データ分析/機械学習
Pythonといえば、AI開発のためのプログラミング言語というイメージがありますが、これはPythonにおいてはさまざまな機械学習やデータ処理のためのライブラリが充実しているためです。またPythonという言語自体が学習しやすく、プログラミングに精通していない専門家にとって習得のハードルが低いという点も大きいでしょう。このため、PythonはデータサイエンスやAI分野で広く使われています。
このような用途における開発ツールとして有名なのが、Jupyter Notebookです。Jupyter Notebookを使うと、コードやその実行結果、Markdownによるドキュメントなどをまとめて保存し呼び出せるので、経過を第三者と共有しやすいなどのメリットがあります。Pythonのパッケージとして提供されており、通常はサーバとして起動してWebブラウザからアクセスして利用します。
VS Codeにも拡張機能が提供されており(表2)、Webブラウザの替わりにVS Codeをフロントエンドとして利用できます。
| 拡張機能 | パブリッシャー | ID | 概要 | 
|---|---|---|---|
| Jupyter | Microsoft | ms-toolsai.jupyter | Jupyter Notebookサポート | 
| Jupyter Keymap | Microsoft | ms-toolsai.jupyter-keymap | Jupyterキーマップ | 
| Jupyter Notebook Renderers | Microsoft | ms-toolsai.jupyter-renderers | さまざまな画像形式に対応したレンダラー | 
| Jupyter Slide Show(*) | Microsoft | ms-toolsai.vscode-jupyter-slideshow | Jupyterスライドショーサポート | 
| Jupyter Cell Tags(*) | Microsoft | ms-toolsai.vscode-jupyter-cell-tags | Jupyterセルタグサポート | 
拡張機能とパッケージのインストール
まずは拡張機能Jupyterをインストールしましょう。Jupyterは拡張機能のパックであり、これをインストールすれば他の拡張機能も自動的にインストールされ、再起動や有効化/無効化も連動します。
続けて、Jupyter本体を仮想環境にインストールします。[ターミナル]-[新しいターミナル]([Ctrl]+[Shift]+[^]/[Ctrl]+[Shift]+[^])を選択します。図9のように仮想環境がアクティブになる(プロンプトの頭に「(.venv)」が付く)のを確認して、jupyterパッケージをインストールします(ipykernelパッケージも別途必要となりますが、依存関係で自動的にインストールされます)。
以降、ちょっとしたサンプルも実行するので、そこで必要なグラフ描画ライブラリmatplotlibもインストールしておきます。
 
(.venv) % pip install jupyter (.venv) % pip install matplotlib
カーネルの選択とプログラムの実行
拡張機能とJupyterのインストールが済んだら、Jupyterを使ってみましょう。ファイルを[ファイル]-[新しいファイル...]で新規作成します。ファイルの種類を聞かれるので、「Jupyter Notebook」を選択してください(図10)。
 
「Untitled-1.jpynb」という名前でファイルが開くので(この時点ではまだ保存されていません)、ここからJupyterの操作を始められますが、その前にカーネルを選択しておきましょう。
ビューの右端にある[カーネルの選択]をクリックし、コマンドパレットに表示される一覧から目的のカーネルを選択します。ここでは唯一の選択肢である「(.venv) 3.13.7」を選択しました(図11)。
 
ビューに入力欄のようなものがあるのは「セル」と呼ばれており、ここにコードやMarkdownを入力していくことができます(図11)。カーネルが選択されたものになっているのも確認できます。
 
ここで、簡単なグラフ描画を試してみます。以下のコードをセルに入力してください。
import matplotlib.pyplot as plt x = [1,2,3,4] y = [1,3,5,4] plt.plot(x, y) plt.show()
セルの左にある右三角をクリックするとコードが実行され、グラフが描画されます(図13)。
 
