自由にも責任を、安定にも戦略を
ここからは「おまけ」として、フリーランスの収入面にも触れておきたい。よく言われるのが、「フリーランスは会社員の1.5倍ほど稼いでいる」といったイメージだ。実際、竹端氏自身も「会社員時代よりも収入は増えている」と明かす。ただし、その前提として「リスクを自ら負うぶん、報酬でそれを補う必要がある」という認識を忘れてはならないと念押しする。
最も大きな違いは、有給や育休といった制度が存在しないことだ。たとえば事故で1カ月入院すれば、その期間の収入はゼロになる。会社員であれば、健康保険によって最長1年半、収入の2/3が支給される「傷病手当金」の制度があるが、フリーランスにはそれも適用されない。年金についても、厚生年金ではなく国民年金となるため、将来の受給額は相対的に少なくなる。
 
こうしたリスクに備えるには、あらかじめ計画的な準備が欠かせない。竹端氏は、就業不能保険や介護保険への加入、iDeCo(個人型確定拠出年金)の掛け金増額などを通じて、自衛策を講じている。また、税理士と契約することで、申告ミスによる課税リスクや法改正への対応を専門家に任せ、精神的な安心も確保しているという。
「フリーランスは、リスクヘッジにお金がかかる」。この現実を軽視すれば、収入が増えたという表面的な魅力の裏で、思わぬ負担がのしかかることにもなりかねない。だからこそ、「収入増=安定」ではないという前提を踏まえたうえで、自分に合った働き方を選ぶことが重要だと竹端氏は強調する。
こうした収入面の自己管理や、リスクに備えるための仕組みづくりを考えると、「会社員のほうが楽だ」と感じる場面も少なくない。「だからこそ、自分にとって心地よく、納得のいく働き方を選ぶことが、何より大切だ」。竹端氏が語るこの一言には、フリーランスという選択を続けてきた実感と覚悟がにじんでいる。
今回のセッションで紹介されたような働き方は決して一般的ではなく、「同じようなスタンスのフリーランスと出会ったことはほとんどない」と竹端氏は話す。企業側も依然として「まずは正社員で」という考えが主流だ。
それでも今は、働き方の多様性が受け入れられる時代である。「組織に貢献するフリーランスエンジニア」というスタイルを選ぶ人、それを受け入れる企業がもっと増えてほしい──竹端氏による締めくくりの言葉には、未来の選択肢を広げていくための静かな決意が込められていた。

 
              
               
                          
                           
                          
                           
                          
                           
                          
                           
                          
                           
                          
                           
                          
                           
                          
                           
                          
                           
                          
                           
                          
                           
                          
                           
                              
                               
                              
                               
                              
                               
                              
                               
                              
                               
                      
                     
                      
                     
                      
                     
                      
                     
                      
                     
                      
                     
                      
                     
															
														 
															
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