インシデントを発生させないことが、ブランドの価値向上につながる
クラシコムは2023年4月にテレビ番組「カンブリア宮殿」、10月には朝のニュース番組「THE TIME,」で取り上げられ、会社や「北欧、暮らしの道具店」の知名度が向上し、多くの顧客を獲得した。地上波テレビ放映によって自社サイトへは多くのトラフィックが予想される。顧客が増えることは嬉しいがエンジニアとしては、サイトがリクエストに耐えられるかが最も気になる点である。
「カンブリア宮殿」放映時には、矢田氏とチームメンバーはテレビを見ながらメトリクスを開き、リクエスト数やサーバーの状況を確認していた。そして、通常の約15倍のトラフィックが発生した。番組開始から終了まで、リクエストが緩やかに増え続ける状態が続いた。しかし、ECサイトもコーポレートサイトも問題なく運営を続けることができた。放映から1時間で、8600を超えるアプリのダウンロードがあった。
矢田氏は、事前の準備について「テレビ放映が決まった際、サーバーが落ちることでの機会損失やお客様の失望を防ぐための対応策をチームで話し合いました。結果として、ECSのタスクを増やすことで対応しました」と話した。
「北欧、暮らしの道具店」のサイトでは、ロードバランサーを経てAmazon ECSそして各種データベースなどが配備されている。対策としてロードバランサーを増やしておく「暖気」やデータベースの増強があるが、以前の経験からECSのタスクを増やす対応のみで耐えられた。ECSにはCPU使用率ベースでオートスケーリングが設定されていたが、急な対応が難しいため事前にタスクを増やした。なお、コーポレートサイトはAmazon CloudFrontでキャッシュしているため特に対策の必要はなかった。
最後に矢田氏は、エンジニアとして事業や会社を支えることについて次のようにコメントした。
「『北欧、暮らしの道具店』はたくさんのお客様に支えられて大きくなったサービスです。私たちエンジニアとして、このサービスの世界観をつくることは難しいですが、インシデントを予防することが世界観を支えることやクラシコムの信頼につながると思っています。少人数でも管理できるよう作業を分担できる環境の構築が大切です」
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