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【夏サミ2017】セッションレポート(AD)

「勉強ではなく、課題解決の場」との意識づけで、社内コミュニティへの参加と定着を促進【夏サミ2017】

【B-L】Yahoo! JAPANのコミュニティが生み出す価値

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 IT技術の進化とともに課題も急増する現在、エンジニアやデザイナーに求められる役割や意識、スキルは目まぐるしく変化している。そうした中、企業主体のコミュニティ活動によって解決の道を拓こうと取り組んでいるのが、Yahoo! JAPANだ。同社では、急速なサービス領域の増加と技術の細分化に、対応可能な開発者の育成が追いつかなくなっているとの危機感のもと、社外コミュニティへの参加を通じた社員のスキルアップを推進してきた。しかし参加者と非参加者の間のギャップなど、新たな課題も生まれていた。そこで「コミュニティは勉強ではなく、課題解決の場」と位置づけることで、開発者のモチベーションのアップに成功。知識や技術の社内還元や、組織横断的なノウハウ共有の場として定着しつつあるという。ヤフー株式会社 CMO-Board キャプテン 善積正伍氏が語った。

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ヤフー株式会社のMO-Board キャプテン 善積正伍氏
ヤフー株式会社 CMO-Board キャプテン 善積正伍氏

「自分たちの直面する課題を解決できるコミュニティ」がテーマ

 善積氏はまず、企業がコミュニティを設ける目的には、「採用」と「成長」の2つがあるが、今回のYahoo! JAPANの取り組みは後者、すなわちコミュニティ活動を通じて、社員や組織を成長させる点に目的が置かれたと明かす。

 その背景となったのは、激しく変化するマーケットと技術トレンドの将来に備え、柔軟に対応できる人材と組織作りを進めようとの考えだ。善積氏が入社した2008年当時、Yahoo! JAPANの主なサービス領域はPCと携帯電話の2つのみで、Webエンジニアがどちらの領域も担当していたという。だが約10年後の現在は、PC、iOS、Android、そしてスマホWebの4分野があり、それぞれ担当のエンジニアが手がけている。

数年後に出てくるかもしれない、ヤフーの新たなサービス領域
数年後に出てくるかもしれない、Yahoo! JAPANの新たなサービス領域

 「アプリ自体の高機能化やコンテンツのリッチ化で、開発は複雑化する一方。その結果、会社も各領域についてバーティカル(垂直)に強いエンジニアの育成を重視するようになっていました」

 あと数年たって、さらに新しい領域が登場すれば、より新しいスキルやサービスの企画力が問われてくるのは予想に難くない。「サービス領域の多様化と、その一方で市場の成熟化が進む中で、競争力を落とすわけにはいかない。もうこれまでのバーティカルに強いエンジニア育成では、時代に追いつけなくなるのではないかといった危機感があった」と善積氏は語る。そこでYahoo! JAPANでは早くから、社外コミュニティへの参加を支援してきた。外部との交流を通じて新しい知識やノウハウを身につけさせようとの狙いだった。だが実際に支援を進めていくうち、新たな課題も出てきた。

 「たしかに新しい知識は得られますが、それが自分たちの業務課題を解決できるとは限りません。またイベントなどでは、どうしても人気のあるプログラムに興味が向きますが、そのテーマが課題に合っていなければ、会社への還元は期待できないでしょう」

 他にも、コミュニティに参加した人とそうでない人の間にギャップが生じ、双方の関係がうまくいかなくなるなど、かえって業務にマイナスのケースもあった。またコミュニティ自体も個々の領域やテーマに限定されているため、領域横断的なスキルの獲得という点では問題が残った。

 そんな状況が続く中では、数年後も価値あるプロダクトを自社のビジネスに提供していけるのか、懸念が生まれる。そこで善積氏は、会社主導のコミュニティのあり方を、“自社業務への還元”という視点から再検討し、「課題を解決することを目的にしたコミュニティを、会社としてバックアップする」という新たな基本方針を打ち出したそうだ。

 結果、以下のような課題の解決が、コミュニティを通じて取り組まれるようになった。

  1. 事業の変化についていけるアプリ設計:ビジネスへの貢献という視点でアプリを開発するには、どうすればよいか。
  2. デザインとKPIの両立:そもそもデザイナーとKPIは、どのように向き合っていくのがよいのか。
  3. 多様な出面に対応できるAPI設計:サービスが多様化していく中で、サーバーサイドとしては、どのように対応していくべきか。

 このような課題というのは、おそらく他の会社も同様に抱えているはずだ。そうした人々を探し出して協力し合うことで、オープンに課題解決に取り組むことも決めた。

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横の連携をつなぐ取り組みから、新たな理解や成果が生まれている

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CodeZine編集部(コードジンヘンシュウブ)

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