6つの中核コンポーネント
エージェントを構成する中核コンポーネントは6つあり、実行ループを支えるインフラストラクチャです。
①ポリシー/推論エンジン(Policy/Reasoning Engine)
エージェントの意思決定部分に相当し、ユーザーの指示を解釈し、計画を立て、次に取るべきアクションを決定します。この役割を担うのがLLMです。ADKではAgentがLLMを推論エンジンとして使用し、modelパラメータでどのLLMを使うかを指定します。推論エンジンの能力がエージェント全体の品質の上限を決定します。モデルの選択(Gemini、GPT、Claude等)は、コスト・レイテンシ・推論能力のトレードオフに基づく設計判断です。
②ツール群(Tools)
エージェントが外部環境に作用するための手段です。ADKの代表的なツール形態をまとめます。
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FunctionTool:Python関数をツールとして登録する最も基本的な形態 -
AgentTool:他のエージェントをツールとして呼び出す -
McpToolset:MCPサーバーが提供するツール群を統合する -
LongRunningFunctionTool:実行に時間がかかるツールを非同期で扱う
③メモリ(Memory)
エージェントが情報を記憶し、過去の経験を活用するための仕組みです。ADKでは、メモリを3つの層で管理します。
- Session:1回の対話で生じる一時的な情報。対話が終われば揮発する
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State:セッションに紐づくキーバリューストア。プレフィックスなしのキーはセッション内で完結し、
app:接頭辞はアプリ全体、user:接頭辞はユーザー単位で複数セッションをまたいで共有される - Memory:セッションをまたいで永続する長期記憶。Vertex AI Memory Bankがこの層を担う
この3層の設計意図は書籍の1.2.3項で、実装は第4章で扱います。
④実行環境(Runtime Environment)
エージェントが動作する計算基盤です。ADKは次の実行環境をサポートしています。
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ローカル:
adk run(CLI)/adk web(ブラウザUI)での開発・テスト - Vertex AI Agent Engine:Google Cloudのマネージドランタイム
- Cloud Run:コンテナベースのサーバーレス実行
- GKE(Google Kubernetes Engine):Kubernetesクラスタ上での実行
⑤ガードレール(Guardrails)
エージェントの行動を制約し、安全性を確保するための仕組みです。ADKでは、コールバック機構がガードレールの主な実装手段です。
コールバックは4種あり、before_model_callback/after_model_callbackでLLMリクエスト前のフィルタリングと応答検証を、before_tool_callback/after_tool_callbackでツール実行前の許可判定と結果検証を行います。
⑥観測と評価(Observability & Evaluation)
エージェントの動作を可視化し、品質を測定するための仕組みです。ADKは次の観測・評価機能を提供しています。
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adk eval:評価セットに基づくエージェントの品質測定 -
adk conformance:記録済みADK実行との挙動整合性テスト - トレース:OpenTelemetry互換のトレーシング
- ログ:エージェントの行動履歴の記録
下図に6つの中核コンポーネントの相互関係を示します。
1回のユーザーリクエストが6つのコンポーネントをどう流れるかを下図に示します。
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著:為藤 アキラ
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為藤 アキラ(タメトウ アキラ)
株式会社BLUEISH代表取締役CEO兼CTO。20年のソフトウェア開発と複数社でのCTO経験を経て、2013年より画像・映像の機械学習に従事。2023年からRAGを軸に生成AIの業務実装を重ね、2025年、法人向けAIエージェント基盤「BLUEISH Agents」を提供開始。Google ADK...
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