楽をできるよう工夫するからだ。松原氏自身もデプロイスクリプトや、端末のセットアップなど、自動化に没頭する時期があり、DevOpsやSRE(Site Reliability Engineering)に興味をもつこととなる。
「調べているうちに、今やりたいことは、DevOpsやSREの業務に近いことがわかり、その方向に舵を切りました。DevOpsエンジニアに必要なものを調べると、開発とインフラの知識というのがよく見られました。開発についてはそれなりにあるのですが、インフラの知識は持っていませんでした。ミドルウェアのセットアップなど、ある程度の知識はあるものの、経験済みとは言えない状態でした」(松原氏)
そして、転職エージェントの紹介によってgrasysにインフラエンジニアとして入社することとなる。これまでの開発経験も加味され、採用に至った。入社してインフラエンジニアとしての業務を見ると、すでに経験をしていたことが多いことに気づく。
松原氏は、インフラエンジニアの業務はサーバーとネットワークの2つの領域があると言う。これに加えてオンプレミスとクラウドという環境の違いもある。
オンプレミスならサーバーの調達やOSやミドルウェアのセットアップをし、ネットワーク関連ではルーターの設定を行う。クラウドの場合は機材の調達は必要ないものの、OSやミドルウェアのセットアップは必要。ネットワークはクラウド事業者が担う部分が多いためエンジニアの業務は少ない。このため松原氏は「クラウドの場合、エンジニアは違う方向で領域を広げるべきだと思っています。例えばクラウドのプランやマネージドサービス、サードパーティのサービス・ツールを熟知してより良い組み合わせを提案できる知識が必要と考えます」と説明した。
grasysでは、開発者が開発しやすい環境を準備することが価値であると考えている。このためCI/CD環境支援や負荷試験の協力、インフラと相性の良いパートナーとの提携をしている。複数のサービスやツールを駆使するインフラエンジニアには、DevOpsの考え方や技術を身につけることが重要となるが、松原氏もそのために学習を始め、休日などの空いた時間はGoogle Cloudのマネージドサービスなどを手当たり次第に触れていったという。
以前は開発関連のツールやサービスにばかり注目していたが、監視ツールのセットアップやメトリクスの取得・出力、ログのバックアップなどには関心を持っていなかった。新しい領域の技術を深く学んでいくことでセキュリティ技術への興味も芽生えた。開発者の要望もあって、プロビジョニングには「Terraform Cloud」も導入するようになり、セキュリティツールでは「Vault」「Tenable.cs」「Snyk」などの検証も行っている。さらに、同じミスを起こさないような自動化、パッケージ化、IaC活用にも注力しており、DevOpsの取り組みを加速している。
最近の課題について松原氏は、プロジェクトごとに設定が異なることや、脆弱性検知ツールで検知したあとの対応が確立されていないこと、暗黙知がドキュメントされていないことを挙げ、その改善活動について話した。
「最近、サービス品質の標準化のために、ドキュメント化したり、プロジェクト共通のTerraformモジュールを作ったり、部署内のルールを作ったりしています。これらの活動もあって、『Google Cloud Partner Advantage プログラム インフラストラクチャのスペシャライゼーション認定』を取得できました。この資格を取るには標準化が大事です」(松原氏)
さらに今後は、プロビジョニングや構成管理、デプロイ、オーケストレーションなどのITプロセスを自動化する「Ansible(アンシブル)」を使って、運用を一新し「すべてが自動化する未来」を目指しているという。
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