はじめに
2012年6月にリリースでWindows Azureモバイルサービスが発表されました。これから数回にわたって、モバイルサービスへの接続方法や利用方法について、サンプルをベースに解説していきます。
対象読者
今回の対象読者は下記のとおりです。
- Windows Azureに関する基礎的な知識
- Windows Azureモバイルサービスに興味がある方
必要な環境
- Windows Azureサブスクリプション
- Windows 8
- Visual Studio 2012(Express版でも可)
Windows Azureモバイルサービスとは
Windows Azureモバイルサービス(Mobile Service‐以降、モバイルサービス)とは、Windows Azureを基盤として利用した、高機能なモバイルアプリケーションを作成するためのフレームワークです。モバイルアプリケーションを作成するために必要なデータストア、クライアントライブラリ、サーバー側での処理、各種REST APIなどが提供されます。
発表当初、モバイルサービスを利用可能なデバイスは、Windowsストアアプリのみでしたが、現在はこれに加えてWindows Phone 8やiOSからも利用可能となっています。
モバイルサービスによって提供される主な機能は、下表のとおりです。
サービス | 概要 |
---|---|
データストア | SQLデータベース(旧SQL Azure)を利用し、任意のデータをモバイルサービスに格納 |
認証サービス | Microsoftアカウント、Facebook、Twitter、Googleなど第三者の認証手段に対応 |
プッシュ通知 | Windows Push Notification Serviceを利用し、Windowsストアアプリへプッシュ通知を実現 |
そのほかにも、サーバーサイドスクリプトでサーバー側に実装処理を持つことができたり、診断ログなどの機能を備えつつ、PaaSの特徴であるスケールアウトも可能となっています。また、Windowsストアアプリのプッシュ通知は、スタート画面上のタイルやトーストと呼ばれる通知部分にメッセージを配信することができます。
本稿では、最初のステップとしてモバイルサービスの作成方法から、管理ポータルから提供されるサンプルアアプリケーションの実行を通して仕組みを解説していきます。
モバイルサービスの作成
はじめに管理ポータルからモバイルサービスを作成します。
1. プレビュー機能を申し込む
現在、モバイルサービスはプレビュー版のため、これらの機能を利用するためには申し込みが必要です。以下のページより申し込んでください。しばらくすると(数十秒)でアクティベイトされ利用可能になります。
2. モバイルサービスの作成
「新しい管理ポータル」にアクセスします。左ペインの[モバイル サービス]を選択し、中央の[新しいモバイル サービスを作成します]をクリックすると、「モバイル サービスの作成」画面が表示されます(図2)。
[URL]には、モバイルサービスで利用するURLを入力します。
[データベース]は、新規作成するか、既存のデータベースを利用するかを選択することができます。ここでは新規にデータベースを作成します。既存のデータベースを利用する場合、データベースとモバイルサービスのリージョンを同一にする必要があります。
[地域]には、モバイルサービスを作成するリージョン(データセンター)の場所を指定します。ただし、プレビュー版であることから選択肢は限定されています。