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「Curl CDE/RTE」最新バージョン公開
~開発者に聞いた「Curlが企業システムに向いている理由」

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 エンタープライズ向けRIAとして進化を続ける「Curl」。その統合開発環境である「Curl Development tools for Eclipse(以下、CDE)」と実行エンジンである「Curl Runtime Environment(以下、RTE)」に新バージョンが登場した。メジャーアップデートとなる新バージョンでは、将来を見据えた機能強化などが実施されている。今回は、Curlプロダクトチームのマネジャーである岡田一志氏、CDE開発担当の菅原洋介氏、プロダクトマーケティング担当の三野凡希氏に、新バージョンの概要や特徴、今後の展開などについて伺った。

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目指したのは、さらなる使い勝手の向上とマルチプラットフォーム

新バージョンの公開には、どういった背景があったのでしょうか?

岡田氏
もともと、Curl製品は米国を拠点に開発していました。しかし、日本にも開発拠点が必要であると考え、2年前にR&D(Research and Development)の開発センターを立ち上げる準備を開始し、今年7月の時点である程度の完成を見ました。その区切りにあわせ、新バージョンを出そうと準備を進めてきました。
 

CDE、RTEのバージョンアップの概要を教えてください

岡田氏
統合開発環境であるCurl CDE 8.0では、新たに「メトリクス解析」「カスタム・テンプレート」「スクラッチペイン」の機能を追加したほか、ステップバックやウォッチポイントといったデバッガーの改善、全体的なパフォーマンスの改善を行いました。

また、実行エンジンである『Curl RTE 8.0』では、最新のブラウザやOS、IPv6などプラットフォームへの対応、セキュリティの強化、GUIおよびグラフィックスの向上、COMやActiveXとの連携機能などを強化しています。
 

CDEの新機能について、詳細を教えてください

岡田氏
CDEについては、バージョン7あたりから生産性の向上を目的に開発を続けていました。新バージョンにおいても、使いやすさによるユーザーメリットを追求して機能強化を行っています。もっとも大きな機能としては、メトリクス解析が挙げられます。
菅原氏
CDEでは、作成中のプログラムの状態をリアルタイムで分析するために「CPA(Curl Program Analyzer)」が背後で動いています。今バージョンからは、CPAのパフォーマンス制御のために分析の対象範囲を変更できるようにしました。例えば、外部ライブラリなどの分析結果は保持しないようにできます。

CPAはソースコードを静的に解析してユーザーにフィードバックするもので、メトリクスの分析にはこのCPAを活用し、Curlを実行することなくプログラムの状態を様々な側面から定量的に把握できます。また、その情報を別のアプリケーションに使用することも可能です。

具体的には、特に品質管理に厳しいエンタープライズの業務システムなどの場合は、メンテナンス性が悪いと修正するように言われてしまいます。そこで、成果物を提出する前にソースコードをメトリクス解析することで、チェックを行えます。メトリクス解析機能には100項目程度が用意されていて、任意の項目のみをチェックできます。デフォルトでは30項目程度が有効になっています。

さらに、解析の対象範囲を変更できるようにしました。例えば、プロジェクト全体だけではなく、パッケージやクラス単位での解析が可能です。スクラッチペインは、Eclipse上でコードを書いて、すぐに試せる機能です。結果もEclipseのビューで見られるため、Eclipse上ですべて完結できます。
 

RTEの新機能はいかがでしょう?

岡田氏
Internet Explorer 9(以下、IE 9)をはじめ、Firefox、Google Chromeなど最新のWebブラウザに対応しました。また、Mac OS Xの最新版、およびIPv6にも対応しました。

セキュリティの強化では、AES、SHA-2(SHA-256、384、512)などに対応しています。GUIにおいては、スマートフォンなどのデバイスで採用されている2本指、3本指によるマルチタッチやジェスチャにも対応しました。このほか、PDFファイルとの連携や、COMやActiveXとの連携機能なども強化しています。
 

今回のバージョンアップで目指しているところは何でしょう?