[NOTE]カーネル
カーネルとは、Jupyter Notebookが使用する言語環境です。前節で作成した仮想環境など、どの環境でJupyter Notebookを使うかを切り替えることができます。言語環境なので、インストールさえされていれば他の言語による環境でも利用可能です。
Webアプリ開発
PythonはWebアプリの開発にも広く使われており、PythonでWebアプリ開発といえばDjangoフレームワークです。
PythonにはFlaskなどの軽量フレームワークもありますが、ほぼ同様の方法で環境構築できるため、ここではDjangoを題材にWebアプリ開発のための環境を作っていきます。Djangoを使う場合、既出のもの以外に必須となる拡張機能はありませんが、DjangoによるWeb開発をサポートする拡張機能をいくつか表3に挙げておきます。
| 拡張機能 | パブリッシャー | ID | 概要 | 
|---|---|---|---|
| Django | Baptiste Darthenay | batisteo.vscode-django | Djangoサポート | 
| Djaneiro - Django Snippets | Scott Barkman | thebarkman.vscode-djaneiro | コードスニペット | 
拡張機能Djangoでは、import文やテンプレート内のリンクから定義場所に移動するなどの機能を利用できます。Djaneiroはその名の通りコードスニペット機能の他、Djangoに特化したコード補完機能も利用できます。
パッケージのインストールとプロジェクトの作成
Djangoを仮想環境にインストールします。ターミナルを開いて、以下のコマンドでdjangoパッケージをインストールします。
(.venv) % pip install django
Djangoプロジェクトを、djangoフォルダを作成して、その下に作成します。
(.venv) % mkdir django (.venv) % django-admin startproject test_project django
今回、Webアプリの開発そのものは目的でないので、特にファイルに改変は加えません。この時点でのフォルダ構成は図14のようになります。
 
デバッグの設定
実行とデバッグに対応させるために、launch.jsonファイルを作成します(図15)。
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  アクティビティバーの をクリックして実行とデバッグビューをプライマリサイドバーに展開し、「launch.json ファイルを作成します。」をクリックします。 をクリックして実行とデバッグビューをプライマリサイドバーに展開し、「launch.json ファイルを作成します。」をクリックします。
- コマンドパレットが開くので「python」と入力して「Python Debugger」を選択し、さらに「Django」を選択します。
- manage.pyファイルへのパスを聞かれるので、一覧から選んで(通常はプロジェクト作成によって配置されるファイル)を選択します。
- launch.jsonファイルが作成されてエディタービューで開かれます。さらに設定を追加できますが、[Esc]キーでキャンセルし、ファイルを保存します。
 
デバッグは、「実行とデバッグ」ビューになっている状態で、ビュー上部の緑色の右色三角形のアイコンをクリックして実行します。このとき、「Python デバッガー: Django」と表示されているのを確認してください。これが、先ほど設定した構成の名前です。ターミナルが開き、Django開発サーバーが起動します(図16)。
 
Webブラウザから「http://localhost:8000」にアクセスし、ロケットの表示されたおなじみのページが表示されれば実行は成功です(図17)。
 
今回登場のショートカットキー
| 機能 | macOS | Windows | 
|---|---|---|
| 新しいファイルの作成 | [Ctrl]+[Option]+[Command]+[N] | [Ctrl]+[Alt]+[Windows]+[N] | 
| コマンドパレット | [Command]+[Shift]+[P] | [Ctrl]+[Shift]+[P] | 
| 新しいターミナル | [Ctrl]+[Shift]+[^] | [Ctrl]+[Shift]+[^] | 
まとめ
今回は、VS CodeをPython開発に使えるように、基本的な言語サポートに加え、AI開発、Webアプリ開発のための環境構築について紹介しました。
次回は、PHPについて、言語サポート、Webアプリ開発、WordPress開発などの環境構築を紹介します。

 
              
               
                          
                           
                          
                           
                          
                           
                          
                           
                          
                           
                          
                           
                          
                           
                          
                           
                          
                           
                          
                           
                          
                           
                          
                           
                              
                               
                              
                               
                              
                               
                              
                               
                              
                               
                      
                     
                      
                     
                      
                     
                      
                     
                      
                     
                      
                     
                      
                     
															
														 
															
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 をクリックして実行とデバッグビューをプライマリサイドバーに展開し、「launch.json ファイルを作成します。」をクリックします。
をクリックして実行とデバッグビューをプライマリサイドバーに展開し、「launch.json ファイルを作成します。」をクリックします。
   
                     
                    