KOBA789氏が語る技術力との向き合い方とは?
続いてKOBA789氏は、現在28歳のエンジニアとして、同世代の人たちの悩みについて話を向けた。組織において仕事をある程度経験している20代後半の人たちは、事業の大切さやユーザーにとっての価値、仕事を進めるうえでの意思決定のプロセスがわかるようになり、チーム間の調整にも慣れてくる。コードを書く以外の方法で問題を解決できるようになる。
そこで生じるのが「結局ソフトスキルが重要なのか。エンジニアというのは何? ソフトスキルが重要ならコードを書かなくていいのではないか。技術力だけでは駄目なのか」というサラリーマンエンジニアとしての葛藤だ。
KOBA789氏は「ソフトスキルは大切だが、溺れてはいけない」と話した。
例えば、エンジニア視点で頻繁にデプロイをしたいと思うのは、細かい単位で機能をリリースし、仮説を検証できるからだ。自分の書いたコードがすぐに反映されるのはモチベーションにもなる。一方で、頻繁なデプロイがバグを引き起こすなど、ユーザーに影響を与えるリスクをマネージャーは嫌う。
そんな場面での解決方法の一つは「ソフトスキルを使って、機能リリースの短縮により、競合に対して優位に立てると説得すること」だ。それまでの信頼を積み重ねていれば、マネージャーも納得するかもしれない。
もう一つの方法は、技術で問題を解決することだ。ブルーグリーンデプロイやカナリアリリース、E2Eテストなどを導入し、ユーザーへの影響を限りなく小さくする。例えば、リリースをほんの少しのユーザーにだけ当て、問題があればすぐに元に戻すことで、ユーザーへの影響を最小限に抑える。
技術で解決する方法について「実装コストが高いからソフトスキルで説得したほうがいい」という意見もあるだろう。しかしKOBA789氏は「実装コストが高いのは、技術が足りていないからです。無限の技術力があれば、説得するよりも素早くローンチできます」と持論を展開した。
最後にKOBA789氏は、デブストのテーマ「Be a changer, Be a challenger」をとりあげ、「チャレンジャーは、自分が望むかどうかに関わらず、うっかりそうなってしまうものだと思っています。高い技術とわがままな心を持てば、自然とより良い選択肢を見出すようになります。そして、最善の選択肢を選び『これをやる』と決めて行動することで、世界を変えることができます。変化への願望ではなく『これが最良だ』という確信に基づく行動が、世界を変える力を持つのです」とコメントした。