uv、Ruff、VS Codeの真価
さて、ここまで作ってきた構成は、「共同開発」をするときに最も真価を発揮します。
先ほど、パッケージ管理マネージャーの役割として、
- プロジェクトに必要なパッケージを管理すること
- 開発者間で環境を再現可能にすること
といった点を挙げました。後者について、Pythonでもさまざまな手法が取られてきましたが、特にuv
を使っているのであれば、この問題は驚くほどシンプルに解決できます。
やることは、以下の3ステップだけです。
- 共同開発者にもuvをインストールしてもらいます。
- あなたのプロジェクトフォルダを、Gitで共有するなり、ZIPで渡すなりして相手に送ります。
- 受け取った共同開発者は、プロジェクトのディレクトリに移動し、以下のコマンドを実行します。
$ uv sync
これによって、今まであなたのプロジェクトの中で利用していた環境と等価のものが、共同開発者の環境で同期されます。
共同開発者は、これを利用してそのまま開発を継続できます。新たなパッケージが必要になったら、以下のコマンドを実行します。
$ uv add <package_name>
これは、pip
で言うところの、以下のコマンドと等価です。
$ pip install <package_name>
そして、パッケージが追加された後、共同開発者の環境でそのプロジェクトの更新が同期されたら、再度uv sync
を実行します。これにより、新たに追加されたパッケージが、共同開発者の環境にも反映されます。
おわりに
ここまで、2025年現在におけるPython開発環境の「三種の神器」とも言えるuv、Ruff、そしてVisual Studio Codeの導入方法と、それらを活用した快適な開発体験について紹介してきました。
これからPythonを学び始める方や、久しぶりにPythonを書いてみる方、これまで環境構築でつまずいていた方にとって、この記事で紹介したツール群は非常に心強い味方となるはずです。また、チーム開発や教育現場においても、ツールの導入を通じてスムーズな連携や習熟を促進できるでしょう。まずは小さなプロジェクトから、ぜひ今回紹介したツールを使って開発を始めてみてください。
そして、こうした最新のツールやノウハウを実際に扱っている人も集まり、カンファレンスとして演題を聞くだけでなく、意見を交わせる場こそが、年に一度のPythonの祭典「PyCon JP 2025」です。実際にツールを仕事や趣味で使っている開発者や、あなたの使っているパッケージのコントリビューターとも直接話が聞けるかもしれない絶好の機会となります。たくさんのご参加、お待ちしております。
PyCon JP 2025実行委員より
PyCon JP 2025は9月26日(金)〜28日(日)に広島国際会議場(広島市)で開催されます。参加申し込みはconnpassにて受け付けしています。
詳しくは、PyCon JP 2025 公式ホームページをご確認ください。皆様のご参加、心よりお待ちしています。