ブルーオーシャン、かつ好きな分野で第一人者を目指そう
LINE株式会社 ビジネスプラットフォーム事業室 戦略企画担当ディレクター
砂金信一郎(いさご しんいちろう)さん
LINEのスマートポータル戦略実現に向けて、ライフスタイル変革をもたらすAIやchat botなどの技術を広く当たり前のものとして普及させることで、企業や社会と個々人の距離を縮めるビジネスプラットフォーム戦略の立案、推進を担当。
東工大卒業後日本オラクル在籍時にERP導入プロジェクト多数と新規事業開発を、ローランド・ベルガーで戦略コンサルタントを、マザーズに上場したリアルコムで製品マーケティング責任者をそれぞれ経験。その後クラウド黎明期からマイクロソフトのエバンジェリストとしてMicrosoft Azureの技術啓蒙やスタートアップ支援を積極的に推進した後、現職。@shin135
吉羽 これから何の技術に取り組むのがいいか、砂金さんはどんな意見をお持ちですか? 自分が楽しいと思うものをやることが重要だと思うのですが。
砂金 そうですね。例えば、ブロックチェーンでトランザクション系のシステムをちゃんと作れる人は日本でそんなにいないですよね。その業界で、100人の中で1番になることはできても、今更RDBMSやNoSQLに関することで第一人者になるというのは難しいと思うんです。
吉羽 ブルーオーシャンを見つける、しかも自分が好きそうな分野で、ということですかね?。
砂金 自分の人生の全てを費やす必要はなくて、関連するコミュニティに参加して、少しかじっておくくらいでいいと思います。
クラウドについて言えば、安くてセキュリティ面も信頼できるようなクラウド上のシステム開発はすでに多くの人が取り組んでいます。でも、そのクラウド上でどんなワークロードを作っていくかは、まだブルーオーシャンです。僕がクラウドの中でもワクワクしているのは、クラウド上で、ブロックチェーンやディープラーニング、IoTなど無限のデータを扱う領域。僕はディープラーニングへの興味が行き過ぎてしまったので、じゃあデータを持っている会社に行こうという発想で、LINEに転職したんです。
吉羽 クラウドのエバンジェリストはかつて、セールストークとして「オンプレだと調達に半年かかり、ビジネスが上手くいくかいかないかわからない内に多額の投資が必要なため、新規のビジネスが生まれにくい」と言ってましたよね。今はクラウドを使うことが当たり前になってきている。このような時代に、クラウドはエンジニアに共通して必要なスキルと考えていいでしょうか。
砂金 ええ。僕たちクラウド第一世代は、自分でPCを組んで、サーバーのセットアップも楽にできるし、ネットワークや電源もだいたい触ってきています。触ってきたからこそ、AWSやAzureはどのように動作しているか理解している。第二世代のみなさんは、きっと「え、サーバーって買うの?」「AWSのアカウント作ればいいんでしょ」くらいの感覚ですよね。
吉羽 Railsで開発している人は、HTTPのセッションの概念はあまり理解していないけど、コードは書ける、という話をよく聞きます。
砂金 そんなこと気にしなくたって、Railsで新しいアイディアをすぐに形にできる方が価値があると考えてしかるべきです。もちろん、クラウドの仕組みをよく知った上で、より堅牢なインフラにすべく工夫できる人は、本当に重要なんですよ。
吉羽 クラウドの中身については興味があれば勉強すればいい。砂金さんが大事にしているメッセージとして、クラウドを使って何をやるか、ですよね。