サンプルアプリケーションの解説
それではダウンロードしたサンプルアプリーションについて解説します。
サンプルの実行確認
まずは、サンプルアプリケーションを実行してみましょう。
ダウンロードしたソリューションをVisual Studioで開き、デバッグ実行します。
1. サンプルアプリケーションを実行する
Visual Studio 2012を起動し、サンプルアプリケーションを開きます。メインメニューから、[デバッグ]-[デバッグ開始]を選択します。図6はシミュレータ上で実行した様子です。Windowsストアアプリの場合、ローカルコンピュータで実行か、シミュレータ上で実行かを選ぶことができます。
左テキストボックスに文字を入力し、[Save]ボタンをクリックすると、バックグラウンドではモバイルサービスのデータベースにデータが挿入されるとともに、右側のリストにアイテムの一覧が表示されます。アイテム左側のチェックボックスにチェックを入れると、次に説明するcompleteカラムが更新され、一覧の表示からは削除されます。
2. 実行後のデータを確認する
管理ポータルに戻って、挿入されたテーブルの内容を確認してみましょう。それぞれ、アイテムに対応するtextカラムと、チェックボックスに対応するcompleteカラムが作成されていることが確認できます(図8)。
また[参照]タブからデータを確認することもできます。先ほど入力したデータが表示されているでしょう(図9)。
サンプルアプリケーションの確認
簡単な実行確認が終わったところで、サンプルアプリケーションの中身を確認していきます。
1. データクラスの確認
まず初めに使われるデータを確認するため、リスト1を開きます。
public class TodoItem { public int Id { get; set; } [DataMember(Name = "text")] public string Text { get; set; } [DataMember(Name = "complete")] public bool Complete { get; set; } }
TodoItemクラスが定義されており、それぞれ、Id、Text、Completeプロパティを持っています。UI側からいえば、テキストボックスがTextプロパティ、チェックボックスがCompleteプロパティに対応しています。またText、Complete両プロパティはDataMember属性が指定されており、テーブルのtext、completeカラムに対応しています。
2. モバイルサービスへの接続
次にモバイルサービスの接続について確認しましょう。リスト2を開きます。
public static MobileServiceClient MobileService = new MobileServiceClient( "https://mobileservicedemo.azure-mobile.net/", "fnBWCbdBNhbxNGVemOJXNJHgzndscP81");
接続のためにMobileServiceClientクラスを使用します。コンストラクタの第1引数にはモバイルサービスのURLを指定し、第2引数にはアプリケーションキー(*2)を指定します。詳細は後述しますが、モバイルサービスのデータにはアクセス権限を設定することができます。既定値ではモバイルサービスにアクセスするために、アプリケーションキーが必要です。また、アクセス制限の設定によっては、アプリケーションキーが不要でアクセス可能です。
サンプルアプリケーションには、初めからアプリケーションキーが埋め込まれています。アプリケーションキーは管理ポータルから確認できます
3. モバイルサービスからデータの取得、挿入
最後にデータの取得、挿入部分を確認しましょう。モバイルサービス上にあるテーブル操作は、IMobileServiceTableインターフェースを利用します(リスト3)。インスタンスを取得するためには、リスト2で作成した、MobileServiceクラスを利用し、GetTableメソッドを呼び出します。ここで取得したIMobileServiceTable<TodoItem>インターフェースには、挿入や更新、読み込み、削除などのメソッドなどが用意されており、これらでテーブルの操作が可能です。
private IMobileServiceTable<TodoItem> todoTable = App.MobileService.GetTable<TodoItem>();
リスト4は、データストアからデータを取得している部分です。
private MobileServiceCollectionView<TodoItem> items; ...(1) ... private void RefreshTodoItems() ...(2) { items = todoTable .Where(todoItem => todoItem.Complete == false) .ToCollectionView(); ListItems.ItemsSource = items; }
(1)のMobileServiceCollectionView<TodoItem>は、アイテムの格納先となるコレクションです。
(2)RefreshTodoItemsメソッドは、モバイルサービスからアイテムの一覧を取得します。リスト3で定義されたtodoTableからtodoItemのCompleteプロパティがfalseのものを取得し、リストビューコントロールにバインディングしています。
リスト5は、モバイルサービスへのデータ挿入部分です。
private async void InsertTodoItem(TodoItem todoItem) { await todoTable.InsertAsync(todoItem); items.Add(todoItem); }
IMobileServiceTableクラスのInsertAsyncメソッドを呼び出して、データを挿入しています。Asyncと名前がついているとおり非同期メソッドです。Windowsストアアプリではユーザーインターフェースをブロックさせないようにするため、時間のかかる処理は非同期での実装を強要されます。ただし新しく導入されたasync/await構文を用いて簡単に実装できるようになっています。
ここで紹介した、各クラスやインターフェースの詳細については、「モバイルサービスのMSDNライブラリ」を参照してください。