SHOEISHA iD

※旧SEメンバーシップ会員の方は、同じ登録情報(メールアドレス&パスワード)でログインいただけます

CodeZine編集部では、現場で活躍するデベロッパーをスターにするためのカンファレンス「Developers Summit」や、エンジニアの生きざまをブーストするためのイベント「Developers Boost」など、さまざまなカンファレンスを企画・運営しています。

Developers Summit 2025 セッションレポート(AD)

「バグが収束せず、プロジェクトの炎上が止まらない!」——修羅場からの脱却をいかに実現したか?

【13-E-8】不具合流出の減らしかた。不具合流出の予防に効くツール選択と開発体制づくりを掘り下げてみる

  • X ポスト
  • このエントリーをはてなブックマークに追加

 2025年2月13日、14日の2日間にわたり、ホテル雅叙園東京(東京・目黒)にてソフトウェア開発者向けカンファレンス「Developers Summit(デブサミ)2025」が開催された。ハートランド・データ株式会社 セールス&カスタマーサクセス部 部長 新井雅嗣氏によるセッション「不具合流出の減らしかた。不具合流出の予防に効くツール選択と開発体制づくりを掘り下げてみる」では、かつて開発プロジェクトの炎上が相次いでいた状態から同社が脱却できた理由と、そのために行った具体的な施策について紹介が行われた。

  • X ポスト
  • このエントリーをはてなブックマークに追加

「炎上プロジェクト頻発」という黒歴史をいかに乗り越えてきたか

 ハートランド・データは、栃木県足利市に本社を置く従業員数約70名のソフトウェア/ハードウェア開発企業で、設立から44年の歴史を持つ。同社は組込み系を中心としたソフトウェア/ハードウェアの受託開発に加え、自社独自に開発したテストツールの外販も手がけている。

ハートランド・データ株式会社 セールス&カスタマーサクセス部 部長 新井 雅嗣氏
ハートランド・データ株式会社 セールス&カスタマーサクセス部 部長 新井 雅嗣氏

 同社 セールス&カスタマーサクセス部 部長 新井雅嗣氏によれば、同社では特に2010年頃から自社製品の開発プロジェクトにおいて不具合が多発し、その結果としてプロジェクトの炎上が頻発していた。ここで言う「炎上プロジェクト」とは、「問題が積み重なってスケジュールがどんどん遅延し、想定通りに開発を終えることが困難になったプロジェクト」のことを指す。

 本来、プロジェクト管理においては「出荷日程から工程を逆算する」「開発リスクを織り込む」「スケジュールに余裕を持たせるためのバッファを設ける」といった原則を守ることで炎上を防ぐことができる。だが、同社の開発プロジェクトではこれに反して、前工程で生じた作業遅延を後工程で挽回しようとするも追い付かず、結果として無理な負荷がかかり、プロジェクト全体が炎上するというパターンが繰り返されていた。

 こうした状況の改善を目指し、開発途中で見つかる大量の不具合とプロジェクト炎上の間の相関関係をあらためて整理した結果、以下の仮説に辿り着いた。

 「開発プロセスの各段階でテストというフィルターを掛けるものの、プロジェクトが炎上している状態ではそのフィルターの目が粗くなり、結果的に多くの不具合が検出されないまま次の工程へと流れていきます。こうして徐々に蓄積されていった不具合は、最終的にリリース後に発見され、ユーザーからの厳しい反応を招くことになります」(新井氏)

 さらに同社ではこうした状況を理論的に分析するために、「レイリーモデル」を用いてプロジェクトのどのフェーズでどの程度の不具合が発生するかを分析してみた。その結果、不具合発生のピークが単体テストフェーズまでに訪れた場合は、その後のフェーズを通じて不具合を無事収束できることが分かった。

 しかし、統合テストフェーズの段階まで不具合発生のピークが遅れると、リリース直前まで不具合が収束せず、結果として製品リリースの延期を余儀なくされるケースも発生していた。新井氏はまた、炎上プロジェクトにおいてエンジニアが陥りがちな「認知バイアスの罠」についても言及した。

認知バイアスの罠
認知バイアスの罠

 「『自分ならできるはず』という過度な自信や、『あの時できたのだから、今回もできる』という過去の成功体験に基づく思い込み、『自分が採用した手段を否定されたくない』といった心理が、適切な判断を妨げる要因になります。従ってプロジェクト炎上を避けるためには、こうした認知バイアスから脱却し、物事や人、自分自身としっかり向き合った上で最善の判断をすることが重要です」(新井氏)

デバッガやprint文では解決できない動作検証や不具合解析に

【動的テストツール DT+(ディーティープラス)】は、プログラムのトレース情報と時間情報を組み合わせたログ収集が可能。実行経路・変数値・実行時間・波形・通信・映像など、多角的なデータ解析ができるから、複雑な不具合の原因特定もスピーディー。

 ▶ 詳しくはこちら

次のページ
ISO 26262準拠の開発プロセスの構築が状況好転の契機に

この記事は参考になりましたか?

  • X ポスト
  • このエントリーをはてなブックマークに追加
Developers Summit 2025 セッションレポート連載記事一覧

もっと読む

この記事の著者

吉村 哲樹(ヨシムラ テツキ)

早稲田大学政治経済学部卒業後、メーカー系システムインテグレーターにてソフトウェア開発に従事。その後、外資系ソフトウェアベンダーでコンサルタント、IT系Webメディアで編集者を務めた後、現在はフリーライターとして活動中。

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

井山 敬博(イヤマ タカヒロ)

 STUDIO RONDINOのカメラマン。 東京綜合写真専門学校を卒業後、photographer 西尾豊司氏に師事。2008年に独立し、フリーを経て2012年からSTUDIO RONDINOに参加。 STUDIO RONDINO Works

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

CodeZine編集部(コードジンヘンシュウブ)

CodeZineは、株式会社翔泳社が運営するソフトウェア開発者向けのWebメディアです。「デベロッパーの成長と課題解決に貢献するメディア」をコンセプトに、現場で役立つ最新情報を日々お届けします。

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

提供:ハートランド・データ株式会社

【AD】本記事の内容は記事掲載開始時点のものです 企画・制作 株式会社翔泳社

この記事は参考になりましたか?

この記事をシェア

  • X ポスト
  • このエントリーをはてなブックマークに追加
CodeZine(コードジン)
https://codezine.jp/article/detail/21080 2025/04/16 12:00

おすすめ

アクセスランキング

アクセスランキング

イベント

CodeZine編集部では、現場で活躍するデベロッパーをスターにするためのカンファレンス「Developers Summit」や、エンジニアの生きざまをブーストするためのイベント「Developers Boost」など、さまざまなカンファレンスを企画・運営しています。

新規会員登録無料のご案内

  • ・全ての過去記事が閲覧できます
  • ・会員限定メルマガを受信できます

メールバックナンバー

アクセスランキング

アクセスランキング