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社会を変えたインターネット。エンジニアはIoTにどう関わるべきか?

エンジニアが生き残るためのテクノロジーの授業 第2回

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2016/10/25 14:00

目次

IoTに対して、エンジニアは何をすべき?

提供側にとってIoTは何がよいのか

 提供側から見たIoTの最大のメリットは、データを簡単に収集できることです。IoTによりサンプルを簡単に収集できるようになれば、経験や勘による予想に頼らなくても、データをもとにした「事実」により、根拠を持って判断できます。特に、小さな変化をリアルタイムに収集できることのメリットは非常に大きいといえます。

 自動車を運転していて、渋滞に遭遇したとします。現在は、カーナビの案内や渋滞情報をもとに、運転者がどの道を進むのか判断していますが、その人の経験に基づく部分が少なくありません。しかしIoTが普及すると、渋滞情報を車と信号機、車と車が相互に通信してやり取りすることで、より適したなルートを示してくれる可能性があります。もともと車にはレーダーやカメラ、カーナビやGPSがあるので、かなり高度な情報の活用ができるはずです。

 さらにIoTの導入が進むと、これまでの「個別最適」から「全体最適」へと変わっていきます(図4)。個々の車が渋滞を回避するような使い方にとどまらず、道路交通システム全体で情報を共有することで、渋滞や事故を減らし、環境負荷も意識した制御が可能になります。もちろん、災害時の交通制御などもできるでしょう。

 このような技術は、モノ同士が相互につながり、全体で協調および連携することで成立します。情報をクラウドに集めて分析することで、モノ自体が賢くなることもあります。データを収集したら、解析して活用する段階に進むのが自然な流れです。現実の世界はアナログですが、デジタルなデータに制御される時代になるかもしれません。

図4:個別最適と全体最適
図4:個別最適と全体最適

常に意識すべき自動化

 IoTは今後も多くの場面で活用されると思われますが、エンジニアは多くの利用者に展開させていく役割があります。そのときカギになるのは「仕組み」を構築することです。ネットワークの構築や機器の接続などのノウハウを、組織として共有しておく必要があります。

 特に自動化を意識することが重要です。IoTやM2Mはもともと機械が中心になる考え方ですが、運用も含めて人間がかかわる場面を最小限に抑えるように設計します。つまり、IoTを用いてたくさんの場所からデータを集め、そのデータをAI(人工知能)によって自動的に分析します。さらに、将来の予測にも役立てることができれば、新しい価値を生み出せる確率が高くなるでしょう。

開発者ならではの視点

 注意しておきたいのがセキュリティです。パソコンなどの場合は、利用者によって普段から意識してソフトウェアの更新などの作業を行ってもらえますが、IoT機器のように身の回りにある端末についてはそうした意識が低いことが考えられます。現在でも、ルーターやプリンタなどインターネットにつながっている機器が増えていますが、普段からアップデートを意識している人は少ないでしょう。問題が発生しない限り、セキュリティ上の不備には気づきにくいものです。

 また、位置情報が特定される可能性がある場合にどのような影響が考えられるのか、社内のネットワークなどに接続されてしまわないのか、機器の数が増えるとIPアドレスは不足しないのか、など考えることは多岐にわたります。

 開発側にとって難しいのは失敗に対する考え方です。通常のシステム開発では、費用対効果などを意識し、実績や安定性を検討することが多いと思います。しかし、IoTのように新しい組み合わせを試す場合は実績が少なく、センサーや通信の安定性を確保することは難しい場合があります。現状では、まず試して、問題が発生すれば修正する過程を繰り返すことになるでしょう。

 一度普及が進んでしまうと、問題の解決には時間がかかる可能性もあります。開発者として機器の開発に参画するだけでなく、実際に使ってみて問題に気づいたらフィードバックしていく姿勢も重要になりそうです。

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連載:エンジニアが生き残るためのテクノロジーの授業

著者プロフィール

  • 増井 敏克(マスイ トシカツ)

    増井技術士事務所 代表。技術士(情報工学部門)、テクニカルエンジニア(ネットワーク、情報セキュリティ)、その他情報処理技術者試験に多数合格。 ITエンジニアのための実務スキル評価サービス「CodeIQ」にて、情報セキュリティやアルゴリズムに関する問題を多数出題している。 また、ビジネス数学検定1級に...

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