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社会を変えたインターネット。エンジニアはIoTにどう関わるべきか?

エンジニアが生き残るためのテクノロジーの授業 第2回

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2016/10/25 14:00

目次

IoTとは、ネットワークで社会を変えること

能動的に働く機械

 ネットワークがこれまで以上に注目されているのは、上述のようにインターネットに接続される機器がどんどん増えているためです。これまではパソコンやスマートフォン程度でしたが、家電やセンサーが接続機能を搭載するようになってきました。特に、人間が主導権を持って使うのではなく、機器をインターネットに接続しておけば、機器そのものが自動的に情報を収集、発信する流れが登場しています。このように「モノ」がインターネットに接続することをIoT(Internet of Things:モノのインターネット)と呼んでいます。

 今IoTが発展しつつあるのは、スマートデバイスの普及に押され、高速な無線ネットワークに安価で接続できるようになったことが大きいと思います。収集したデータを分析するソフトウェアが進歩して、多くの人が活用できる環境が整ったことも一因でしょう。

IoTとM2Mの違い

 IoTと似た言葉に「M2M」があります(図3)。M2Mは「Machine To Machine」の略で、機械と機械が相互に通信する仕組みを意味します。IoTと同じように、機器同士がネットワークを通じてやり取りするなど共通点もありますが、少し考え方が違う部分もあります。例えば、M2Mはインターネットというより、ローカルなネットワークを使用した独自システムです。機械も比較的高価で、サイズも大きいことが多いです。IoTはその逆で、インターネットに接続してクラウドなどを活用するオープンな仕組みになっています。また、多様な用途で使えるように、安価で小さい製品が多くなっています。

 どちらがよいというわけではなく、それぞれの特長を生かした製品作りが求められています。使われている技術はハードウェアやソフトウェア、ネットワークやデータベースで、いずれも既存の技術です。これまでの技術の組み合わせだと考えれば、技術的には新しいことはありませんが、変化するニーズを見極めることが課題として挙げられます。

 誰がそのシステムを使うのか、誰にどのようなメリットを生み出すのか、これを伝えられないと技術者の自己満足に陥ってしまいます。

図3:IoTとM2Mの違い
図3:IoTとM2Mの違い

IoT普及の流れ

 IoTは、まだまだ中小企業が活用できるほどの普及期に入っているとはいえません。あくまでも、「こんなことができると嬉しいね」という理想論だけが先行している印象を受けます。本格的に普及するには、大きく分けて3つのステップがあると考えられます。

ステップ1:大企業での導入

 まずは大企業を中心に、工場やオフィスでの仕事の中で使っていく場面が想像できます。産業用の監視や制御などの目的では費用対効果が見込め、導入が早いでしょう。これが進めば、まるごと自動化された工場が増えるかもしれません。

 研究開発にお金と時間を掛けられることも大企業の特徴です。他社が実現していないことでも、試してみて効果があれば差別化につながります。

ステップ2:一般層への普及

 一般の利用者にも広がってくると、日常的な生活環境を支援する段階に進みます。IoT家電が当たり前になり、生活スタイルや健康を改善するために使われはじめます。自動運転もこの段階の一部です。

 最近は情報の伝わるスピードが速まっているので、一部の人が使い始めて便利だと感じると、あっという間に普及する可能性も考えられます。

ステップ3:社会全体で高度に利用される

 さらに進むと、社会全体に広がり、使われ方も高度になっていきます。身近な例では、見守りや犯罪の防止などを目的とした活用が考えられます。災害に関する警報や注意喚起、避難誘導も可能になります。交通監視やエネルギー需要調整まで使われると、理想的だといえそうです。

 通信ネットワークの価値は「接続するシステムのユーザー数の2乗に比例する」という、「メトカーフの法則」がありますが、これがモノについても当てはまるかどうか、非常に興味深いところです。


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連載:エンジニアが生き残るためのテクノロジーの授業

著者プロフィール

  • 増井 敏克(マスイ トシカツ)

    増井技術士事務所 代表。技術士(情報工学部門)、テクニカルエンジニア(ネットワーク、情報セキュリティ)、その他情報処理技術者試験に多数合格。 ITエンジニアのための実務スキル評価サービス「CodeIQ」にて、情報セキュリティやアルゴリズムに関する問題を多数出題している。 また、ビジネス数学検定1級に...

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