はじめに
Visual Studio 2008 Service Pack1(以下、VS2008 SP1)の追加機能の1つにASP.NET Dynamic Data Application(以下、Dynamic Data)があります。これは、データに対してLINQ to SQLとLINQ to Entitiesを利用し、データを動的に扱うアプリケーション構築を可能にします。
プロジェクトテンプレートにより、既定で「作成、読み取り、更新、削除」が用意されているマスタメンテのようなWeb UIを持つアプリケーションが構築できるのが特徴です。しかし、実際の現場でDynamic Dataを活用するには一歩手が届かない、物足りないという声も聞きます。大抵そのような話を伺うのは、登場したばかりのバージョン1での評価か、1番シンプルにできるアプリケーションを見ての評価だと思います。バージョン2とも言える、Visual Studio 2010(以下、VS2010)で利用できるDynamic Dataでは、カスタマイズによる機能拡張が行いやすくなったので、現場レベルでも活用しやすくなりました。本連載では、.NET 4で機能拡張されたDynamic Dataを現場で活用するための基礎知識からカスタマイズまで紹介したいと思います。
本稿では、触れている方も多いであろう「Entity Framework」を使用して解説とサンプル作成を行います。なお、ASP.NET Dynamic Dataの基本的な開発や説明については、過去の記事『簡単なデータ編集はお任せ!ASP.NET Dynamic Dataアプリケーション』(CodeZine)を参照ください。
必要な環境
次の環境が必要です。
- Visual Studio 2010(Visual Web Developer 2010でもOK)
- NorthWind/Pubsデータベース
VS 2010のインストールは、VS 2010 Beta 2と変わらないので、過去の記事『Visual Studio 2010 Beta 2を使ってみよう』(CodeZine)を参考に行ってください。
なお、本サンプル・プログラムを動作させるにあたっては、無償で提供されているNorthWindデータベースとPubsデータベースを使用しています。
今回触れる内容
- ASP.NET Dynamic Dataとは?
- ASP.NET Dynamic Dataのソリューション構成とサンプルアプリケーション
- 最大のキモ「フィールドテンプレート」
- Dynamic Dataによるフィルタ処理
- Dynamic Dataで活用される属性クラス