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「自由」がゆえに「複雑」になったクラウド/OSS時代、Nutanixが提唱する「統制のススメ」

【19-D-2】自由と統制のあいだ:Platform Engineeringで考えるKubernetes標準化のリアル

 開発者が利用できる技術の選択肢は、かつてないほど広がっている。しかし、多様なクラウドやOSSがもたらす自由度は、同時に複雑さをもたらしさまざまな問題の温床にもなっている。本セッションでは、ニュータニックス・ジャパン合同会社の町田修一氏が、プラットフォームエンジニアリングの考え方に基づき、運用における統制と、開発者が必要とする自由度を両立するためのアプローチについて解説した。

「自由」がゆえに「複雑」になったクラウド/OSS時代をどう生きるか?

 1940〜50年代に活躍した映画監督オーソン・ウェルズは、「制約がないことが、創造の敵になる」という言葉を残した。これは芸術において「制約は必ずしも悪ではない」ということを意味するが、ソフトウェア開発者にとっても同じではないだろうか。

 町田氏は、まず現代の開発者が獲得した自由と、その結果生じた新たな課題について整理する。

ニュータニックス・ジャパン合同会社 Japanソリューションアーキテクトチーム アドバイザリーソリューションアーキテクト 町田 修一氏
ニュータニックス・ジャパン合同会社 Japanソリューションアーキテクトチーム アドバイザリーソリューションアーキテクト 町田 修一氏

 現代のITシステムはとても複雑だ。オンプレミス、クラウド、OSS、SaaSといった複数の技術領域が絡み合い、その組み合わせの選択肢はレゴブロックのように増え続けている。自由度が高まったことで、スピードや柔軟性の面では大きなメリットが生まれる一方、それぞれの技術を理解し、使いこなすための認知負荷も増大するばかりだ。各領域でベストプラクティスやブループリントの整備は進んでいるものの、ベンダー固有のIAM設定や監視体制、運用ルールなど、理解しなければならない前提条件や作法は、かえって増えてしまった。

 さらに、オンプレミスやマルチクラウドなど複数の環境を使い分けることが当たり前となり、環境間の差異や複雑性が増大した結果、原因の切り分けが困難なトラブルが増加している。例えば障害が発生した際、影響範囲の特定も難しくなり、対応の長期化を招いてしまう。その結果、サイロ化の進行を招くとともに、安定的な運用を維持することも難しくなっている。

 このような複雑性は、開発者にも悪影響を与えている。本来、開発者のミッションは、ユーザーに対していかに早く継続的に価値を届けるかという点にあるはずだ。しかし、開発者は「何を選べばいいのか」「どう構成すればいいのか」「この選択は本当に正しいのか」という運用面での判断を常に迫られている。こうした判断の積み重ねが、開発者にとっての大きな負担になっている。

開発者が手にした自由が、かえって運用面での負担を招いてしまう
開発者が手にした自由が、かえって運用面での負担を招いてしまう

 さらに深刻なのは、人材の供給が追いつかないことだ。複数の環境を横断的に見られる人材は希少化し、一部の高スキル人材にレビューや障害対応が集中。結果として、対応にかかるリードタイムが延びてしまう。しかし人材の育成と供給は一朝一夕にはいかないため、慢性的な人材不足が続く。こうした現場の疲弊は、個人の能力の問題ではなく、利用するサービスや技術が細分化・多様化した結果であり、環境の構造やアプローチの問題だと、町田氏は指摘する。

 そこで町田氏が勧めるのが、こうした混沌とした状況を制御するために、一定の制約を設けることだ。

 「技術的な選択肢が数多く存在するからこそ、その自由度の高さがかえって迷いを生み出し、開発者が本来の生産性を発揮する妨げになっています。そこで、環境に依存しない共通の運用作法を整備するとともに、開発者向けの推奨ルート(Golden Path)を定めることで、開発者が運用面で煩わされる負担を減らすことが必要です」(町田氏)

次のページ
共通化のカギは「技術ごとの判断や検討が必要な場面をできるだけ減らすこと」

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この記事の著者

Innerstudio 鍋島 理人(ナベシマ マサト)

 ITライター・イベントプロデューサー・ITコミュニティ運営支援。 Developers Summit (翔泳社)元スタッフ。現在はフリーランスで、複数のITコミュニティの運営支援やDevRel活動の支援、企業ITコンテンツの制作に携わっている。 Twitter:@nabemasat Facebook Web

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

関口 達朗(セキグチ タツロウ)

フリーカメラマン 1985年生まれ。東京工芸大学卒業後、2009年に小学館スクウェア写真事業部入社。2011年に朝日新聞出版写真部入社。2014から独立し、政治家やアーティストなどのポートレート、物イメージカットなどジャンルを問わず撮影。2児の父。旧姓結束。趣味アウトドア。

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CodeZine編集部(コードジンヘンシュウブ)

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提供:ニュータニックス・ジャパン合同会社

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