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Developers Summit 2026 セッションレポート

国産LLM「tsuzumi」開発者が解説! コーディング能力の獲得手法から「SWE-bench」など評価指標まで

【19-D-1】ソフトウェア開発に向けた大規模言語モデルの応用と発展

今後はAI自身が学習データを合成するフェーズに

 このLLMの進化と開発現場での実践から得られる本質的なインサイトは、AI技術の成熟に伴う人間の役割の再定義にある。大量のテキストデータを学習させる従来のアプローチは、インターネット上の良質なデータソースを使い尽くしつつあり、今後はAI自身が学習データを合成するフェーズへと移行している。

 しかし、検証なしにAI生成データを再学習させるとモデルが劣化するという事実は、自己増殖的なAIの進化には限界があり、グラウンドトゥルース(正解データ)を提供する物理的環境でのテストや、人間の目による品質評価が依然として不可欠であることを物語っている。

 また、AIエージェントが自律的にツールを操作し、「思考・行動・観察」のループを回すようになったことで、実装やテストといった「正解が検証可能な領域」は急速に自動化の波に飲み込まれていく。

 これは、ソフトウェアエンジニアの主戦場が単にコードを書くことからシフトすることを意味する。AIの出力結果を適切にレビューする審美眼や、AIに対して的確に文脈を伝えるプロンプトの設計能力が、新たな必須スキルとなっている。

 さらに言えば、正解が一つではない領域、すなわち「何を作るべきか」という要求定義や、ビジネス価値と結びついた複雑なアーキテクチャの設計といった、人間ならではの高度な知識と思考が求められる工程の価値が、相対的に大きく高まっていると言えるだろう。

 例えば、「タスクはひとつずつ順番に丁寧にこなすものだ」という直列的な思考は、無限に複製可能で休むことを知らないAIエージェントの並列処理能力を著しく殺してしまう。もし100個の検証すべきタスクがあるのなら、100のエージェントに同時に並列で処理させ、そこから見出される共通の課題や新たなインサイトを人間が抽象化して抽出するという並列思考へと切り替えなければならない。

「技術の進化はプログラマーの不要論を意味しない」

 AIが自律的にコードを書き、バグを修正し、システムを改修していく未来は、もはや遠いSFの世界ではなく、現実のワークフローとして定着しつつある。NTTの「tsuzumi」をはじめとするLLM技術の進化は、単一の関数作成から開発プロセス全体の自動化へと、その適用範囲を力強く広げている。

 「今後、チケットやIssueを1つ解けるようになったのであれば、スプリント1回分を任せられるのではないか、リリース1回分を走れるのではないかと、活用の幅が広がる可能性があります」と風戸氏は今後の展望を語る。

 しかし、技術の進化はプログラマーの不要を意味するのではない。検証可能なタスクをAIという強力なパートナーに委ねることで、人間はより創造的な設計や、ビジネス課題の根本的な解決に集中できるようになる。

 「要求定義や設計、あるいは人間の知識が必要で検証が難しい領域については、まだまだ皆様にご活躍いただく価値があると私は考えています。ですので、一緒に頑張っていきましょう」という風戸氏のメッセージは、コードの向こう側へと足を踏み入れるすべての開発者に対する力強いエールであり、AI時代を共に生き抜くための確かな羅針盤となるはずだ。

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この記事の著者

中野 佑輔(編集部)(ナカノ ユウスケ)

 日本総合研究所を経て2025年よりCodeZine編集部所属。

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

関口 達朗(セキグチ タツロウ)

フリーカメラマン 1985年生まれ。東京工芸大学卒業後、2009年に小学館スクウェア写真事業部入社。2011年に朝日新聞出版写真部入社。2014から独立し、政治家やアーティストなどのポートレート、物イメージカットなどジャンルを問わず撮影。2児の父。旧姓結束。趣味アウトドア。

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https://codezine.jp/article/detail/23785 2026/04/15 09:00

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