モバイルソリューションは急速に成長中
ルブラン氏に続いて、米IBM MobileFirst担当 ゼネラルマネージャーのメアリー・ウィック氏が登壇した。ウィック氏の担当である「MobileFirst(モバイルが第一)」は、ルブラン氏の講演にもあったとおり、クラウドとモバイルの活用が現在の激しい変革が背景にあることから、専門部署として立ち上げられたと推測される。
ウィック氏は220社以上と共に仕事をした経験から、エンタープライズ分野でモバイルソリューションを成功させる秘訣として次の3つを挙げた。
① エンタープライズはモバイルのインタラクションとトランザクションを受け入れなければならない
ガートナーによると、モバイルによるトランザクションは昨年だけで45%増加。「Hot Wire」という旅行サイトでは対前年比でモバイルからの予約が60%伸びたという。中国では、シングルズデー(11月11日)にモバイルで行われた買い物の総額が、前年は24時間かかった1億ドルをたった1時間で突破。こうした状況下では、すべてのインタラクションがセキュアで利便性が高くなくてはならない。
② アジャイルで反復可能なプロセスで開発・運用をしなければならない
開発期間も平均して2~6週間と短期間で行う必要があるほか、顧客に適切な体験を提供しなければならないし、競合の先を行かなければならない。
③ データ駆動型でなければならない
この5年でモバイルデータトラフィックは26倍に上昇。一方で、本当にモバイルユーザーを理解し、ニーズを把握できている企業は18%という結果が出た。
そのためにIBMは、DevOpsライフサイクルを実現する「Worklight Platform」のほか、エンタープライズモバイルアプリケーションの開発およびデプロイを簡単に行える「BlueMix Mobile Cloud Services」と、DBaaS(Database as a Service)によりモバイルやWebアプリに接続を可能にする「Cloudant」を提供。さらに、今期中の出荷が予定されている新しいWorklightがプラットフォーム業界を新しいものにするだろうと、ウィック氏は述べている。
課題は、これからモバイル対応を図ろうという企業や開発者に負担となる開発の工数や時間をできるだけ短縮することだが、IBMはWorklight向けにAPIやテンプレートなどを提供して、この課題の克服にも努めている。スライドの内容から、金融や官公庁・自治体、ヘルスケアといった業務向けのテンプレートなどを用意している模様だ。
なお、このようなイノベーションも継続していかなければ、すぐにユーザーの評価は下がってしまう。そのために必要なこととしてウィック氏は、スピード、アイデアを素早く実現すること、ラージボリュームに対してスケール可能であることを挙げた。
Watsonのコグニティブ(認識)コンピューティングにも期待
基調講演の最後に登壇したのは、米IBM ソフトウェアグループ Watson担当 シニアバイスプレジデントのマイケル・ローディン氏だ。
Watsonは、コグニティブ(認識)コンピューティングにより、こちらが投げかけた質問に回答をするシステムで、ビジネスでは状況に応じた洞察(インサイト)を提供してくれる。意思決定などに役立つ情報だ。IBMでは世界中の開発者に向け、このWatsonと、モバイルとの連携で何ができるのかを問うモバイルアプリケーション開発コンテスト「Watson Mobile Developer Challenge」を今年2月より実施。6週間で400以上のビジネスアプリケーションが応募されてくるなど反響は大きく、ローディン氏も「信じられない」と感想を述べた。
現在、9か国12業界にいる25名が準決勝に残っている。ローディン氏によれば全員、非構造化データを新しいやり方で使っていることと、Watsonの回答機能を応用してエンドユーザーに新しいインタラクションをもたらそうとしている点で共通しているという。コンテストは今後トップ3名が、6月に米国フロリダで行われる「IBM Innovate」で発表される予定で、3名はWatson Eco Programで様々なプロジェクトに参加するとともに、最終目標として、モバイルアプリケーションで商業的に成功することを目指す。
最後に、Watsonとコグニティブコンピューティングについて、ローディン氏は「以前から次世代コンピュータのとっかかりであると言ってきた」とした上で、「近いうちに、エンタープライズアプリケーションからWatsonへアクセスできるようになる。これにより、コグニティブコンピューティングが自分たちのビジネスをどのように変革するかを知ることができるだろう」と述べて講演を締めくくった。

