モバイル開発ではバックエンドとの接続も大事
モバイルアプリの多くは、ほかのサービスやサーバーとの通信を行う形態のものが多い。例えば、企業のデータベース。DelphiやC++Builderでは、コンポーネントを使って容易に主要なデータベースのデータを利用できるが、モバイルの場合、ファイヤーウォールを越えたアクセスも想定しなければならない。
C++Builder(そしてDelphi)では、DataSnapと呼ばれる多層アーキテクチャによって、モバイルやWebなど、多様なクライアントからのアクセスに対応できるようになっている。ここで使用するインターフェイスはRESTなどオープンなものであり、容易に異なるシステムとの連携が可能になっている。
データベースといえば、もう一つ、組み込み型のデータベースの利用がある。ローカルストレージとして利用できるこれらのデータベースについても、SQLite、そしてInterBaseの軽量モバイル版IBLiteなどに対応している。
なお、C++Builder XE5、Delphi XE5はそれぞれ単独のツールとして購入できるほか、両方を含むスイート製品RAD Studio XE5としても購入できる。
モバイル開発は専業から多様な選択肢の一つに変化
C++Builderのような従来Windows向け開発をサポートしてきたツールが、本格的なモバイル開発を実現したことの意義は大きい。これまでは、モバイル開発には、ベンダー固有のツールや言語を用いるか、Webテクノロジーなどを選択するしかなかった。そのいずれも、従来のアプリケーション開発とは異なる、新しいノウハウを必要とするものだ。
Windows向け開発ツールが、現行の開発パラダイムのまま、モバイル向けに拡張されたことにより、従来のアプリケーション開発の延長としてモバイル開発を捉えることが可能になった。開発者は、従来の開発資産やノウハウを活かして新たにモバイル向け開発に取り組みながらも、引き続き要求されるWindows向け開発にも対応できるのだ。
ジョン・トーマス氏の講演ビデオはYouTubeで視聴できる。