デスクトップ版と遜色なく使えるiPad専用の新Photoshop
アドビ米国本社のエリック・スノーデン氏が、「かつては夢だった、好きなブラシや機能をいつでもどこでも使えたらを実現した、野心的なアドビのエンジニアとデザイナーの取り組み」と語るのが、先月のAdobe MAXで発表されたiPad用の「Photoshop CC for iPad」だ。
機能を薄めていない、iPadで使えるほぼフルバージョンのPhotoshop。デスクトップ版と多くのコードベースを共有しており、シームレスな互換性を持つという。例えば、PCで作成したネイティブなPSDファイルがそのままiPad上で動く。
UIは、左側にツール群、右側にレイヤーが表示されるといった馴染みのあるレイアウトを踏襲しつつ、タッチデバイスに最適な作り込みが行われた。ピンチインでのズームインやレイヤーのドリルダウン、Apple Pencilのダブルタッチによるズームアウト、範囲選択時に下側に表示されるショートカットメニュー、ブラシの筆圧対応など。特に、左下に表示されるタッチモディファイア(タッチ式の修飾キー)によるツールの迅速な一時的切り替えは、デスクトップ版で多用していると思われるキーボードショートカットをうまく補ってくれそうだ。
ここをタッチすることで、ペンツール/消しゴムツールの切り替えなどを素早く行える
デモでは、200以上のレイヤー、数ギガバイトの容量を持つ大きなPSDファイルが、デスクトップよりも小さいメモリフットプリントを持つiPad Pro上で普通に作業できる様子が示された。
提供は2019年を予定。事前登録によりリリース時の通知を受け取ることもできる。
あらゆるクリエイティブ表現の根幹をなすドローイングもサポート
PhotoshopをiPad対応させた先に、アドビがタッチインターフェースで、さらに何ができるかを考えぬいた答えとしてスノーデン氏が挙げたのが「ドローイング」。4万年前の洞窟の壁画に始まり、ナプキンの裏に描く新しいアプリのスケッチなど、ドローイングはクリエイティブな表現の根幹をなすものであり、イラストや長編映画、ウェブサイト、拡張コンテンツなど、あらゆるクリエイティブな表現はドローイングからスタートする。
そこで、ドローイング(およびペインティング)に関する専用のデジタルツールを作る試みが「Project Gemini(プロジェクト・ジェムナイ)」だ。iPad専用のドローイングおよびペインティングアプリとして開発が進められている。
たくさんのブラシ機能が詰め込まれており、ドローイングに専念できるように、パネルの閉じ開きや位置調整など、タッチインターフェースに適した形でワークスペースを柔軟にカスタマイズできる。
また、作業データはCreative Cloudを通して同期され、Photoshopなどの他のツールで作業を継続することもできる。ベクター画像とラスター画像を混在して扱うこともできる。
特長的なものとしてデモで紹介されたのが、ライブブラシ機能。水彩画では、筆の水分含有量を指定して塗った後に徐々に絵の具がにじんでいく様子をエミュレートしたり、キャンバスのテクスチャを再現したりと、表現および描画体験面でのリアリティが示された。油彩画でも油彩絵具がブレンドされる様子などが紹介された。
この写真ではわからないが、塗った後に徐々に塗りが広がる様子を再現していた
製品のリリースは2019年を予定。こちらは、Windows版やAndroid版での展開も視野に入れていることもコメントされた。
