年賀状サービスの本質である「印刷」と「送付」
Yahoo! JAPAN年賀状の特徴の一つは、「印刷されたはがきのやりとりができる」というリアル世界につながったサービスであることだ。利用者が作成した年賀状を印刷するプロセスを担当したのは吉田氏だ。吉田氏は、システムの中で、年賀状データをPDF化し印刷所に送るコンポーネントの開発を担当した。
Yahoo! JAPAN年賀状は絵柄などの商材が豊富なのも特徴である。非常に多数の商材への大量な注文を処理し、PDFデータを生成して印刷所に送り、決済処理システムとのつなぎ込みなども担当した。
苦労した点は、例えば企業のギフト年賀状のような商材の場合、印刷物の色の管理がある。企業としては商品やキャラクターの色は細かく管理したい。そのニーズに応えるため、印刷所とPDFのチューニングや設定について詳細のやりとりが必要だったという。
それ以外にも、「印刷のピークもやはり12月25日前後の連休にぶつかるのですが、いわば印刷ジョブ、キューの管理も大変でした。商材によって注文が入る頻度やペースが異なります。Webでの年賀状作成と注文(印刷・発送依頼)はクリックで済みますが、印刷は効率よく機械を動かす必要があります。印刷所への発注タイミングをどれくらいの間隔で行うのがよいのか考えながらシステムを設定していました」と吉田氏は語る。
吉田氏は、元は医薬品関係企業の情報部門のSEだった。博報堂アイ・スタジオは6年目となり実務・SE経験ともに豊富な経験とスキルを持つ。印刷所や商材を扱う企業との折衝ややりとりなど、ベテランならではの知識と経験が求められる。さらに、最終的な品質や顧客満足度に直結する重要な部分といえる。
API開発はサービスインしてからも続く
システムが稼働を始め、実際のサービスが始まってしまえば河津氏のAPI開発は一区切りとなっただろう。と、思いたいところだが、実は11月にサービスインしてからも、商材の追加は段階的に発生し、商材提供企業とのやりとりの中でAPIの拡張や変更も発生していた。さらに、利用者からは機能についてさまざまなリクエストや生の声も寄せられる。河津氏は、これらのうちAPIに関わる部分の対応を担当しなければならなかった。
新卒2年目としてはかなり大変だったのではないかと想像されるが、櫻井氏と吉田氏に、このあたりの河津氏の仕事ぶりを聞いてみた。
「最初は依頼の技術的内容について不安を持っているようで、内容が伝わるまで時間がかかる部分もありましたが、開発が進むにつれ自身の能力に自信を持ち技術の向上も相まって、簡潔で的確な依頼・指示ができるようになっており、感心しました(櫻井氏)」
「エンドユーザーに直接かかわるサービスという今回のプロジェクトでは、他部署との連携やユーザーの声に接するといった経験に加え、システム設計や開発の全体も把握できる機会だったのではないでしょうか(吉田氏)」
と、それぞれコメントを寄せてくれた。
任されるうれしさと責任が「やりがい」につながった
当の河津氏は、今回のプロジェクトについて次のように語ってくれた。
「Yahoo! JAPAN年賀状のプロジェクトでは、APIというサービスにとって重要な部分を任せてもらい、自分の裁量で設計や開発ができたのはとてもありがたいことだと思いました。もちろん、仕事の規模が大きく要求仕様も難しいので責任の重さがありましたが、自分のシステムなので自分がやらなければ、ということでモチベーションも違いました。特に、一般の人が利用するサービスということで、みんなが使うシステムを作れるというのはエンジニアとしては喜びが大きいと思います。やはり、知り合いや家族に説明するとき説明しやすいし、素直にうれしいですよね。サービスの利用者からの声にも接することができたというのも貴重な経験でした」
自社事業であるYahoo! JAPAN年賀状の舞台裏を通じて、バックエンド構築のエキスパートと若手エンジニアのチャレンジを紹介いたしましたが、自社事業に関わらずチャレンジ意識の高いエンジニアを、博報堂アイ・スタジオでは積極的に募集しています(2014年3月現在)。Webアプリ開発、運用、ネットワーク管理と幅広いエンジニアの活躍の場がありますので、スキルアップを望む方は採用ページから奮ってご応募ください。博報堂アイ・スタジオは、エンジニアに対してセミナー受講、資格取得支援や、社内コンテストの実施など、エンジニアのキャリア形成を支援する取り組みも充実しています。