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地方のオープンソース技術者はどう活きるべきか?


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ITサービスの地産地消とOSSの関係

 市を挙げてOpenOfice.orgの導入を進めている福島県会津若松市役所の本島靖氏(総務部情報政策課)は、自治体の立場から、OSSによる標準化についてコミュニティ活動とはまた違った視点で語った。

本島靖氏(若松市役所)のセッション
本島靖氏(若松市役所)のセッション

 地方自治体のITシステム整備予算は、市民の税金が元になっている。つまり、最終的に市民に還元されるものが多いほどよく、地元で調達できるならそれに越したことはない。しかし、商用アプリケーションでの開発は、地元で発注を出しても東京の本社やライセンシーに流れてしまう。

 そこで、OSSなどで標準的なルールを土台に積み上げていけば、地元のベンダー主体で作っていくこともできる。会津若松市がウェブで事例を公開しているのは、情報を共有することで、標準化を促進しようというねらいもある。ITサービスを「地産地消」する重要性を、本島氏は次のように語った。

OSSが、地域振興という部分で地域に特化した何らかをもたらすことはとっても難しいと思う。ただ、ローカルエリアの中で需給を完結させることができ、サービスの維持につながる。

秋田県大館市でのアスタリスク導入事例

 東北地方でのOSS導入では、秋田県大館市でオープンソースのIP-PBXサーバー「Asterisk」を利用し、分庁舎間のIP内線網を構築した事例がある。事前アナウンスがなかったのでそれほど注目を集めていなかったが、この日の日本Asteriskユーザ会による「日本におけるAsteriskの現状と展望」のセッションには、大館市の中村芳樹氏(産業部商工課商業労政係主事)が参加しており、簡単に事例紹介がされた。

大館市の中村芳樹氏(左)と日本Asteriskユーザ会の高橋隆雄氏
大館市の中村芳樹氏(左)と日本Asteriskユーザ会の高橋隆雄氏

 大館市では、2005年の1市2町合併により8庁舎9事務所と拠点が分散し、庁舎間の電話連絡を公衆回線に依存していた。2006年に本庁舎で老朽化したPBXの交換を迎えたのを機に、職員の手によってAsteriskを導入し、IP電話による内線網に切り替えた。計500端末をAsteriskで管理しており、日本ではおそらく最大規模ではないかとのこと。

 配線施設から自力で構築し、PBX交換費用で1千万円以上、年間の電話代で400万円の予算削減を達成した。ちなみに、Asterisk導入決定前に依頼した業者には「IPなら2億円」と言われたそうである。

 日本Asteriskユーザ会の高橋隆雄氏によると、自治体によるOSSの導入では、地方のほうが動きやすいという。東京なら各区ごとでもかなり巨大になってしまうため、予算的にも規模的に地方自治体はOSS導入を進めやすいようだ。秋田県大館市は、この2月に開催される「OSC 2009 Tokyo/Spring」の参加グループにも名を連ねており、今後の情報公開が期待される。

Ruby会議、まとめ

 パネルディスカッションのほかにも、共同開催された仙台Ruby会議01が「東北のRubyistを知る」をテーマとし、東北にゆかりのある発表者がさまざまな発表を行った。須藤功平氏(株式会社クリアコード)による「まず好きなこと、そしてそれを続けること」では、岩手大学からの自身を振り返る形でOSS活動への取り組み方を語り、午前中から教室が満員になる盛況を見せた。この日の全参加者のうち、5分の1程度がRuby会議をメインに参加していたようだ。

 全体を振り返って、企画運営の宮原徹氏(株式会社びぎねっと)は、「200名程度の参加者を予想していたので、それを上回るひとが来てくれたのは嬉しい。特定のジャンルに偏ることもなく、人がまんべんなく分散していたのもよかった」と語る。「ボランティアを含めて運営がたいへんスムーズで、地方でのOSC開催の理想的な形だった。来年もまた開催したい」と、継続に意欲を見せた。

Suse Linuxのブース(左上)とNetBSDのブース(右下)
Suse Linuxのブース(左上)とNetBSDのブース(右下)
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