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ASP.NET MVC3入門

ASP.NET MVC 3におけるDI実装のポイント

ASP.NET MVC3入門(4)

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 ASP.NET MVC 3では、各機能がASP.NET MVC 2よりも洗練されています。今回はMVCの基本部分Controllerで利用可能なDI機能と、MVCの場合活用が増える単体テストのTipsをいくつかご紹介します。

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はじめに

 ASP.NET MVC 3(以下、MVC 3)のController周りの改良点として、Dependency Injection(以下、DI)の容易な実装が挙げられます。今回はMVC 3におけるDI実装と利用方法についてご紹介します。

 DIの登場の背景はJavaでのWebアプリケーション開発での課題が根底にあります。一昔前のJavaでのWebアプリケーション開発では、Enterprise JavaBeansコンテナと呼ばれるアプリケーションサーバーの起動が非常に遅いことが問題としてありました。この問題に対応し、テスト容易性の向上とコンポーネントの再利用性の向上を狙い考え、生み出されたのがDIと呼ばれる開発手法です。

 DIとはクラス間の直接的な依存関係を排除する開発手法であり、DIを実現するツールのことをDIコンテナと言います。JavaにおけるDIコンテナとしてはJavaのSpring FrameworkやJBoss Seam、Seasarなどがメジャーです。.NET対応のDIコンテナは、今回ご紹介するNinjectやUnity、Seasar.NETなどがあります。

 DIコンテナを利用することで、クラスAがどのクラスに依存しているかはアプリケーション実行時に解決されるため、クラス間の依存関係を排除してコンポーネント間の依存関係を疎にできます。これにより、各クラスはPOCO(Plain Old CLR Object)になるため、単体テストの実施やコンポーネントの再利用性が大幅に向上します。

 各クラスの依存関係が疎であるため、特定のクラスに依存することがなくなります(図1~2)。

図1 DI実装前
図1 DI実装前
図2 DI実装後
図2 DI実装後

 これにより、Microsoftの提供するライブラリのみでなく、OSSも含めた多様なコンポーネントを自在に組み合わせることも可能となります。

 ここで、一度.NETにおけるDIコンテナについて簡単に紹介します。今回サンプル作成に使用するNinjectですが、こちらは先の紹介のとおり.NET上で利用できるオープンソースのDIコンテナです。Ninject自身は多くの機能を持ちますが、単純なDIコンテナとして利用する場合は、学習コストを抑えて簡単に利用できます。ソースコードはgithub上に展開されているので興味がある方は、確認してみるとよいでしょう。

 その他、MVC 3で利用されるDIコンテナとしてUnityのようなプロジェクトもあり、Unityを利用したDI実装のサンプルとしてProject Silkがあるので、こちらも興味がある方は併せて確認してみるとよいでしょう。

 なお、ASP.NET MVCの基本的な開発については過去の連載を参照してください。

必要な環境

 次の環境が必要です。

  • Visual Studio 2010(Visual Web Developer 2010でもOK)
  • ASP.NET MVC 3 RTW版
  • ASP.NET MVC 3 Tools Update(日本語版含む)
  • Pubsデータベース
  • Ninject

 Visual Studio 2010(以下、VS 2010)のインストールは、Visual Studio 2010 Beta 2と変わらないので、「Visual Studio 2010 Beta 2を使ってみよう」を参考に行ってください。

 ASP.NET MVC 3 RTW(Relase To Web)はこちらからダウンロードできます。インストールはウィザードに従って進めるだけです。

 ASP.NET MVC 3 Tools Updateはこちらからダウンロードできます。AspNetMVC3ToolsUpdateSetup.exeをインストール後に、AspNetMVC3ToolsUpdateSetup_JPN.exeをインストールすることで、VS 2010上での表記が日本語になります。インストールはウィザードに従って進めるだけです。

 本サンプル・プログラムを動作させるにあたっては、無償で提供されているNorthWindデータベースとPubsデータベースを使用しています。

 NinjectはNuGetでインストール可能です。VS 2010のメニューから[表示]-[その他のウィンドウ]-[Package Manager Console]を選択して、PackageManger Consoleを表示します。その後、以下のコマンドを入力するだけです。

NuGetによるNinjectのインストール
Install-Package Ninject

今回触れる内容

 本稿では、次の内容に触れます。

  • MVC 3におけるDIを使い分ける指針
  • MVC 3におけるDIの利用方法

次のページ
MVC 3におけるDIを使い分ける指針

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この記事の著者

山田 祥寛(ヤマダ ヨシヒロ)

静岡県榛原町生まれ。一橋大学経済学部卒業後、NECにてシステム企画業務に携わるが、2003年4月に念願かなってフリーライターに転身。Microsoft MVP for Visual Studio and Development Technologies。執筆コミュニティ「WINGSプロジェクト」代表。主な著書に「独習シリーズ(Java・C#・Python・PHP・Ruby・JSP&サーブレットなど)」「速習シリーズ(ASP.NET Core・Vue.js・React・TypeScript・ECMAScript、Laravelなど)」「改訂3版JavaScript本格入門」「これからはじめるReact実践入門」「はじめてのAndroidアプリ開発 Kotlin編 」他、著書多数

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

WINGSプロジェクト ナオキ(ナオキ)

WINGSプロジェクトについて>有限会社 WINGSプロジェクトが運営する、テクニカル執筆コミュニティ(代表 山田祥寛)。主にWeb開発分野の書籍/記事執筆、翻訳、講演等を幅広く手がける。2018年11月時点での登録メンバは55名で、現在も執筆メンバを募集中。興味のある方は、どしどし応募頂きたい。著書記事多数。 RSS X: @WingsPro_info(公式)、@WingsPro_info/wings(メンバーリスト) Facebook

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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