岡田氏
今回のバージョンアップは、あまりユーザーに見えないところが中心なのですが、目指したところは使い勝手と品質の向上、そして新バージョンを今後の製品の基盤とすることでした。今後の展開を見据え、モバイルクラウドに対応していくために、ベースエンジンの機能拡張を行い、このランタイムをベースに製品を提供していけるよう準備している段階です。これらの製品は今後、秋や冬以降に提供できると思います。

具体的には、これまで公開していなかったAPIをパブリックにしたり、ソースコードを解析できるツールを提供し、モバイルに向けた機能を強化しました。マルチタッチやジェスチャへの対応もモバイルデバイスを意識したものですし、バージョンアップによってプログラムをより作りやすく、しかも軽量のプログラムを作成できるようになったことも、モバイルに有効と言えるでしょう。
 

Curlの利用価値を高めるコミュニティサイトをオープン

新バージョンのリリースに向けて苦労した点はありましたか?

岡田氏
今回、Mac OS Xへの対応は苦労しました。Windowsの場合は、バージョンが変わっても互換性があるのですが、Mac OSはバージョンが変わるとAPIの変更が多く、ランタイムが動かないケースが多いです。その点で、OSのバージョンアップへの対応は大変でした。

また、同様にFirefoxやGoogle Chromeなど、Webブラウザへの対応も大変でした。Webブラウザはバージョンアップが頻繁に行われます。Firefoxはバージョン6がリリースされましたが、テストしていた頃はバージョン4でした。次々と変化するバージョンに追従するのが大変でしたね。その点では、IEが一番楽でした。IE 9においても、ほとんど直さずに対応できました。独自の機能のサポートは必要でしたが、ベースの部分ではほとんど何もせずに動くというのはありがたかったです。
 

ユーザーのサポート体制について教えてください

岡田氏
サポートチームでは、契約している企業ユーザーを対象に、メールベースでの有償サポートを提供しています。

また、7月末にCurlのコミュニティサイトを立ち上げました。そこにフォーラムのカテゴリがあり、誰でも無償で閲覧・問い合わせができますので、ぜひコミュニティを利用していただきたいと思います。コミュニティは内部メンバーのほとんどが見ているので、ある程度の範囲は質問があればすぐに返すことができます。
 

新バージョンになったことで、これからCurlを始めてみようというユーザーも増えると思いますが、そこへのフォローはどのようにしていますか?

三野氏
弊社のハンズオンセミナーに参加いただくのが一番の近道かと思います。しかし、開発者の方は普段は忙しいですよね。その場合はオンラインでCurlのデベロッパセンターを活用していただくことをおすすめします。ここでは、常に最新の記事やチュートリアルを提供していますので。

ほかにも、キャンペーンでWBTというCurlで作成したオンラインのeラーニングコンテンツを無償で提供しています。CDEをダウンロードしてIDを登録すると、キャンペーンコードが発行され、WBTを60日間利用できます。このコンテンツも、Curl学習のいいきっかけになると思います。学習中、難しい・わからない場合などがありましたら、ぜひコミュニティもご利用ください。
 

Curlのメリット、差別化ポイントを教えてください

岡田氏
開発者の視点から見ると、Curlは他の言語と比べて多彩な機能を持っているという点かと思います。例えば「この機能を使いたいけど、Javaにはない。Rubyにはあるのに」といったような言語仕様がCurlには多く入っています。

マクロの機能も差別化ポイントといえます。Curlのマクロは自分で独自の言語構文を作り、Curl言語を拡張することができます。この機能はCurl以外の言語ではほとんどありません。

Curlは言語としてかなり高度なのですが、それをアピールし切れていないのが現状です。Curlはバージョン4以降、言語体系に大きな変化はなく、安定しているため、安心して使えます。特に企業向けの開発では、安定性は重要なポイントと言えます。今回のバージョンアップでパフォーマンスの高さに加え、安定性も非常に増しました。これで土台が整ったので、次はマルチプラットフォームに注力していきます。
 

メンテナンス面でのメリットはいかがでしょう?

