SHOEISHA iD

※旧SEメンバーシップ会員の方は、同じ登録情報(メールアドレス&パスワード)でログインいただけます

CodeZine編集部では、現場で活躍するデベロッパーをスターにするためのカンファレンス「Developers Summit」や、エンジニアの生きざまをブーストするためのイベント「Developers Boost」など、さまざまなカンファレンスを企画・運営しています。

Women Developers Summit 2023 セッションレポート(AD)

テレビ放映のスパイクに耐えた「北欧、暮らしの道具店」を支えるインフラ技術のつくりかた

【B-2】「北欧、暮らしの道具店」を支えるインフラ技術

  • X ポスト
  • このエントリーをはてなブックマークに追加

インフラ環境の管理をコード化し、効率化

 クラシコムのインフラには、「北欧、暮らしの道具店」のサービス、社内用システム、コーポレートサイトという3つの主要なアプリケーションがある。矢田氏が2020年に入社した時、インフラは変更の過渡期にあり、AWSのアカウントが本番とステージングに分割され、ECSはまだサービスが搭載されていない状態だった。当時、ショップとカートシステムはAWS OpsWorksで管理されていたため、AWSのマネジメントコンソールから操作していた。

 矢田氏がクラシコムに転職したばかりの頃、AWS環境でのインフラ開発、構築、運用の経験はなかった。入社初期は、アプリケーションが分割されており、多数のAWSリソースを管理する必要があった。ペアで作業をしながら先輩の業務を観察し、学ぶ必要があり、作業を覚えることに自信がなく、初めは困難を感じていたという。

 現在は、主なアプリケーションが統合され、Amazon ECS上で動くようになっている。AWSリソースTerraformによってコード化され、GitHubで管理されている。変更が必要な場合は、プルリクエストを作成し、チームメンバーでレビュー後、反映作業を行うことでオペレーションミスを減らしている。

「北欧、暮らしの道具店」サイト構成の変化【以前】
「北欧、暮らしの道具店」サイト構成の変化【以前】
「北欧、暮らしの道具店」サイト構成の変化【現在】
「北欧、暮らしの道具店」サイト構成の変化【現在】

 コーポレートサイトは2022年の上場に伴いリニューアルし、インフラも刷新した。以前はElastic Beanstalkで作業していたが、こちらもECS上で動作し、Terraformによる管理ができるようになった。静的コンテンツが多いため、Amazon CloudFrontを利用してキャッシュし、リクエストが集中しても応答できるようになっている。

 「ECSへの集約により、AWSリソースの管理が簡素化され、対応が楽になりました。Terraformでのコードベース管理により、属人化が減少し、プルリクエストを通じてのやり取りが可能になり、引き継ぎも容易になりました」(矢田氏)

 矢田氏が入社した当初、AWSアカウントは本番とステージングに分割されており、本番環境を誤って破壊するリスクは低減されていた。現在はアカウントがさらに細分化され、適切な権限設定と管理が行われている。インフラの変更を行いたい場合、サンドボックスやステージングでテストし、本番環境に誤って影響を与えるリスクを低減している。ソースコードで設定管理しているため、復元も比較的容易になっている。適切な権限管理も行われているため、初心者が誤って承認やマージを行うリスクが減少した。コードベースでの管理により、ドキュメントの作成や探索の手間も軽減された。

 さらに、プルリクエストは複数のメンバーによる確認を経て変更されるため、変更時の安心感が増している。CIの設定やセキュリティ診断ツールであるTrivyの導入により、誤った設定の導入が防止されている。レビュー時には、Terraform Planの内容がコメントに記載されるため、レビュアーが変更内容を確認しやすくなっている。

Terraform利用と適切な設定で初心者も安心な環境に
Terraform利用と適切な設定で初心者も安心な環境に

 エンジニア7名のうちおよそ半数がSREの役割ができるようになっているという。矢田氏は「Terraformを使用したインフラの構築は非常に楽しく、ソフトウェアエンジニアの方々もインフラ業務に興味があれば参加してみると良いと思います。Terraformはチームでの開発に非常に適しており、取り組むハードルも高くないので、気軽に試してみてください」と語った。

次のページ
インシデントを発生させないことが、ブランドの価値向上につながる

この記事は参考になりましたか?

  • X ポスト
  • このエントリーをはてなブックマークに追加
Women Developers Summit 2023 セッションレポート連載記事一覧

もっと読む

この記事の著者

森 英信(モリ ヒデノブ)

就職情報誌やMac雑誌の編集業務、モバイルコンテンツ制作会社勤務を経て、2005年に編集プロダクション業務やWebシステム開発事業を展開する会社・アンジーを創業。編集プロダクション業務においては、IT・HR関連の事例取材に加え、英語での海外スタートアップ取材などを手がける。独自開発のAI文字起こし・...

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

川又 眞(カワマタ シン)

インタビュー、ポートレート、商品撮影写真をWeb雑誌中心に活動。

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

CodeZine編集部(コードジンヘンシュウブ)

CodeZineは、株式会社翔泳社が運営するソフトウェア開発者向けのWebメディアです。「デベロッパーの成長と課題解決に貢献するメディア」をコンセプトに、現場で役立つ最新情報を日々お届けします。

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

提供:株式会社クラシコム

【AD】本記事の内容は記事掲載開始時点のものです 企画・制作 株式会社翔泳社

この記事は参考になりましたか?

この記事をシェア

  • X ポスト
  • このエントリーをはてなブックマークに追加
CodeZine(コードジン)
https://codezine.jp/article/detail/18714 2024/01/15 12:00

おすすめ

アクセスランキング

アクセスランキング

イベント

CodeZine編集部では、現場で活躍するデベロッパーをスターにするためのカンファレンス「Developers Summit」や、エンジニアの生きざまをブーストするためのイベント「Developers Boost」など、さまざまなカンファレンスを企画・運営しています。

新規会員登録無料のご案内

  • ・全ての過去記事が閲覧できます
  • ・会員限定メルマガを受信できます

メールバックナンバー

アクセスランキング

アクセスランキング