IT関連調査大手の米Gartnerは、世界中の企業や団体が、ハードウェアやサービスなど、ITに関連する事柄にどの程度出費するのかを予測した値を16日(現地時間)に発表した。今回の予測によると、2024年に世界中の企業や団体がIT関連の事柄に出費する額は、2023年比で7.5%増となる5兆2671億6300万ドル(828兆8750億624万円)ほどに達する見込みだ。同社は2024年4月17日に前四半期分として同様の予測を公開しているが、2023年と比べて8%増となる5兆610億1300万ドル(796兆4870億4290万円)程度と予測していた。
2023年予測 | 2023年の成長率 (単位は%) |
2024年予測 | 2024年の成長率 (単位は%) |
|
データセンター |
236,098 |
4.0 |
293,091 |
24.1 |
ハードウェア |
692,784 |
-6.5 |
730,125 |
5.4 |
ソフトウェア |
974,089 |
11.5 |
1,096,913 |
12.6 |
ITサービス |
1,503,698 |
4.9 |
1,609,846 |
7.1 |
通信サービス |
1,491,733 |
3.2 |
1,537,188 |
3.0 |
総額 |
4,898,401 |
3.8 |
5,267,163 |
7.5 |
Gartnerで調査担当の副社長を務めるジョン・デイヴィッド・ラヴロック(John-David Lovelock)氏は、今回の予測について「生成AI関連の出費が、IT関連出費のすべての領域で増加しているが、関係する人すべてが、その出費による恩恵を受けているわけではない」と評価している。ラヴロック副社長はさらに「ソフトウェア関連の出費の一部は生成AIに関係すると考えられるが、ソフトウェア企業にとっては生成AI関連の出費が税金のようになっている。生成AIを活用したソフトウェアによる収益は、ソフトウェア企業が利用している大規模言語モデルの使用料として、大規模言語モデルの企業に流れている」とコメントしている。
今回の予測を細かく見ると、IT関連の出費のうち、特にデータセンターの使用料が2023年比で24%増の2930億9100万ドル(46兆1257億8230万円)となっているのを筆頭に、ハードウェア、ソフトウェア、ITサービスなどすべての分野で2023年に比べて出費が増加するという予測になっている。ラヴロック副社長は「生成AIに必要なコンピューティング能力はデータセンターから得るものと感じられているようだ。データセンター使用料が大きく伸びるという予測は、生成AIに関連するデータセンター需要を反映している」と評している。
一方で、ITサービスの分野の出費は、1兆6098億4600万ドル(253兆3406億6009万円)ほどとなっている。この値は2023年比で7.1%増に当たるが、前四半期の予測では2023年比で9.7%増となっていた。予測を引き下げた理由の1つとしてGartnerは、コンサルティングやビジネスプロセスサービスなど、出費の動きが鈍いサービスを抱えている点を挙げた。
さらにラヴロック副社長は「2024年初頭から、企業や団体のIT責任者(CIO)が変化に対して疲れ切っていた。しかし現在、2023年第3四半期から後回しにされてきた契約が成立している。2024年後半は、年初からの低調な動きを取り戻すように出費が増えると期待している」とコメントしている。
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CodeZine編集部(コードジンヘンシュウブ)
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