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コードを書かなくなった先のエンジニアの役割とは?

──エンジニアの役割はどう変わっていくと考えていますか?

北村:私は1月からコードを書いていません。残るのは最終的な受け入れ判断と、それに対する説明責任です。AIエージェントに正しいアウトプットを出してもらうために、どんな文脈を与え、どんなハーネスを引くか。「AIエージェントが働く環境を整えること」が、これからのエンジニアの主要な仕事になると感じています。これまで、開発者と設計者とで役割が分かれている場合が多かったですが、今やその垣根がなくなりつつあります。深みのあるジェネラリストが各所で有利になっていくかもしれません。

市原:コードを書く仕事はなくなっていくのではと思います。エンジニアの役割として残るのは、システムの言葉とビジネスの言葉の変換です。「顧客が本当に求めているもの」を正しくAIに伝えること、できたものをソフトウェアエンジニアリングの観点でメンテナンスし続けるシステムとして定義することといった、より広いフルスタックな能力が求められます。コンピュータの仕組みが変わったわけではないし、「AIは今のところ突然間違ったことを言うことがある、そういうものだ」という理解も引き続き必要です。

──AIが当たり前になった時代における、若手エンジニアの育成はどのように考えていますか?

市原:当面はDOJOや帯制度といった教育制度を活用し「モノタロウのソフトウェアエンジニアが習得すべきスキル」を示しながら進めていく予定です。上位帯でないと高額なAIエージェントを使えない仕組みも検討しています。高額なツールはしっかり使いこなす技術が必要だからです。

北村:AIにまかせた結果を判断するには、シニアでないとできない部分があります。何を基準に判断しているかを見せるためにも、AIを使いながら一緒に何か仕事をするような、モブプログラミングのようなものは大事かもしれません。

MonotaRO 市原功太郎氏(左)、北村圭氏(右)
MonotaRO 市原功太郎氏(左)、北村圭氏(右)

──最後に、レガシーのモダナイゼーションやAI導入に悩む読者へのアドバイスをお願いします。

市原:まずミニマムに触ってみてください。熱中する人が10人に1人ぐらいいるので、その人に重点的に投資してください。アーリーアダプターとアーリーマジョリティへの後押しをしてから、そこから横展開する。その学びがないと、自分たちのシステムへの適用の仕方もわかりません。

 レガシーのモダナイゼーションについてはAIだけでは解決できないので、覚悟を決めて取り組む必要があります。ただ、「物量で戦える」という新しい武器がAIで手に入ります。「1万ドルで新卒エンジニアを100人雇えるとしたら、この問題をどう定義し直すか」という発想の転換ができれば、突破口が見えてくるかもしれません。

北村:AIにいきなりプロダクトコードを任せない方がいいと思っています。プロダクトコードの外側で動くテスト部分はAIとの親和性が高いので、そこは積極的に取り組んでみてください。それから、オンボーディング資料をAIが読める形にすること。それがAIにとっても最初に必要なコンテキストです。新人エンジニアを育てる気持ちでAIと向き合う──これはレガシーに限らず大切なことだと思います。

 本記事は取材時点(2026年5月)の情報にもとづいています。

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この記事の著者

近藤 佑子(編集部)(コンドウ ユウコ)

株式会社翔泳社 CodeZine編集部 編集長、Developers Summit オーガナイザー。1986年岡山県生まれ。京都大学工学部建築学科、東京大学工学系研究科建築学専攻修士課程修了。フリーランスを経て2014年株式会社翔泳社に入社。ソフトウェア開発者向けWebメディア「CodeZine」の編集・企画・運営に携わる。2018年、副編集長に就任。2017年より、ソフトウェア開発者向けカンファレンス「Developers...

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タナカタイゾー(タナカ タイゾー)

 フリーカメラマン。日本写真映像専門学校卒業後、写真スタジオを経て独立。関西を拠点に広告、カタログ、雑誌の分野で活動。最近は子どもも成長し、休日は愛犬と一緒に1人と一匹でキャンプを楽しむ。

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