新たな出会いは「自らの意志と行動」から生まれる
自分自身が納得できるキャリアを歩むためには、「人生を変える」出会いや転機も不可欠だ。そして曽根氏は、「人生を変える瞬間に遭遇する可能性は、狙って上げられる」と語る。
曽根氏が「計画的偶発性理論」と語るメソッドは、とにかく"バッターボックスに立つ回数"を増やすことで、出会いの機会を増やそうとするものだ。その実践にあたっては、「新しいことに興味を持つ好奇心」「失敗を恐れない楽観主義」「失敗しても諦めない持続性」「多様な価値観を認め学ぶ柔軟性」「リスクを恐れず、未知の領域に飛び込む冒険心」という五つの資質を備えていることが求められる。
たとえば、新しい人と出会うためにコミュニティに参加したり、そこで知った技術を自ら調べたり。そうした具体的な行動を積み重ねることで、さらなる良著や良質なコミュニティなどに遭遇する可能性を上げていくわけだ。
曽根氏はDevelopers Boostを例にとり、登壇者のSNSをフォローして著作や他の講演などを調べたり、懇親会に出席したりといった行動を“実践”の具体例として提案する。加えて曽根氏は、懇親会で使える会話のフレーズとして、2つの実例を提供した。
1つ目は「今日、良かったセッションは何だと思いますか」。相手の経験や学びを中心に、コミュニケーションを広げる問いかけだ。2つ目は「最近どんな本を読んでいますか」「どんな勉強をしていますか」。ここで得られた回答は、そのまま自分の勉強に生かせる。
曽根氏は周囲の人々から受ける影響の重要性を強調したうえで、定期的な勉強会などを開催できるようなコミュニティに自らを置き、環境を変えることで自分自身の変革を進めることを推奨している。
24歳で警察官からエンジニアへのキャリアチェンジを果たした曽根氏は、CTOを務める身の上となった今でも「自分はスーパーエンジニアではない」と語る。これまでのキャリアや経験も、「半径5m以内にいる人に価値を届けようとした結果」だとしつつ、「目の前の仕事に1つずつ取り組む中で、新たなチャンスをつかんでチャレンジしてみたり、新しい出会いを大事にしたりといった行動の先に素晴らしいキャリアがある」と述べた。
偶発的な出会いの可能性を実現し、良質なコミュニティで自らを高めていくためには、まずは自ら行動しなければならない。最後に曽根氏は、「今日のイベントも、皆さんの人生が変わるきっかけになる可能性は十分ある。『自分の人生を変えるんだ』という気持ちで、まずは隣の人と名刺交換したり、新たな勉強会に参加したりといったアクションを試みてほしい」とエールを送り、セッションを締めた。