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これだけは押さえておきたい! AWSサービス最新アップデート

【AWS re:Invent 2025】Nova 2、IAM自動化、DB Savings Plans──AIで開発・運用を楽にする注目アップデート

第37回 Nova 2、IAM Policy Autopilot、CloudWatch Incident Reports、Database Savings Plans、Durable Functions

実行基盤・運用の進化

Database Savings Plansの発表

 AWSを利用したシステム運用において、データベース関連のコストは継続的に発生しやすく、全体コストに占める割合も大きくなりがちです。 これまで、利用者はReserved Instances(RI)を活用することで一定のコスト最適化が可能でしたが、運用上の制約も少なくありませんでした。

 特にクラウド環境では、ワークロードの変化に応じてスケールや構成を柔軟に見直す機会も多くあるかと思います。 モダナイズの過程でデータベースエンジンやインスタンスタイプを変更したり、利用量に応じて構成を調整したりするケースも少なくありません。

 一方で、RIによるコスト最適化では、対象サービスやインスタンスタイプ、リージョンなどを事前に指定してコミットする必要がありました。 そのため、柔軟なアーキテクチャ設計や段階的なモダナイズを進める上では、RIの適用が難しいと感じる場面もあったのではないでしょうか。

 このたび、こうした課題に対する新たな選択肢として「Database Savings Plans」が発表されました。Database Savings Plans は、一定量のデータベース利用料金を1年間コミットすることで、オンデマンド料金と比べて最大35%のコスト削減が可能となる料金モデルです。

 Database Savings Plansの最も大きな特徴は、特定のサービス、インスタンスタイプやリージョンに縛られず、複数のデータベースサービスを横断して割引が適用される点です。Auroraや Amazon RDS、Amazon DynamoDBなどが対象となっており、ワークロードの変化に応じて構成を柔軟に見直しやすくなっています。

 RIとの比較は以下のとおりです。

項目 Database Savings Plans Reserved Instances(RI)
対象サービス数 複数のデータベースサービスを横断して適用(※) 原則として個別のサービス・リソース単位
割引率 最大 35% サービスや条件によっては最大約70%前後
コミット年数 1年 1年/3年
コミット内容 1時間あたりの利用料金(使用量)をコミット(特定の構成指定は不要) インスタンスタイプ、構成、リージョンなどを事前に指定してコミット

※ Database Savings Plansの対象サービスには、Amazon Aurora、Amazon RDS、Amazon DynamoDB、ElastiCache(Valkey)などが含まれます。対象となるサービスや世代については、最新の公式サイトを参照してください。

 構成変更やモダナイズの可能性がある環境では、特定の構成を指定せずに利用料金ベースでコミットできるDatabase Savings Plansが適しています。 一方で、ワークロードの変化が少ないシステム等で、構成に変更が入らないようなシステムでは、RIを適用することで、より大きな割引率を狙うことも可能です。

 Database Savings Plansは派手な機能追加ではありませんが、利用料金の比重が大きくなりがちなデータベースコストを柔軟に最適化できる点で、多くの利用者にとって影響の大きいアップデートといえるでしょう。

AWS Lambda Durable Functionsの発表

 Lambdaは、サーバーレスな実行基盤として、イベント駆動で短時間に処理を実行する用途を中心に、現在では多くのシステムで広く利用されています。インフラを意識せずにコードを実行できる点から、API処理やバッチ、バックエンド処理など、さまざまな場面で活用されてきました。

 一方で、複数の処理を順序立てて実行するワークフローや、他の処理を待ちながら進行するような処理については、これまでStep Functionsを用いて実装するケースが一般的でした。

 こうした課題に対する新たな選択肢として、Lambdaの新機能「Durable Functions」が発表されました。Durable Functionsは、Lambdaの実行モデルを拡張し、複数ステップにまたがる処理や、途中で待ちが発生するようなワークフローを扱えるようにする仕組みです。

 Durable Functionsは、既存のLambda関数をそのまま活用しながら、複数ステップにまたがる処理を実装できる仕組みです。Lambda側で機能を有効化(画像内の赤枠)し、対応するSDK(Durable execution SDK)を利用するだけで導入できるため、新たなサービス構成や大きなコード変更を必要としません。

Lambdaの画面
Lambdaの画面

 では、Durable Functionsは、従来ワークフロー実装で広く利用されてきたStep Functionsと何が異なるのでしょうか。

 Step Functions は、状態遷移や分岐をステートマシンとして明示的に定義できる点が強みであり、複雑なワークフローを可視化・管理したい場合に適しています。

 これに対してDurable Functions では、ステートマシンを別途定義することなく、Lambdaのコード上で処理の流れを記述できます。Lambdaの開発者体験を維持したままワークフローを実装できる点が、Step Functionsとの大きな違いといえるでしょう。

まとめ

 今回は、AWS re:Invent 2025で発表された、AI活用の強化から実行・運用基盤の進化まで、注目すべきアップデートを紹介しました。生成AIを支える基盤モデルの拡充に加え、設計や運用の負荷を軽減する機能が着実に強化されている点が印象的です。

 これらのアップデートは、派手な新機能にとどまらず、日々の開発や運用をよりシンプルに、効率的に進めるための選択肢を広げるものといえるでしょう。

 今後もAWSによる継続的な改善が期待されますので、引き続き最新のアップデート動向に注目していきたいと思います。

 本記事が、皆様のAWS活用やシステム改善の参考になれば幸いです。

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この記事の著者

橋原 朋央(株式会社NTTデータ)(ハシハラ トモヒロ)

 2017年にNTTデータに入社。 入社以来、小売・流通業界や金融業界に対して、パブリッククラウドを活用したシステム構築、運用に携わる。 興味のある領域は、コンテナ、CICD、IaC(Infrastructure as Code)等。

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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https://codezine.jp/article/detail/23187 2026/02/06 08:00

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