セッション「決済システムの内製化への旅 - SpringとPCFで作るクラウドネイティブなシステム開発」
このセッションでは、ソフトバンク・ペイメント・サービス株式会社(以下、SBPS社)の鈴木さん、Pivotalの槙さんから、SBPS社のクラウドネイティブな決済システムの内製化開発についての紹介がありました。
2016年当時、SBPS社のサービス開発はベンダ任せだったとのことです。ベンダの力を借りた開発の場合、見積もりの取得など含めて実際のソフトウェア開発以外にもさまざまな作業が発生します。鈴木さんは当時担当されていた運用業務の改善・開発案件の支援を通して、開発ベンダに頼り切ったままではスピード感のある開発、小さな改善のサイクルを作れないことを痛感し、決済代行システムの内製化を決断されたそうです。
槙さんはその内製開発の技術支援という立場でプロジェクトへ参加されていたそうです。槙さんからは決済システムの基盤となっているPivotal Cloud Foundry(以下、PCF)についての紹介がありました。
今回紹介された決済代行システムは80,000店舗の加盟店、40種類の以上の決済機関との接続という大規模なシステムですが、開発から運用まで小規模なチームで回しているのが印象的でした。
省力化には開発を支えるSpring Bootと各種OSS群に加え、インフラであるPCFも含めた開発の「仕組み」作りが大きく貢献しているようです。PCFを利用することでインフラ構築にかかる時間や手間を大幅に削減した他、CI/CDパイプラインを整備して負荷試験を日常的に行う、常に最新のJavaに対応した状態を維持するなど、継続的に開発を続けるための環境の整備に力を入れていることが重要なポイントであると感じました。
その他、システムの構成や使用しているミドルウェアについてなど、学ぶべき内容が盛り沢山のセッションでした。
大小さまざまな規模のシステム開発に柔軟に適用できるSpring Frameworkと、プラットフォームとしてのPCFの力を見せつけられた事例だったように思います。
- 資料:「決済システムの内製化への旅」
セッション「エンタープライズ・マイクロサービスの格言」
Starlight&Storm LLC代表/JSUG会長である長谷川さんからは、エンタープライズ系システムをマイクロサービス対応させるための考え方について、長谷川さんのこれまでの経験を元に格言(当日の資料では「妄言」となっていました)という形式でノウハウが紹介されました。
まず「エンタープライズ・マイクロサービス」という言葉についてですが、これは長谷川さんが考えられた言葉とのことです。昨今ではエンタープライズ系のシステムでも「マイクロサービスで」という開発案件が増えてきているものの、そういったシステムの派生開発やレガシ・マイグレーションなどでは一般的に言われている「マイクロサービス」の定義が当てはまらないケースが多いそうです。エンタープライズ系の開発を行っているSI企業ではマイクロサービスアーキテクチャでのシステム開発は向かないと考える一方、それでもマイクロサービスをうまく開発したいと思案した結果、エンタープライズ・マイクロサービスという新たな定義を考えられたとのことです。
内容は大きく企画編と開発編の二編で構成されていました。
企画編のお話では『「MSの粒度は勘できめる」:最初の粒度は業務や機能でMSを分ける』など要件定義やチーム編成などについての格言を紹介されていました。
開発編では『「共通処理はやめる」:大きなシステムを作るときは共通処理をつくりがちだけど、マイクロサービスではやっては駄目』など、ありがちなアンチパターンの紹介を交えながらエンタープライズ・マイクロサービスを開発するための格言が紹介されていました。
最後のまとめでは、JSUGの勉強会での事例紹介の募集も行っていました。マイクロサービスに関しては幅広い層から関心が寄せられているので、事例をお持ちの方は勉強会でのご紹介をご検討ください。
- 資料:「エンタープライズ・マイクロサービスの妄言」
おわりに
本稿では、Spring Fest 2018の様子と一部のセッションの内容をレポートしました。ここで紹介できなかったセッションについても、できるだけ多くの方に共有したい興味深い内容のものばかりでした。JSUG会長の長谷川さんによれば、Spring Festは来年も開催したいとのことでしたので、アクセス可能な方は来年もぜひご参加を検討してください。
なお、本記事のレポーターを務めたNTTソフトウェアイノベーションセンタのメンバーも以下のセッションで講演させていただきました。Spring Bootアプリケーションの開発で活躍する新しいIDEの機能と、その裏側での動作を取り上げた少々マイナーな内容ではありますが、ご興味があればご覧ください。
