OSSへの取り組みはどうしてる?
横溝:STUDIOとProgateは、OSSやらないんですか?
甲斐:やろうとしたことはあるんですけど、難しくて。でも、「OSSにしたほうがいいな」というプロジェクトはあります。社内でリソースを割けないけど社会的価値があるのであれば、それだけでもいいなと思っています。
横溝:OSSをやっていると、自分たちのチームだけじゃ思いつかない機能がコミュニティから出てくるんです。コミュニティの力というか、そこに集まっている群衆の知、それを生かしてみんなでプロダクトを作るのがオープンソースの良さなので、ぜひ取り組んでほしいです。

加藤:横溝さんが思い描いている世界ってすごくいいと思うし、めちゃくちゃ共感もするんですけど、オープンソースに向いているプロジェクトと向いていないプロジェクトがどうしてもありますね。
例えば「Reactのここが課題だから、こういうツールで解決したい」というように、みんなでイメージできるものなら、オープンソースでどんどんやっていけばいいと思うんです。でも、ゼロから新しくサービスを作るとき、合議だといいものは生まれない。たくさんの人がたくさんの意見を言って、まとめたものがいいプロダクトになることは絶対になくて、少人数でめちゃくちゃエゴをぶつけ合って生み出すものが、最終的にはいいものになっていくのかなと。
Progateも、キャリアも得意分野も違う自分とCTOとデザイナーで原型を作ったからこそ生まれました。3人が同じようなビジョンを持ってやっていても全然違うものになっていたと思うんですよ。一方で、アプリ版Progateに搭載されているキーボードは自分たちで一から作ったんですけど、そこはオープンソースにしても良かったな、とか。
OSSは誰が作ってもそれほど差が出ない、でも細部の使い勝手などが改善の余地があるといった、わかりやすい部分に向いているイメージがあります。何度か再利用可能なものはオープンソースであるべきだと思います。一定規模以上で、1つのサービスがあれば満足できる場合、そんなに必要ないかもしれないですね。
一緒に働きたいと思うエンジニア像は?
横溝:開発者の採用において、重視しているところを聞かせてください。
加藤:初心者に良いサービスを提供したいという思いや、体験イメージを持っている人に来てほしいですね。例えば、20代前半のプログラミングをやりたい、でもわからないという人がProgateのLPを訪れたとき、まず何を見て、何を一番知ってほしいのか、ということです。
イメージしてほしいのはProgateをやる前とやった後、どのような変化があってどういう姿になれるのかということなんですよね。僕らはユーザーの心情のフローをすごく大切にしているので、「プログラミングって、実は難しくないんだよ、自分にもできそうだ」ということをどう伝えていくか、それを考えられる人と一緒に働きたいです。
Progateはレベルアップするとツイートする仕組みになっていて、僕は毎朝起きたら必ずファボ(編集部注:お気に入り)をつけにいくんです。それを続けているとTwitter上にもコミュニティが生まれてきて、同じように初心者でがんばっている人同士がお互いにファボし合う。そうするとプログラミングって難しいと思ってたけど、実はできるかもしれない、しかもいろいろな人から褒めてもらえる……こうしたひとつの体験になっていきます。
自分が初めてプログラミングをやったときは、全然できないし、仲間もいなかった。そんな体験を真逆のものにしたいんです。超ベテランで、初心者の気持ちを覚えていない、そもそも学んだ過程が古い人よりは、初心者でもいいからプログラミングが好きで、Progateを通じて学んでいきたい、そんな思いが強い人を半年かけて育て上げるほうが、長期的に見ると活躍してくれるのではないかと。そこは重要視しています。
甲斐:STUDIOのエンジニアは年齢層が広くて、20代から上は40代までいるんですね。経験が浅い人も長い人もいる。作っているのがマニアックなツールなので、それにこだわれる人ですね。
横溝:うちはグローバルのチームを作ろうとしていて、現在は6カ国のメンバーがいるんです。住んでいる国も、過ごしている時間も別ですが、リモートワーク重視でやっています。自由に働けるけど、自由の裏側には責任があって、しっかり結果を出した人が評価される仕組みになっています。
これから目指している世界観は?
横溝:では最後に、それぞれが目指している世界観を語ってください。

甲斐:エンジニアとしてはおかしいかもしれないですが、コードを1行も書かなくても作れるのが一番かっこいいエンジニアリングだと思っているので、コードを書かずにWebサービスが作れる世界を目指したいです。
加藤:僕はプログラミングが大好きなので、コードをどんどん書きたいです。プログラミングをやっていなかったら起業もサービス作りもしてないし、人生も全然違っていたと思っているので。プログラミングは年齢や性別が影響せず、本当に実力があればいいものが作れるし、社会にも評価される。
海外では、プログラミングは人種や社会的地位をも超えるんだと感じることがあります。例えば、インドだとまだカースト制が根強いので、一番下のカーストの人は職業を選べないんですよ。でもプログラマやエンジニアは最近できた職業なので、カーストに配置されてないんです。誰でもなっていいんですよね。インドの小学生がProgateでプログラミングを学び、「将来はこういう職に就いて、家族を幸せにしたいんだ」と話すのを聞いたときは、Progateをやる意義をすごく感じました。
15年くらい前まで内戦が行われていたアフリカのルワンダも、現在は急速にIT化が進んでいます。戦争をしていた世代の子どもがプログラミングを学んで、当時とは違う国を作りたいと話しているんです。日本とは異なる、壮大なストーリーがありますよね。そこをサポートできるProgateってすごいんじゃないかと日々思っています。海外のユーザーはまだ10万人くらいですが、これが100万人、1000万人になり、誰もがProgateでプログラミングを学び、可能性を広げられる世界を目指していきたいですね。
横溝:オープンソースに関わる機会があったおかげで、素晴らしい出会いがありました。僕自身すごく感謝していますし、そこから教えてもらったことがとても多いので、恩返しをしていきたいです。オープンソースで飯を食える人がいないことは、どうにかしないといけない。そこをサスティナブルにして、オープンソースというものをひとつのワークプレイスとして確立させ、それだけで生活していく人を生み出す。そして労働のカタチを大きく変えていく、そういう挑戦をしたいと思っています。
