3つの帳票デザイン方式
9.0Jでは、従来の「セクションレポート」「ページレポート」に加えて、第3のデザイン方式として「RDLレポート」を追加しています。ActiveReportsが3つの帳票デザイン方式を提案するのは、多様で緻密なレイアウトが要求される日本の帳票開発において、帳票のタイプによってデザイン方式を使い分けることで、より効率よく帳票を設計できると考えているためです。まずは、それぞれのデザイン方式の特長を見ていきましょう。
セクションレポート
セクションレポートは、ActiveReportsの発売当初から提供している形式です。データ(レコード)の数だけDetailやGroupHeader/Footerといったセクションが繰り返し表示されることで1つのページが構築されます。セクションがそのページに収まりきらなくなった場合は、次ページにセクションが出力されます。つまり、帳票レイアウトはセクションの集合体であり、帳票デザインは個々のセクションの繰り返しを意識しながら、各セクションをデザインしていく作業といえます。この方式は、縦方向に明細を繰り返し表示する一覧表のようなレポートを非常に効率よく作成できます。
ページレポート
ページレポートは、7.0Jで追加した形式です。印刷結果とまったく同じレイアウトで帳票をデザインできるため、項目の配置が複雑な帳票に威力を発揮します。印刷結果とデザイン画面はWYSIWYG(what you see is what you get:見たままが得られる)の関係になります。繰り返しデータを表示する部分は、明細用のリストコントロールやテーブルコントロールといったレポート要素を利用することで対処します。また、WYSIWYG はエンドユーザーがレポートを作成するエンドユーザーレポーティングのシナリオにも適しています。
ページレポートを使用した帳票レイアウトの作成方法については、2013年度版の記事をご参照ください。
RDLレポート
RDLレポートは、9.0Jで追加した形式です。RDLレポートのデザイン方式は、SQL Server Reporting Servicesのようなフリーレイアウト方式を採用しており、RDL 2005に準拠しています。セクションの出力位置やページの用紙サイズといったレイアウト上の制約を意識することなく、自由にレポートコントロールをレイアウトできます。繰り返しデータを表示する部分は、ページレポート同様、明細用のリストコントロールやテーブルコントロールといったレポート要素を利用することで対処します。そしてこれらのコントロールがデータ数に応じて伸長していき、印刷の用紙サイズに収まりきらなくなった場合には、セクションレポート同様、次ページに引き続きデータが表示されます。
このように、RDL レポートはページレポートとセクションレポートの特長を合わせたデザイン方式と言えますが、ページレポート/セクションレポートとは異なる点が 2つあります。1つは、複数のデータソースを手軽に使用できること。もう一つは、2つのプレビュー方式(印刷する用紙サイズに合わせて改ページした「印刷プレビュー」、すべてのデータを改ページなしで閲覧できる「ゲラモード」)を持つことです。このため、いわゆる日本帳票のような定型の様式をもった帳票ではなく、データ件数が変化するレポートを柔軟に表示するのに適したデザイン方式です。
RDLレポートを使用した帳票レイアウトの作成方法については、次回の記事で詳しく紹介します。