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ExpoとEASで始める快適モバイルアプリ開発

Expo Routerのレイアウトの仕組みを理解し、より実践的なナビゲーションを構築しよう

ExpoとEASで始める快適モバイルアプリ開発 第6回

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動的ルート

 これまでの例では、app/home.js/homeに対応するように、ファイル名がそのままURLのパスになる静的なルートを扱ってきました。しかし、実際のアプリケーションでは、ユーザーIDや記事IDのように、URLの一部が可変となり、その値に応じて表示するコンテンツを変えたいケースが頻繁にあります。

 例えば、/users/1でユーザーIDが1の人の情報を、/users/123でユーザーIDが123の人の情報を表示するような場合です。Expo Routerでは、このような「動的ルート」を簡単に実現するための仕組みが用意されています。

パスパラメータとuseLocalSearchParams

 URLパスの一部を動的なパラメータとして扱いたい場合、ファイル名またはディレクトリ名に角括弧[]を使用します。角括弧で囲まれた部分は「パスパラメータ」または「動的セグメント」と呼ばれます。例えば、ユーザーの詳細ページをリスト7のようにapp/users/[id].jsというファイルで定義したとします。

[リスト7]ファイル名での定義例
app/
├── users/
│   └── [id].js   // /users/:id にマッチ (例: /users/1, /users/abc)
└── _layout.js    // アプリ全体のルートレイアウト

 この[id].jsというファイルは、/users/1/users/abc/users/xyz123のような、/users/に続く任意の文字列のパスにマッチします。マッチしたパスのidの部分(この例では1abcxyz123)は、コンポーネント内で取得して利用できます。こうして定義された動的セグメントの値は、expo-routerが提供するuseLocalSearchParamsフックを使って取得します。このフックは、現在のルートにマッチしたパスパラメータをキーと値のペアで持つオブジェクトを返します(リスト8)。

[リスト8]app/users/[id
.js]
import { useLocalSearchParams } from 'expo-router';
import { View, Text, StyleSheet } from 'react-native';

export default function UserProfilePage() {
  const { id } = useLocalSearchParams(); // (1) { id: '渡された値' } の形で取得

  return (
    <View style={styles.container}>
      <Text style={styles.title}>ユーザープロフィール</Text>
      <Text>ユーザーID: {id}</Text>
      {/* ここでIDを使ってユーザーデータを取得・表示する処理などを行う */}
    </View>
  );
}
// (略)

 (1)ではuseLocalSearchParamsを使ってidパラメータを取得し、画面に表示しています。このようにして、URLの動的な部分を画面コンポーネント内で利用できます。パスパラメータの名前(この例ではid)は任意に設定できます。例えばapp/posts/[postId].jsとすれば、useLocalSearchParamsからはpostIdというキーで値を取得できます。

 動的ルートを使いこなすことで、より柔軟なナビゲーション構造を持つアプリケーションを構築できそうですね。

まとめ

 本記事では、Expo Routerを活用し、より実践的なモバイルアプリのナビゲーションを構築する方法を解説しました。ファイルベースルーティングの応用的な命名規則に始まり、共通レイアウトを実現するレイアウトルート、代表的なUIパターンであるスタックナビゲーションとタブナビゲーション、そしてURLに応じてコンテンツを動的に変化させる動的ルート(パスパラメータやキャッチオールルートを含む)について、その仕組みと具体的な使用例を紹介しました。

 これらの機能を組み合わせることで、静的な情報表示だけでなく、ユーザーの操作や特定のデータに応じて動的に変化する、洗練されたナビゲーション構造を持つモバイルアプリケーションを効率的に構築できるようになります。

 次回は、Expo Routerのさらに高度な機能として、プログラムによる画面遷移(useRouterフックを利用したpushreplaceback操作)、アプリ外からの特定画面への直接遷移を可能にするディープリンクの実装、認証フローの実装例など、より実践的なトピックを掘り下げていきます。ご期待ください。

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この記事の著者

WINGSプロジェクト 中川幸哉(ナカガワユキヤ)

WINGSプロジェクトについて>有限会社 WINGSプロジェクトが運営する、テクニカル執筆コミュニティ(代表 山田祥寛)。主にWeb開発分野の書籍/記事執筆、翻訳、講演等を幅広く手がける。2018年11月時点での登録メンバは55名で、現在も執筆メンバを募集中。興味のある方は、どしどし応募頂きたい。著書記事多数。 RSS X: @WingsPro_info(公式)、@WingsPro_info/wings(メンバーリスト) Facebook

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

山田 祥寛(ヤマダ ヨシヒロ)

静岡県榛原町生まれ。一橋大学経済学部卒業後、NECにてシステム企画業務に携わるが、2003年4月に念願かなってフリーライターに転身。Microsoft MVP for Visual Studio and Development Technologies。執筆コミュニティ「WINGSプロジェクト」代表。主な著書に「独習シリーズ(Java・C#・Python・PHP・Ruby・JSP&サーブレットなど)」「速習シリーズ(ASP.NET Core・Vue.js・React・TypeScript・ECMAScript、Laravelなど)」「改訂3版JavaScript本格入門」「これからはじめるReact実践入門」「はじめてのAndroidアプリ開発 Kotlin編 」他、著書多数

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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