岡田氏
Curlは機能が多すぎて難しいという面があります。最低限の機能である程度のアプリケーションを作ることができ、そこでとどめておけば比較的簡単なのですが、もっと広く深く使おうとすると難しくなってしまうんです。
菅原氏
最近は、ライトな言語について聞く機会が多くなっていますが、企業の厳格なシステムに適用するには難しい面があります。その意味では、Curlは企業向けのシステム開発に向いています。バージョン5や6からは、厳格に書きつつもコード量を減らすといった機能が入ってきていることもメリットの1つだと思います。
岡田氏
これはメリットでもあり、同時にデメリットでもあるのですが、「インストールする」ことからプラットフォームに近い言語であるといえます。つまり、OSに近いレベルでいろいろなことができます。ActiveXやCOMとの連携や、ダイナミックライブラリなどのデバイスに近い部分をハンドリングできることも強みのひとつだと思います。

さらに、企業ユーザーと近い位置にあるため、ユーザーニーズが入ってくる点も挙げられます。国内にR&Dを立ち上げたことにより、日本国内のユーザーニーズに応えられるようになったことも大きいと思います。以前は、ユーザーのニーズを伝えても、米国に「No」と言われればそれまででしたから。
 

今後もユーザーエクスペリエンスを高めていく

Curlの今後の戦略や方向性についてはいかがですか?

三野氏
現在、韓国への対応を考えています。韓国にはマーケットがありますし、すでに利用していただいている企業も少なくありません。できれば今年中、あるいは今年度中に対応したいですね。言語としてのマルチランゲージには既に対応していますが、ヘルプは英語ですので、ローカライズするメリットは大きいと思います。
岡田氏
これからは大量のデータをハンドリングするニーズが増えると思うので、そういった要望にも対応していきたいです。また、ユーザーエクスペリエンスについても、今後どうあるべきかを追求しています。さらに、新たな市場としてモバイルを組み込んでいきます。モバイルはエンタープライズの企業システムと組み合わせてアプリケーションを提供していくニーズが高いと思います。

最終的にお客様はクライアントサイドだけを求めているわけではなく、システム全体を開発・構築する製品を求めていると思います。サーバサイドなどの製品を開発したり、他テクノロジーと組み合わせたりして、最終的にはクラウドサービスとして、プラットフォームを提供できないかと考えています。
三野氏
ユーザーエクスペリエンスで楽しさも提供していきたいですね。業務系はトップダウンですから、作業をいかに早く終わらせるかという点を重視します。そこでユーザーエクスペリエンスを意識したインタフェースを提供し、ステップ数を減らすという業務系に向けた新しい視点で、ユーザーエクスペリエンスを定義していきたいですね。
菅原氏
ユーザーが開発しやすいものを作っていきたいですね。Curlがわかりづらい、とっつきづらいというイメージも払拭したいです。例えば、Curlの色々な機能をマクロでラップして簡単に使えるDSLのようにすることは可能だと思います。そういったフレームワークなどを用意していけば、Curlを全く知らないお客様にも活用してもらえると思うんです。
 

コミュニティについてはいかがですか?

岡田氏
今はみんなで情報を書き込んでいる状況で、こういうことを始めるのは苦労するんだなと実感しています。いろいろ盛り上げる方策を実施していきたいと思っています。まずはアカウント登録して欲しいですね。

それと、まだ開始したばかりですが、今後はSNSなど別の媒体も含めて展開しようと考えています。
三野氏
住商情報システムには56社のパートナーがいます。パートナーの技術者にも参加してもらおうと考えています。後はオフラインでの交流も行って、大きなコミュニティを作っていきたいですね。SNSやFacebook、ファンサイトなどは現在検討中です。全体を考えてコミュニティサイトを拡大していきたいと思います。
 

ありがとうございました

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【AD】本記事の内容は記事掲載開始時点のものです 企画・制作 株式会社翔泳社

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