この連載で扱うハッカースペースとはどういうものかについては、初回の記事をご覧ください。
オープンソースのハッカースペースパスポート
どこのハッカースペースにも、スタンプやステッカーがあります。スタンプがあるのは、ハッカーたちのパスポートに押すためです。
「ハッカースペースパスポート」とは、様々なハッカースペースを渡り歩くハッカーたちが、スタンプをためていく遊びのためのものです。伝説的なハッカーであるミッチ・アルトマン(公共の場所にあるテレビをまとめて消すTV-BGONEというガジェットを作ったことなどで有名)とマシュー・ボルガッティ(僕は会ったことないけどデザイナーのようで、このパスポートの見事なデザインも担当した)が提唱し、彼らのクレジットのもと、オープンソースでPDFが公開されています。
表紙などは自由にデザインすることが推奨されているし、とてもキレイにデザインされています。どうせならきちんと印刷したいところなので、様々な企業が製品化しています。
僕は、シンセンのSeeed Studioが製品化したものをもらったので使っています。
僕のパスポートを今見たら、25のスタンプやステッカーが押されていました。国別の内訳は中国3、香港2、シンガポール6、タイ4、台湾6、日本4。
なぜハッカーが旅をするのか?
もちろんこれがパスポートとして何か役立つわけでなくて、お遊びで作ったものです。出身地が
銀河-天の川-太陽系-第三惑星
になっていたり、いくつも欧米ハッカーらしい遊び心が仕込んであります。
でも、冗談だけで作られたわけではなくて、キーになっているメッセージは、ハッカー精神を表したとても美しいものです。
世界に広がるハッカーの世界を探索しに行こう! ハッカースペースやハッカーカンファレンスを訪れ、仲良くなれそうな「おまいら」を探し、どんなテクノロジーが好きかについてアツく語り合い、教えあおう。僕らはもっと知りたい、語りたいと思っていて、もっと多くのハッカースペースにつながろうと思っているんだ。
僕らはコミュニティが必要だ。宇宙から地球の各地にバラまかれた種のような僕たちが、互いに学び・教えあうために。さらに僕らは、互いにつながることで自分たちそれぞれのクリエイティビティを超えていける。僕らはそうやってこれまで生き残ってきたんだ。僕らは自分だけの想像力を超えて、無限大に大きくできる。ハッカースペースは、世界の僕らが愛するすべてのモノをハックして、互いに成果を共有する。僕らはお互いのために、ハードウェアもソフトウェアも、アートもクラフトもサイエンスも、食事も音楽も社会も、惑星だってハックできる。インターネットでアクセスできるものならどんなものでも、もちろん自分の人生だってハックしていくことができる。
ハックとは何か? 見つけるためにはまず、これまで触れてきたものの中で自分を一番コーフンさせてくれるもの、刺激されるものを他人に話すのがいい。アツくなれるものがない? ハッカースペースの扉を叩けば、それを一緒に探す仲間がいつでも見つかるだろう。
君がこれまでハックしたものやその楽しさを、ぜひ広めてほしい。自分が何を知り、何を知らないかを広めることで、さらに新しいものを学ぶことができる。僕らはいつも、君かが来たときにもっといろいろ教えてもらいたいと思っている。好きなだけたくさんのハッカースペースのスタンプを集め、交換すればいい。君や僕たちが好きなこと、お互いの知識の交換は、世界をよりよくすることにつながっているんだ。世界的なハッカースペースのムーブメントは、君をサポートする。好きなものを探しに行こう!
まさに、本連載「世界ハッカースペース・ガイド」の狙いを地で行くような美しいスローガンです。
こちらのブログにも、スローガンの日本語訳をアップしてあります。