スタートアップタスク/ServerManagerクラスによるIISの構成変更
Full IISでは、通常のIISと同じくコマンドラインツールであるAppcmd.exeやServerManagerクラスによる構成変更を行うことができます。ここでは、それぞれの方法を使ったIISの構成変更について説明します。1つは、Appcmd.exeによってディレクトリ一覧を表示できるように構成し、もう1つは、ServerManagerクラスによってMIMEタイプの追加を行います。サンプルファイルでは、ConfigureIISフォルダの配下を確認してください。
Appcmd.exeによる構成変更
Appcmd.exeは、IISの構成変更を行うコマンドラインツールです。これにより、IISの設定を行うことができます。Appcmd.exeによるIISの構成変更は、スタートアップタスクから管理者権限によって実行することができます。(リスト4)。
@echo off %windir%\system32\inetsrv\Appcmd.exe set config /section:directoryBrowse /enabled:true *1 %windir%\system32\inetsrv\Appcmd.exe set config /section:directoryBrowse /showFlags:Time,Size,Extension,Date,LongDate *2 exit /b 0
Appcmd.exeは、%windir%\system32\inetsrv に格納されています。このフォルダは、パスに通っていないため、明示的に指定する必要があります。
*1の引数 set configによってサーバレベルの構成変更を行うことを指示し、/section:directoryBrowse /enabled:true によってディレクトリ参照を有効にします。*2の引数 /section:directoryBrowse /showFlags:Time,Size,Extension,Date,LongDateによってディレクトリ一覧に表示する情報を構成しています。
ServerManagerクラスによる構成
プログラムからIISを構成するためには、ServerManagerクラスを使用します。このクラスの使用には、Microsoft.Web.Administrationへの参照追加が必要です。Microsoft.Web.Administration.dllは、C:\Windows\System32\inetsrvに存在します。
ServerManagerクラスによるIISの構成変更もランタイムによる管理者権限による実行が必要です。サービス定義ファイルへRuntime要素の追加を忘れないようにしましょう。
リスト5の例では、拡張子(aa1)に対して、TEXTファイルである旨のMIMEタイプの追加を行っています。
using System; using System.Collections.Generic; using System.Linq; using Microsoft.WindowsAzure; using Microsoft.WindowsAzure.Diagnostics; using Microsoft.WindowsAzure.ServiceRuntime; using Microsoft.Web.Administration; namespace WebRole1 { public class WebRole : RoleEntryPoint { public override bool OnStart() { try { using (var serverManager = new ServerManager()) { // IISの構成 var config = serverManager.GetApplicationHostConfiguration(); // system.webServer/staticContentセクションの取得 var section = config.GetSection("system.webServer/staticContent"); var collection = section.GetCollection(); // MIMEタイプの作成 var mimeMap = collection.CreateElement("mimeMap"); mimeMap["fileExtension"] = @".aa1"; mimeMap["mimeType"] = @"text/plain"; // MIMEタイプの追加 collection.Add(mimeMap); // 変更をコミット serverManager.CommitChanges(); } } catch { // 適宜例外処理を追加 } return base.OnStart(); } } }
構成変更の確認
Windows Azureに配置して実行確認してみましょう。フォルダ一覧が取得できることが確認できます(図9)。
リモートデスクトップ接続し、IISマネージャを確認します。ディレクトリ参照が構成されていることが確認できます。
次に、一覧に表示されたファイルを選択してみましょう。拡張子(aa1)は、MIMEタイプの追加を行ったため正しく表示されますが、拡張子(aa2)は、MIMEタイプが追加されていないためにエラーとなります(図5)。
リモートデスクトップ接続し、IISマネージャを確認します。MIMEタイプが追加されていることが確認できます(図6)。