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Developers Summit 2024 KANSAI セッションレポート

アジャイル開発の推進において、必ずしも"すごい人"は必要ない──現場のエンジニアがDevOps推進で実現する組織改革

【A-5】5年のアジャイル推進で見つけた、壁の乗り越え方 -現場から変革にチャレンジ-

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現場から変革するための「5つのヒント」

 こうした取り組みは少しずつ実を結びつつあり、関電システムズでのアジャイル開発件数は着実に増加している。マインド面でも大きな変化が見られ、当初見られた「アジャイルは自分たちには合わない」という思い込みが消え、「どうやったらできるようになるか」という考えのうえでCoEへ積極的に相談する場面が増えてきたという。

4年以上の時間を要して山が動いた
4年以上の時間を要して山が動いた

 アジャイルが浸透し、変革の中にある関電システムズ。西内氏は「現場目線での変え方のヒント」として、以下5点を挙げた。

  1. 「べきである」と「そうである」ことは違うこと
  2. 小さな一歩でも継続すること
  3. 生き延びさせること
  4. 仲間を見つけること
  5. 自分の「想い」を大切にすること

 1.は目の前の現実から目を背けず、会社の仕組みや文化がそうさせている背景まで理解することが必要だという点だ。西内氏はこの点について、「そのエンジニアが持つ背景が"合理的判断”をさせていると理解して、その背景事実に対して目を向けていく」ことが重要だと指摘する。

 2.は変革したい対象が大きいほど越えなければならないハードルは高いが、それでも手を変え品を変え、状況に応じた施策や取り組みを打ち続けなければならないという点だ。

 3.は組織の中で何かに取り組み続けるための予算を確保しなければならないため、計画予算を作って施策を生き残らせるという点だ。また、ここの点には自らの生存も含まれる。「無理をせず、自分が続けられる範囲でやっていくことはすごく大事」なのだ。

 4.は社内外を問わず仲間を作ることで、自分が孤独になることを防ぐという点だ。先進的な取り組みは孤独になりがちで、孤独になってしまうと施策も続かないのだ。西内氏は、勉強会コミュニティなどを通じて仲間を作ることの重要性を改めて強調した。

 5.は西内氏自身が4年間結果を出せずにいた中で、「この取り組みを続けることで実現したいビジョンがあった」からこそ、耐えられたという経験に即する。西内氏は「新しい取り組みにチャレンジするときは、『なぜそれをやらなければならないのか』を明確にすべき」と指摘する。

【57】最後まで希望を捨てない、「諦めたらそこで終わり」の精神
最後まで希望を捨てない、「諦めたらそこで終わり」の精神

 「アジャイル開発の推進において、必ずしも"すごい人"は必要ない」と語る西内氏。変革の主役は現場にいる普通のエンジニアであり、自分たちができる方法で着実に一歩一歩前に進んでいくことが重要。そして、その過程で見出した「想い」を大切にし続けることが、長期的な変革の成功につながっていくのだ。

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この記事の著者

中島 佑馬(ナカシマ ユウマ)

 立命館大学卒業後、日刊工業新聞社にて経済記者として勤務。その後テクニカルライターを経て、2021年にフリーランスライターとして独立。Webメディアを中心に活動しており、広くビジネス領域での取材記事やニュース記事、SEO記事の作成などを行う。

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

CodeZine編集部(コードジンヘンシュウブ)

CodeZineは、株式会社翔泳社が運営するソフトウェア開発者向けのWebメディアです。「デベロッパーの成長と課題解決に貢献するメディア」をコンセプトに、現場で役立つ最新情報を日々お届けします。

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岩本 隆之(イワモト タカユキ)

 1986年 兵庫県神崎郡出身 2009年 関西大学卒業 学生時代より写真・映像制作を行う。 写真撮影スタジオ勤務ののち、2020年独立。 現在は大阪市在住。 広告写真を中心としながら、ジャンルを問わず活動中。 HP Instagram

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