はじめに
Visual Studio 2005 Team Systemによって、Visual Studioのターゲットは開発者の枠を飛び越えることになりました。これはプロジェクトマネージャーからテスターまでを包括的にカバーし、チーム開発を強力に支援する製品としてリリースされましたが、まだまだ浸透していないように思います。
以前Team Foundation Server(以下、TFS)の機能については『TFSで行うチーム開発、プロジェクトマネジメント』で紹介しましたが、実際インストールするにはインストールマニュアルと格闘しなければならず、試さずにいる方も多いのではないでしょうか。そこで今回はTFSのインストール方法を分かりやすく紹介します。
対象読者
- Visual Studio 2005 Team Systemに興味がある方
- Team Foundation Serverに興味がある方
TFSインストールの種類
TFSはユーザーがサービスを利用する窓口となるアプリケーション層サーバー、TFSが利用するデータベースを管理するデータ層サーバーの物理2層構造Webアプリケーション(正確にはWebサービスアプリケーション)として構築されています。この2つのサーバー機能は異なるマシンにインストールすることも、同一のサーバーにインストールすることもできます。
TFSでは前者の構成を「デュアルサーバー構成」と呼びます。デュアルサーバー構成の場合、データ層はx64環境で構築することができたり、アプリケーション層のスケールアウトができたりといったメリットがありますが、すべてのサーバーがActive Directoryの管理下にある必要があるという制約もあります。なお、Active DirectoryドメインコントローラーとTFSのサーバー機能は共存できませんので注意してください。
後者の構成は「シングルサーバー構成」と呼びます。シングルサーバー構成では、x64環境を利用することができない(アプリケーション層はx86のみをサポートしているためです)という制約がありますが、Windowsのワークグループのメンバでもインストールすることができます。開発者が100人を超えるような大規模開発の場合にはデュアルサーバー構成でTFS環境を構築することが推奨されていますが、試しに使ってみようという程度であればシングルサーバー構成でも十分ですし、何よりお手軽です。
本稿ではTFSを簡単にインストールすべく、ワークグループメンバのサーバーにシングルサーバー構成でTFSをインストールする方法について解説します。
必要な環境と準備
- Team Foundation Server
- Microsoft SQL Server 2005
- Windows SharePoint Services SP2
Team Foundation Serverの180日間評価版は「Visual Studio 2005 Team Foundation Server 評価版」からダウンロードすることができます。またWindows SharePoint Services SP2は「Windows SharePoint Services Service Pack 2」からダウンロードできます。なおTFSの評価版はisoファイルですので、DVDを作成するか、Daemon Toolsなどを利用してインストールしてください。なお、SQL Server 2005についてはTFS付属のStandard Ediを利用してください。
インストールガイドによるインストール要件を表1に示します。
OS | Microsoft Windows Server 2003 |
CPU | 2.2 GHz Pentium IV または Athlon |
メモリ | 1 GB |
ハードディスク | 8 GB の空きディスク領域 |
インストールに必要なユーザーの作成
TFSをインストールするには以下の3つのユーザーが必要です。
- TFSをインストールする際に使用するアカウント
- TFSの各サービスの実行に使用するアカウント
- Reporting Services で使用するアカウント
この3つのユーザーを1つのユーザーアカウントで済ませることはできませんので、必ず作成してください。なお、TFSをインストール際に使用するアカウントは既存のAdministratorユーザーやAdministratorsグループに所属するユーザーを利用することができます。